市町村長129人の首長を会員とする「日台共栄首長連盟」が設立総会を開催

市町村長129人の首長を会員とする「日台共栄首長連盟」が設立総会を開催

日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載

 昨12月23日、東京都内の都市センターホテルにおいて、現職の市町村長127人、前職2人の129人の賛同会員を擁す
る「日台共栄首長連盟」の設立総会が開かれました。

 この設立総会に先立ち、同ホテルで石川県加賀市長の宮元陸(みやもと・りく)発起人代表ら発起人8人が記者会
見に臨み、なぜ日台共栄首長連盟を設立するようになったのかなどについて説明しました。

 記者会見は、埼玉県本庄市の吉田信解(よしだ・しんげ)市長が司会をつとめ、宮元代表をはじめ、福島県白河
市の鈴木和夫(すずき・かずお)市長、大阪府東大阪市の野田義和(のだ・よしかず)市長、 岡山県総社市の片
岡聡一(かたおか・そういち)市長、岡山県美作(みまさか)市の萩原誠司(はぎわら・せいじ)市長、沖縄県石
垣市の中山義隆(なかやま・よしたか)市長、前防府市長で前全国市長会長の松浦正人(まつうら・まさと)氏の
発起人8人が出席。

 宮元代表は配布した「私ども首長が『日台共栄首長連盟』を設立した理由」を読み上げ、台湾をめぐる現状や親
密な日台関係などの歴史を説明しつつ、設立に至った理由を説明しました。

 宮元氏は「台湾有事や日本有事が現実味を帯びてきた現在、日台が安全保障について政府間の直接対話は可能な
のでしょうか。現状では不可能です。しかし、米国が台湾関係法に基づいて台湾に武器を供与できるように、日本
でもそのような法律があれば、安全保障関係の対話も可能になります」と説明し、日台共栄首長連盟の目的は、日
台が安全保障などについて政府間の直接対話を可能とする法律の制定にあることを明らかにしました。別途、その
全文をご紹介します。

 記者会見に続いて開かれた設立総会には、高市早苗・自由民主党政務調査会長、古屋圭司・日華議員懇談会会長、
木原稔・日華議員懇談会事務局長、和田有一朗・衆議院議員、李世丙・台北駐日経済文化代表処副代表、藤田和秀・
全国日台友好議員協議会会長、遠藤富士雄・全国日台友好議員協議会理事長なども出席。

 また、安倍晋三・元内閣総理大臣からは懇篤な祝電、謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表からは約7分にわたる
ビデオメッセージを寄せていただいています。

 総会では、会長に宮元陸・加賀市長、副会長に野田義和・東大阪市長と萩原誠司・美作市長、幹事長に吉田信解・
本庄市長、副幹事長に中山義隆・石垣市長、監事に鈴木和夫・白河市長と片岡聡一・総社市長が選出され、顧問に
松浦正人・前全国市長会会長が就任しました。

 また、令和4年度事業計画として、日本政府への要望活動として「台湾有事が日本へ及ぼす影響に鑑み、日本と台
湾が安全保障を含む政府間対話が実現するよう、法整備の一環として『日台関係基本法』の制定を政府に要望し、
その実現を目指す」ことや、国会・地方議員との連携、会員研修会、講演会等の開催、台湾関係者との交流などを
実施することが決められました。

 その後の懇親会には衛藤征士郎・日本台湾親善協会会長も出席、和田有一朗・衆議院議員、李世丙・台北駐日経
済文化代表処副代表、藤田和秀・全国日台友好議員協議会会長、遠藤富士雄・全国日台友好議員協議会理事長とと
もにお祝いの挨拶を述べています。

 下記に産経新聞の記事をお伝えします。台湾の自由時報が設立に至る経緯について「去年十月加賀市主?『第六
屆日台交流高峰會』之後,宮元陸與岡山縣美作市長萩原誠司、埼玉縣本圧市長吉田信解、山口縣防府市前市長松浦
正人及日本李登輝之友會事務局長柚原正敬等人討論成立日台共榮首長聯盟」と、どの日本メディアよりも詳しく設
立の発端について伝え、中央通信社も5枚の写真入りで大きく取り上げています。併せてご紹介します。

