年は、今年が初めてと言っても過言ではありません。
その指標となるのが姉妹都市や友好都市などの都市間提携で、別掲のように今年は13件もあり、
過去最高を示しました。
また、日台間で特徴的なのが鉄道提携です。これも別掲でご紹介するように、今年は8件もあ
り、これまた過去最高でした。
今年は年初から異例続きでした。
1月16日に蔡英文・民進党主席の総統当選が明らかになると、国交のない台湾にもかかわらず、
日本政府を代表して、岸田文雄・外務大臣が日本語と英語で、祝意を表するとともに「本件選挙が
円滑に実施されたことは、台湾において民主主義が深く根付いていることを示すものとして評価」
し、「政府としては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していくとの立場を踏まえ、
日台間の協力と交流の更なる深化を図っていく考えです」という談話を発表しました。
これまで、日本の外務大臣が台湾の総統選挙の当選者に祝意を表する談話を発表したことはな
かったようで、極めて異例のことでした。
台湾は台湾で、蔡英文政権が発足する直前の5月6日、日本との交流を深めるため、蘇嘉全・立法
院長を会長に超党派議連「台日交流聯誼会」を発足させました。台湾の立法委員(国会議員)は
113人ですが、この議連にはなんとその92%にあたる104人もの議員が参加したそうです。超党派議
連が設立されたことも異例ながら、この加盟議員数もまた異例のことでした。
異例の極みと言っていいことが年末になって起こりました。12月28日、交流協会が2017年1月1日
より「日本台湾交流協会」への改称を発表したことです。1972年12月8日に財団法人交流協会が設
立されて以来、44年間、どこの国の交流協会なのかよく分からない名称を使ってきた「交流協会」
が「日本台湾交流協会」に名称を変更するというのですから、異例はここに極まった感がありまし
た。今年の掉尾を飾るにふさわしい、本当に嬉しいニュースでした。
日台間には、食料規制問題や沖ノ鳥島問題、尖閣諸島の領有問題など、台湾側が問題視している
分野もまだあります。しかし、「日台海洋協力対話」を設置して双方の解決すべき事柄を話し合い
はじめたことによく現れているように、日台が信頼関係にあることを示す事例に事欠かないのが現
状です。
ただ、アメリカは今年の5月と7月、1979年の台湾関係法に続き、「台湾への武器供与の終了期日
を定めない」「台湾関係法の改正に同意しない」「中国との対話を行うよう台湾に圧力をかけな
い」などを定めた「6つの保証」を連邦議会の上下両院で可決しています。
また、米軍の高官や国防関係幹部職員が台湾軍の高官や国防関係幹部職員との交流を盛り込んだ
「2017国防授権法案」(NDAA: National Defense Authorization Act)を連邦議会の上下両院
で可決し、12月23日にオバマ大統領の署名によってこの法案を成立させています。
このアメリカに比べますと、台湾に関する国内法を一つも持っていないのが日本です。台湾出身
者は未だに戸籍では「中国人」とされ、調理師免許証や栄養士免許証でも国籍が「中国」とされて
いるのが現状です。政府高官や国防関係幹部が台湾を訪問することも許されていません。
それら全てを一挙に解決するのが、本会が3年前に「政策提言」として発表し、安倍総理も受け
取ったと述べている「日本版・台湾関係法」(日台関係基本法)です。
平成28年(2016年)が終わる今日12月31日、改めて日台関係基本法の制定に力を尽くすことを誓
い、来る年に希望をつなぎたいと思います。
今年1年、皆様には本当にお世話になりました。改めてご指導とご支援に感謝申し上げます。来
年が皆様にとりまして素晴らしい年となりますようご祈念申し上げます
2016年の日台交流(日本李登輝友の会調べ)
・01月04日 李登輝元総統が月刊「SAPIO」2月号で「安保法制を決断した安倍首相の勇気」を絶賛
・01月16日 岸田文雄・外務大臣が談話「台湾総統選挙の結果について」を日本語と英語で発表
・01月28日 横浜市と台北市が防災分野で協力覚書を締結
・02月06日 日本政府が台湾南部地震に100万ドル寄付など日本全国でお見舞い募金活動
・02月24日 大分県の由布院温泉と台中市温泉が観光友好交流協力協定を締結
・03月24日 上山満之進総督が陳澄波に依頼した絵を介して山口県立大学と嘉義市立博物館が交流
・03月25日 柏崎市議会が全会一致で「台湾出身者の戸籍表記是正を求める意見書」を可決
・03月29日 中部広域観光推進協議会と中台湾観光推動委員会が観光友好交流覚書を締結
・03月30日 福岡銀行が中国信託ホールディングと業務協力覚書を締結
・04月06日 月刊「歴史街道」5月号が「児玉源太郎と台湾」を総力特集
