台湾の高雄市長や行政院院長をつとめた謝長廷氏(75歳)が駐日台湾大使に相当する台北駐日経済文化代表処代表として着任したのは、熊本地震が起こった直後の2016年6月9日。
着任翌日には、熊本地震のお見舞いに来日した当時の頼清徳・台南市長(現・副総統)と陳菊・高雄市長(現・監察院院長)を出迎えるため熊本に飛んでいた。
当時から大物代表として名望を集めていた謝長廷代表は、代表就任からすでに5年目に入り、日本語はさらに流暢となり、日本と台湾の交流にとって今や欠かせない存在となっている。
本会関係者にとっては、李登輝元総統が2016年7月に石垣市を訪れたときも、2018年6月に沖縄・糸満市を訪れたときも、来日されてから帰台されるまで、終始、あたかも師を迎えるように畏まって臨まれていた姿勢が印象深いかもしれない。2018年のときは、ご来日の1日前に沖縄入りし、ご帰台後も翌日になって帰京するという徹底ぶりだった。
代表就任4年で47都道府県すべてを訪れたという。今年は、4月26日に鹿児島市を訪れ、東京オリンピック・パラリンピックの台湾選手受け入れホストタウンである鹿児島県の大崎町と龍郷町への記念品贈呈式に臨み、翌27日には鹿児島県庁を訪問して塩田康一知事と会見している。
これが二巡目の始まりで、その後も5月7日に石川県を訪れ石川県庁において谷本正憲知事と会見し、その翌日には「嘉南大?起工満100周年記念式典」に臨むというように、毎月、1回か2回、多いときには3回、日本各地を訪問して交流を深めている。
同じ5月の19日と20日に山口県、6月18日には茨城県笠間市と銚子市、23日には静岡市と島田市、29日と30日は京都市を訪問している。
7月に入ってからも精力的な地方行脚は続いていて、2日と3日には福島県白河市を訪問、鈴木和夫・白河市長とともに白河市立小田川小学校で行われた台湾バナナ贈呈式に出席。また、東京オリンピック・パラリンピックの台湾ホストタウンである福島県の南相馬市および北塩原村ともオンラインでつなぎ、門馬和夫・南相馬市長、遠藤和夫・北塩原村長、ならびに南相馬市立原町第二中学校、北塩原村さくら小学校の生徒・児童らとも交流したと「台湾週報」(下記)が報じている。
東京オリンピック・パラリンピックにおける日本でのホストタウンは、フランスの27自治体や米国の24自治体よりも台湾が多く、下記の28自治体となっている。日本でもっとも多い自治体数だ。
士別市、名寄市、掛川市、山形市、静岡市、御殿場市、弘前市、潮来市、愛媛県、高松市、大崎町、笠間市、明石市、 熊野市、貝塚市、銚子市、新庄市、小山町、龍郷町、加賀市、八代市、岡山市、八王子市、丹波篠山市、大槌町、 野田村、南相馬市、北塩原村
◆ホストタウン相手国一覧(2021年6月29日現在): 【内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局】 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokyo2020_suishin_honbu/hosttown_suisin/pdf/210629_list.pdf
ちなみに、友好都市提携では393自治体を誇る中国は8自治体、同じく165件の韓国は6自治体。いかに台湾の選手を迎え入れたいと思っている自治体が多いか、このホストタウン数が如実に示していると言えよう。
謝長廷代表が訪問したりオンライン交流してきた、鹿児島県の大崎町と龍郷町、千葉県の笠間市と銚子市、福島県の南相馬市と北塩原村はすべて台湾のホストタウンだ。ホストタウンは、台湾の選手などを受け入れるばかりでなく、オリンピック後も台湾との交流を続ける意向を持つ。謝長廷代表の自治体訪問は、台湾のホストタウンに名乗りを挙げていただいた御礼もあるだろうが、交流の継続という将来を見据えた訪問でもあった。
白河市の鈴木和夫市長は、謝長廷代表みずから足を運ぶ意義を十分に理解し「今後、台日関係を深めていくため、台湾と日本の経済、観光から政治に至るまで友好関係が続くことを心から願っている」と述べている。
—————————————————————————————–謝長廷・駐日代表が福島県白河市を訪問、五輪台湾ホストタウンの南相馬市・北塩原村ともリモート交流【台湾週報:2021年7月5日】https://www.taiwanembassy.org/jp_ja/post/78977.html
台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表は7月2日、福島県白河市を訪問し、鈴木和夫・白河市長とともに白河市立小田川小学校で行われた台湾バナナ贈呈式に出席した。同贈呈式は、東京オリンピック・パラリンピックの台湾ホストタウンである福島県の南相馬市および北塩原村ともオンラインでつなぎ、門馬和夫・南相馬市長、遠藤和夫・北塩原村長、ならびに南相馬市立原町第二中学校、北塩原村さくら小学校の生徒・児童らとも交流した。
このなかで謝・駐日代表は、「今回このような形で、オンラインで交流できてうれしい。台湾バナナは120年前から日本に輸入されている台日友好のシンボル。台湾バナナは濃厚で、栄養もたっぷりある。ぜひ福島県の子どもたちに味わっていただき、台湾バナナのファンになってほしい」と呼びかけた。
謝・駐日代表は2日午後、イオン白河西郷店で台湾の旬の果物や、タピオカドリンク、カステラなどの物産や、台湾の魅力を紹介する「台湾交流フェア」オープニングセレモニーに白河市の鈴木市長とともに出席した。謝・駐日代表は「このようなイベントを通して、日本のみなさんに台湾の魅力を知っていただき、未来のさらなる交流の発展につなげていきたい」と挨拶した。
同日午前、白河市役所を訪問した謝・駐日代表は、「台湾と日本の関係は『持ちつ持たれつの関係』で、家族のように付き合っている。台湾と日本は自然災害が頻発する島国であり、災害が起こるたびに助け合う『善の循環』が形成されている。先月4日、日本からいち早くワクチンが届けられ、『まさかの時の友こそ真の友』だと実感した」と述べ、台湾と福島県の末永い友好を祈念し、コロナ後の相互往来の再開に期待を示した。
鈴木市長は、「白河市はこれまで台湾と積極的に行ってきた。台湾の台南に同じ名の白河区という地名があることから、3年前に台南市白河区の中学校と交流を始めた。今後台日関係を深めていくため、台湾と日本の経済、観光から政治に至るまで友好関係が続くことを心から願っている」と述べた。
※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。