・自由時報:日台共榮首長聯盟成立
日本地方首長促訂「台灣關係法」[12月24日]
 https://news.ltn.com.tw/news/politics/paper/1491816

・中央通信社:日本地方首長聯手挺台
將促政府制定「台灣關係法」[12月24日]
 https://www.cna.com.tw/news/firstnews/202112240002.aspx

 日本李登輝友の会も、2013年の政策提言で「我が国の外交・安全保障政策推進のため『日台関係基本法』を早急に
制定せよ」を発表し、2019年にも政策提言「『日台交流基本法』を早急に制定せよ」を発表しています。めざすと
ころはまったく同じです。

 今後は日台共栄首長連盟と協同しながら、「日台交流基本法」の法制化をすみやかに実現するよう力を尽くした
いと思っています。

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日台関係の深化へ 首長有志「連盟」が発足
【産経新聞:2021年12月23日】
https://www.sankei.com/article/20211223-D3AJQEHGNFJNBIQCKKRWZ7XEMY/

 市町村の首長有志らが連携し、日本と台湾の関係強化を目指す「日台共栄首長連盟」が23日発足した。

 発起人代表の宮元陸・石川県加賀市長は都内で開かれた設立総会で、「日台は特別な関係。真の運命共同体になる
べくわれわれが先頭に立つ」と訴え、断交状態にある日台関係を改善させたい考えを示した。

 民間レベルの経済・文化面ではすでに深い交流のある日台関係を深化させるのが目的。加賀市や埼玉県本庄市、沖
縄県石垣市の市長ら9人を発起人に、全国127市町村の現職首長ら計129人が会員になった。今後は政府や国会に働き
かけたり、現地との交流に取り組んだりする。

 総会には首長や国会議員らが出席。宮元氏は防衛目的の武器供与などを定めた米国の台湾関係法と同様の法整備を
日本もすべきだとして、「台湾なくして日本の安全保障はない。価値観を共有しない中国と対峙(たいじ)するため、
地方がスクラムを組んで国会議員の背中を押していく」と強調した。

 自民党の高市早苗政調会長もあいさつし、台湾の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)加入などを歓迎するとし
た党の政権公約に触れ、「台湾有事は日本有事になり得る。新型コロナウイルス禍で物資不足の時に台湾が注いでく
れた友情を忘れず、交流を深めてほしい」などと話した。

 他にも安倍晋三元首相の祝辞の読み上げや、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(駐日大使に相当)の「草の根
レベルの交流に協力してほしい」などとするビデオメッセージも流された。(桑村朋)

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私ども首長が「日台共栄首長連盟」を設立した理由 
宮元 陸(発起人代表)

 現在、台湾有事について多くの議論が巻き起こっています。最近、もっとも話題になったのは、安倍晋三前首相が
台湾向けの講演で「台湾有事は日本有事すなわち、日米同盟の有事でもある。この点の認識を、北京の人々は、とり
わけ習近平主席は断じて見誤るべきではない」と指摘したことではないかと思います。

 毅然として、中国に自制を求めるこの指摘は、台湾海峡の平和と安定を願う多くの人々を納得させるものではない
かと思います。

 今年1月に発足した米国のバイデン政権も、トランプ前政権の台湾政策を受け継ぎ、台湾との関係強化に力を入れ
ています。

 一方、今年に入ってからは、香港の一国二制度の形骸化を指摘する声が欧米で相次ぎ、ウイグルにおける人権状況
について「ジェノサイド」つまり民族の大量虐殺ではないかという声がヨーロッパでも上りはじめ、中国への深刻な
懸念が共有されるとともに中国離れのドミノ現象が起こっています。

 同時に、ヨーロッパではオランダやフランスなどで、台湾が世界保健機関総会などの国際機関に参加できるよう支
持する決議がなされ、チェコやリトアニアやフランスなどからの訪台団が相次ぎ、台湾との関係を強化する動きも顕
著になっています。

 その象徴的な出来事が、欧州議会が10月に台湾との関係強化をEUに求める「EUと台湾との政治関係と協力」と
いう報告書を圧倒的多数で可決したことと、11月18日のことでしたが、リトアニアに「台北」ではなく「台湾」の名
称を冠した「駐リトアニア台湾代表処」が開設されたことではないかと思います。

