【祝】 台湾で今年も「天皇陛下御誕生日祝賀レセプション」を開催

今年も2月26日、日本台湾交流協会台北事務所の主催により台北市内のホテルで、今上陛下のお誕生日をお祝いする令和5年度の「天皇陛下御誕生日祝賀レセプション」が開催された。

この催しは、昨年は2月23日がお誕生日前の2月22日に開かれたように、祝賀レセプションはお誕生日の前に開かれるのが通例だったのに、今年はどうしたのだろうと思っていた矢先の開催だった。

それにしても、今年はなんと蔡英文・総統と頼清徳・副総統のお二人が初めて出席したというから驚いた。

国交断絶から31年後の2003年12月12日、当時の内田勝久・交流協会台北事務所長(駐台湾大使に相当)の英断により初めて台湾で開催されて以来、総統からメッセージが届けられることはあったが、総統が出席するのは初めてのことで、ましてや総統と副総統がご一緒に出席するのも初めてのことだ。

その他にも、韓國瑜・立法院長、呉[金リ]燮・外交部長、蘇嘉全・台湾日本関係協会会長、朱立倫・中国国民党主席、柯文哲・台湾民衆党主席なども参加しており、かなり盛大な天皇誕生日祝賀レセプションとなったようだ。

内田勝久所長は退任後、どうして台湾で天皇誕生日祝賀レセプションを開くようになったのかについて、本会のインタビューに「米国やイギリスもナショナル・デーを祝って台湾でレセプションを開いているのに、中国はどうして日本だけに文句を言ってくるのかよく分かりませんね」と笑いながら話していたことを思い出す。

開催当初、中国は「二つの中国を認めるものだ」「日中共同声明に反する」と烈火のごとく怒り「断固受け入れられない。

即刻、中止すべきだ」として、外務省にかなり強い圧力をかけてきたそうだが、台湾にある米国在台湾協会や英国在台事務所など各国公館でもナショナル・デーのレセプションを開いているのだから、日本にだけ中止を求めるのはおかしな話だ。

しかし、内田所長以降の歴代代表(池田維、齋藤正樹、今井正、樽井澄夫、沼田幹男、泉裕泰)も開催の意義を受け止め、粛々と天皇誕生日祝賀レセプションを開き、昨年11月に着任した片山和之代表も開催したという次第だ。

中国はその後も開催するたびにクレームをつけてきたものの、いまは形ばかりになっているという。

詳しくは、内田所長の『大丈夫か、日台関係─『台湾大使』の本音録』(2006年5月、産経新聞出版)に記しているので参照されたい。

ちなみに、「ナショナル・デー(国家の日)」とはあまり聞きなれない言葉かもしれないが、どの国も、その国にとってもっとも記念すべき大切な日として「ナショナル・デー」を定めている。

独立記念日や建国記念日が多く、米国は独立記念日(7月4日)、英国は国王誕生日(6月第3土曜日)、ドイツはドイツ統一の日(10月3日)などだ。

各国の在外公館は年に1度、その国の要人を招いてナショナル・デーを祝う盛大な式典を開催している。

日本は今上陛下ご生誕日の2月23日をナショナル・デーとし、世界各地にある公館で「天皇陛下御誕生日祝賀レセプション」を開催している。

もちろん、中国でも開いている。

台湾で開き始めた意義は、日本の台湾に対する姿勢を具体的な形で表わすことにある。

下記に紹介するNHKニュースでは「近年の日台関係の緊密化を反映した形」と伝えているが、台湾だけではなく、日本は日本の姿勢を貫くという中国への大きなメッセージとなっている。


台湾総統ら天皇誕生日の祝賀レセプション出席 断交後 現職で初【NHKニュース:2024年2月26日】https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240226/k10014371601000.html

 26日夜、台湾で開かれた天皇誕生日の祝賀レセプションに、蔡英文総統と頼清徳副総統が出席しました。

1972年の日本との断交後、現職の総統と副総統が出席したのは初めてで、近年の日台関係の緊密化を反映した形です。

日本の台湾に対する窓口機関の日本台湾交流協会は26日夜、台北市内のホテルで天皇誕生日の祝賀レセプションを開きました。

レセプションには、蔡英文総統や頼清徳副総統、それに議会のトップの韓国瑜立法院長らが出席しました。

蔡総統は「きょうここに集まった私たちは、日本の天皇陛下の誕生日を祝い、台湾と日本のますますの友好を願う」と祝辞を述べました。

5月に次の総統に就任する頼副総統は「台湾と日本が、経済交流や人的往来をさらに密にするだけでなく、台湾海峡やインド太平洋地域の平和と安定にもいっそう貢献できるよう、協力を強めることに大いに期待する」と述べました。

台湾での天皇誕生日の祝賀レセプションは、1972年に日本が中国と国交を正常化し、台湾と断交してから開催が途絶えたあと、2003年に再開されました。

関係者によりますと、再開当初は、日本側が日中関係に配慮して台湾の外交部長を正式に招待することすら控えたとされますが、回を重ねるにつれて、台湾側の要人のレベルが上がってきていました。

現職の総統と副総統が出席したのは初めてで、近年の日台関係の緊密化を反映した形です。


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