「外国人参政権」を巡る大学入試センター
への質問とその回答
4月3日現在

 皆さんもご存知のことと思いますが、今年1月16日に実施された「現代社会」にて、政治的に現在進行形である「外国人参政権問題」を採用し、あたかも「違憲」ではない印象を与える答となっていました。
 このことについて、大学入試センターへファクスにて質問をいたしました。

 なお、先方からの回答は、ファクスですので、HP用に打ち直していますので段落等に原文との違いがございますことご了承下さい。  (転載自由)
                                            平成22年2月25日 渡邊裕一
質問1回目 回答1回目 質問2回目 回答2回目 質問3回目 回答3回目
質問4回目 回答4回目 質問5回目 電話確認 文科省へ電話 文科省回答
回答5回目 質問6回目 回答6回目 質問7回目 回答7回目 質問8回目
回答8回目 質問9回目 回答9回目 雑感

【質問】5回目 4月3日送信

大学入試センター 殿

 

質   問   状

 

 5度目の質問状を送らせていただきます渡邊裕一と申します。4回目の質問にはお答えいただけないとのことでしたので、別の視点から質問させていただきます。

 

 2009年センター試験の日本史A問5で南京事件に関する問題が出題されたことに対して、インターネット上などで閲覧できます貴大学入試センターからの回答は、「現在使用されている高等学校の日本史のすべての教科書にいわゆる「南京事件」についての記載があることから、同問は高校生の学習内容にそった出題であったと考えています」とのものでした。

 

 この2009年センター試験の日本史A問5への回答を踏まえるならば、17点中の7点もの教科書で記述されておらず、更には記載されているうちの1点には両論併記がされているようなないようは、「高校生の学習内容にそっ」てはいない「出題であったと考え」るべきではないのでしょうか。

 

 問い合わせごとに、場当たり的、辻褄合わせで大学入試センターが解答を作成されているように見受けらますが、2009年センター試験日本史A問5への回答と整合性が取れた回答を、2010年センター試験の現代社会問1の外国人参政権に対していただけますことを願います。8割の教科書云々は、従来の大学入試センターの御見解とは合致していないことを踏まえました上で、ご回答いただければ幸いです。

 

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 念のため、第3回質問状を添付しておきます。

 

3回質問状

 

2010年1月16日(土)に実施された『現代社会』の問題について、1回目より質問させていただいております。質問状に対する貴センターの回答が論点からズレてしまっていますので、もう一度説明させていただきます。第1問の問3「下線部cに関連して、日本における参政権に関する記述として適当でないものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。」という問題が出されています。下線部cとは「投票資格」とありますので、「投票資格に関連して、日本における参政権に関する記述として適当でないものを、次の@〜Cのうちから一つ選べ。」という問題ということになります。

これに対して、選択肢は4つありまして、@は選挙権が満20歳以上ということで「適当」、Aは被選挙権が衆議院で満25歳、参議院で満30歳ということで「適当」と判断できます。また、Cは衆議院における重複立候補に関する問いで「適当でない」と判断できます。しかし、下に述べるようにBの問は極めて曖昧であり、BとCはどちらか一方を「適当でない」と判断することは不可能です。

 

 第1回目の質問状では、法律的な観点から質問いたしました。引用いたしますと、「Bには、「最高裁判所は、外国人のうちの永住者等に対して、地方選挙の選挙権を法律で付与することは、憲法上禁止されていないとしている。」と書かれています。平成7年2月28日の第3小法廷判決において、平成5年(行ツ)第163号に対して出された理由(2)に基づくものだと思われます。

 しかし、同主文は地方参政権を求める原告の訴えを退けるものであり、現憲法下において外国人参政権を禁じている現状は何ら問題ないとするものでした。判例において重要なのは当然の如く主文でありますが、第1問の問3では、最高裁判所が主文において先例法理となるように外国人参政権を認めたのか否か、という問であると読み取ることも可能です。」となります。