 いまやヨーロッパでも、「地政学的な要衝にある台湾」「民主主義世界に重要な台湾」という認識が共有されるよ
うになりました。

 日本も、清国から台湾を割譲されたときから台湾の地政学的重要性を深く認識し、最初の海外統治ということと相
まって、台湾の統治にもっとも力を注ぎました。日本が世界で唯一、50年の歴史を共有したのが台湾です。

 また、台湾の親日ぶりはよく知られるところです。日本台湾交流協会台北事務所が実施した台湾の人々への世論調
査でも「あなたの最も好きな国(地域)はどこですか」という質問には、常に日本が断トツの1位です。一方、台北
駐日経済文化代表処の日本人への世論調査でも「もっとも親しみを感じるアジアの国・地域」は、常に台湾が1位で、
2位以下を大きく引き離しています。

 このような、いわば相思相愛の日本と台湾ですが、現在、国交はありません。政府間の外交関係がございません。
1972年9月に中国と国交を正常化すると同時に、日本は台湾との国交締結を国会で批准したにもかかわらず、外務大臣
の一片の記者会見で台湾と断交しました。来年で50年という節目の年を迎えますが、今から思いますと、法治国家に
あらざる日本の行いであったかと思います。

 台湾では、1980年代末から90年代にかけ李登輝総統による民主化が進み、日本統治時代の日本人教師と台湾人子弟
の交流などは頻繁に行われていました。しかし、断交した台湾への日本の対応は真に冷たいものでした。1994年に李
総統が翌年開催のAPEC大阪会議に参加を表明したのですが、当時の村山富市首相と河野洋平外相が反対して実現
しませんでした。また李総統が1997年に母校である京都大学の創立百周年式典へ出席を希望したところ、京大側が
「中途退学だから」という理由で断わるなど、台湾を冷遇していました。

 その風向きが変わってきたのは、2001年、平成13年春からでした。心臓病治療のために訪日を希望する李登輝氏へ
のビザ発給を巡って起きた紛糾が、当時の森喜朗首相の決断で来日することを決めてからでした。

 このことをきっかけに日台関係が動き出し、2002年5月には日本政府が台湾のWHOへのオブザーバー参加を支持
し、11月には外務省の内規改正で課長職以上の訪台が可能となりました。2003年1月には、交流協会に前陸将補が防衛
担当主任として初めて着任しています。

 その後も、台湾で日本のナショナル・デイとして「天皇誕生日祝賀レセプション」が開催され、台湾人への叙勲も
再開されました。日台間では100件以上の都市間提携が結ばれるようになりました。私が市長をつとめる加賀市も、
台南市や桃園市など台湾の4つの自治体と友好都市協定を結んでいます。また、「日台民間投資取決め」や「日台民
間漁業取決め」「日台民間租税取決め」など30以上の取決めが結ばれ、2017年には双方の窓口機関の名称が、日本は
「交流協会」から「日本台湾交流協会」に、台湾も「亜東関係協会」から「台湾日本関係協会」に改められました。

 しかし、日台間に国交がないことから、民間機関を窓口としてすべての外交関係を処理していますので、2019年3
月、台湾の蔡英文総統が持ち掛けた安全保障問題に関する対話には応じられないという現状です。民間機関が国の防
衛に関与できないのは当たり前のことです。

 では、台湾有事や日本有事が現実味を帯びてきた現在、日台が安全保障について政府間の直接対話は可能なのでし
ょうか。現状では不可能です。しかし、米国が台湾関係法に基づいて台湾に武器を供与できるように、日本でもその
ような法律があれば、安全保障関係の対話も可能になります。

 本会の設立趣意書に「我々は自由・民主主義・法の支配・人権という普遍的価値観を共有する日本と台湾の関係を、
従来の経済文化面での交流促進にとどまらず、法整備の面さらには政治、安全保障面において更に強固にするべきと
の意見の一致を見」と記したのは、まさにこのことを指しています。

 本来は立法府である国会の為すべきことですが、なかなかこの法律の制定が日の目を見ず、一方で中国の台湾への
圧力が昂じて来ている現状に鑑み、敢えて私ども地方自治体の首長たちが法制化を実現するために立ち上がりました。
ご理解をいただき、またご支援のほど賜りたいと存じます。ありがとうございました。


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