・04月14日 熊本地震に台湾政府や民進党、台北・台中・台南・高雄の4市長が義捐金寄付を表明
・04月19日 台湾・衛生福利部が熊本地震の義援金受付の銀行口座や郵便振込口座を開設
・04月29日 春の叙勲で宋文薫・中央研究院院士が死亡叙勲、受章者は42人に
・05月06日 台湾に蘇嘉全・立法院長を会長に超党派議連「台日交流聯誼会」が発足
・05月11日 鎌倉市議会に「日台友好親善議員連盟」が発足
・05月23日 蔡政権が沖ノ鳥島問題で前政権の主張を撤回し国連大陸棚限界委員会決定を尊重と表明
・06月03日 熊本電鉄が高雄市内に初の海外事務所を開設
・06月03日 NHK交響楽団が断交後初の台湾公演を実施
・06月08日 台湾の松山駅にJR四国との交流館が開設
・06月10日 陳菊・高雄市長、頼清徳・台南市長、謝長廷・代表らが熊本に義捐金2億1600万円寄贈
・06月15日 阪神甲子園球場が阪神─オリックス戦を「台湾デー」として開催(16日も)
・06月26日 屏東県政府が「大日本琉球藩民五十四名墓」前で日本と台湾の交流会
・06月30日 鎌倉市議会が「台湾出身者の戸籍表記の早期是正を求める意見書」を可決
・07月01日 岩手県北観光が台北市内に事務所を開設
・07月08日 群馬県台湾総会と群馬県などが「台湾フェアin群馬」を開催(〜10日)
・07月08日 琉球大学の理学部と中国文化大学の自然科学部が部局間交流協定を締結
・07月16日、札幌市で台湾留学生たちが初の台湾祭(〜18日)
・07月18日 交流協会台北事務所が対日世論調査を発表、日本は「好きな国」トップ過去最高の56%
・07月22日 沖縄県立芸術大学と国立台湾芸術大学が学術交流協定を締結
・07月30日 李登輝元総統が石垣市を訪問し31日に講演(〜8月3日)
・08月01日 台日交流聯誼会が来日し日台若手議連などと交流
・08月23日 東北6県及び新潟県、仙台市と東北観光推進機構などが台湾トップセールを実施
・08月25日 島根県松江市内に世界最大の自転車メーカー「ジャイアント」が山陰初の出店
・08月28日 浜名湖と日月譚が友好交流協定を締結
・08月28日 浜松観光コンベンションビューローと南投県日月潭観光旅遊協会、遠鉄観光開発と日月潭ロープウエー、浜名湖遊覧船と南投県渡船・遊覧船協会が友好交流協定を締結
・09月04日 和歌山日台交流協会が和歌山市内の七曲市場で「わかやま夜市」を初開催
・09月04日 全国日台友好議員協議会が「日台交流サミットin和歌山」を開催
・09月06日 宜蘭県が台湾自治体初の日本事務所を沖縄県那覇市内に開設
・09月08日 青森県弘前市が台湾ソフトボール協会と東京五輪事前合宿地として協定締結予定を発表
・09月16日 成田国際空港と桃園国際空港が姉妹空港覚書を締結
・09月21日 飛虎将軍廟ご祭神の杉浦茂峯命の神像が水戸市に里帰りし、22日に護国神社で慰霊祭
・09月27日 日本のアジアパシフィックアライアンスと台湾路竹会が災害対応で協力覚書を締結
・09月30日 群馬県伊勢崎市議会が「台湾出身者の戸籍表記是正を求める意見書」を可決
・10月07日 秋田銀行が台湾事務所を開設
・10月13日 神奈川県と新北市が防災と教育に関する2つの協定を同時締結
・10月13日 日本品質保証機構と金属工業研究発展中心が相互協力に関する覚書を締結
・10月21日 よこはま動物園ズーラシアと台北市立動物園が野生生物保全等に関する協力覚書を締結
・10月21日 上野動物園と新竹市立動物園が「友好交流協議書」を締結
・10月22日 幸福駅と合興駅が姉妹駅協定を締結
・10月31日 第1回「日台海洋協力対話」を開催
・11月03日 秋の叙勲で呉阿明、羅福全、董烱熙の3氏が受章
・11月12日 筑波大学付属病院と桃園病院、中山大学が姉妹友好病院意向書に署名
・11月26日 琵琶湖汽船と南投県渡船遊艇商業同業公会が友好協定を締結
・11月30日 交流協会と亜東関係協会が「日台製品安全協力」と「日台言語教育交流」の覚書に調印
・12月12日 台北駐日経済文化代表処が日本人の台湾に対する世論調査を発表、「アジアで最も親しみを感じる国・地域」は台湾がトップの59・1%
・12月13日 交流協会台北事務所が台北市内で天皇陛下御誕生日祝賀レセプションを開催
・12月15日 衆議院第一議員会館で台湾映画「湾生回家」の上映会
・12月15日 交流協会高雄事務所が高雄市内で天皇陛下御誕生日祝賀レセプションを開催
・12月19日 東京都教育委員会と台北市教育局が「教育交流に関する覚書」を締結
・12月20日 東京都教育委員会と高雄市教育局が「教育交流に関する覚書」を締結
・12月22日 広島県尾道市と嘉義市が友好交流協定を締結
・12月28日 交流協会が2017年1月1日より「日本台湾交流協会」への改称を発表