 

 これに対して、貴センターからの平成22年2月5日付の1回目の返答では、「多くの「現代社会」の教科書で言及されているこの最高裁判決を、選択肢の一つとして取り上げたものです」との回答をいただきました。

 

 そのため2回目の質問状では、次のように再質問を行っています。

「中立的であるべき独立行政法人としての大学入試センターの性格から鑑みまして、全ての教科書に記述されていない事項に関して、一般社会での見解が分かれている事項に関して、一部の教科書の見解で作問をすることが適切かどうかを問うているのです。「第1問の問3を、外国人参政権に関する記述がない教科書で学んだ受験生たちが回答すると、BもCも共に「適切ではない」と解答することができます。以前の質問状にも書きましたが、「最も適切ではない」ことを問う問題と、「適切ではない」ことを問う問題が併存している中では尚更です。」

「以上の点から、受験生への公平を期すために、BもCも共に正解とするか、正答が導き出されない悪問であったと判断されるべきであると思います。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。」

 

 これに対する貴センターからの2回目の回答が、「前回お答えしましたとおり、大学入試センター試験の問題は、高等学校の教科書を基礎として、大学・高校の関係者の協力を得て作成しております。その上でご指摘の設問について言えば、現行の「現代社会」の教科書のうち、「外国人参政権に関する最高裁判決」の記述があるのは、17点中10点、該当する教科書の採択率では約8割となっております」というものでした。

 

 マスコミなどでも報道されていますように、一橋出版の教科書では学会動向も踏まえながら「参政権付与はたとえ地方でも憲法違反」ということが教えられていますし、残りの2割の高校生たちは、それら教科書とは何ら関係ない学会動向や世間での認識をもとにして、センター試験に回答することとなります。

 仮に、全教科書に該当事項の掲載がない場合でも、世間多数の共通理解が存在するような事柄であれば、受験生が回答に迷うことはないでしょう。しかし、2割もの多くの受験生たちが学んでいない事項で、また、一部の教科書には真逆の内容も執筆されている事項で、世間で議論が分かれているようなものを問題として出されても、受験生は回答できません。

 それは2回目の質問状でも述べましたとおり、2割の受験生や一橋出版の教科書を使って勉強した受験生に、学習指導要領の内容を逸脱した政治的な判断を迫っている問題であります。この点を、当方としては問題があると指摘しているのです。

 

 また、ある問題では「最も適当なもの」を回答させ、ある問題では「適当なもの」を回答させるというスタイルですから、「適当でないもの」を問うている今回の第1問の問3などは、回答が1つであるとも断言できない出題構成になっています。これも大きな混乱の原因を生み出してしまっています。

 

一部の問題作成者の政治的なパフォーマンスの場として、センター試験が用いられてしまったことが残念でなりません。しかしそれよりも重要な点ですが、2割の受験生や、一橋出版の教科書を利用して学んだ受験生が不利にならないよう、また、8割の教科書を用いていても、自分でより深く学習した受験生たちが不利にならないような対応を、独立行政法人大学入試センターは取らなければなりません。

 

受験生への公平を期すために、BもCも共に正解とするか、正答が導き出されない悪問であったとして全ての受験生に点数を与えるよう、判断されるべきであると思います。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

 

2回回答

 前回お答えしましたとおり、大学入試センター試験の問題は、高等学校の教科書を基礎として、大学・高校の関係者の協力を得て作成しております。

 その上でご指摘の設問についていえば、現行の「現代社会」の教科書のうち「外国人参政権に関する最高裁判決」の記述があるのは、17点中10点、該当する教科書の採択率では約8割となっております。

 

 

3回回答

 今回いただきましたご質問につきましては、前回までの文書でお答えしているものと考えます。

 
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参照:2009年日本史Aに対する回答
http://blogs.yahoo.co.jp/deliciousicecoffee/39097427.html

次(電話確認)へ続く⇒