昨年、菊池市、さつま町、龍郷町が宜蘭市と「国際交流促進覚書」 日台自治体提携は24件に!

本誌3月5日号で、熊本県菊池市と台南市東区が昨年11月11日に「友好交流協定」を締結していたことが判明し、「1979年10月の青森県大間町と雲林県虎尾鎮の『姉妹町』締結以来、年間23件は最多」とお伝えしました。

ところが、ひょんなことで、この熊本県菊池市を含む鹿児島県さつま町(さつまちょう)と龍郷町(たつごうちょう)の1市2町と宜蘭市が昨年9月26日に「国際交流促進覚書」を締結していたことが判りました。

さつま町によれば、日本と台湾のこの4自治体はいずれも西郷隆盛の長男である西郷菊次郎(さいごう・きくじろう)にゆかりのある地だそうです。

菊池市は、豪族「菊池一族」の本拠地で、西郷隆盛は菊池一族の末裔といわれ、龍郷町は隆盛と愛加那の長男として西郷菊次郎の生まれた地。

宜蘭市は西郷菊次郎が宜蘭県の初代庁長として「西郷堤防」と呼ばれる堤防を建設したところであり、さつま町は、菊次郎が帰国後に京都市長を経て同町の永野金山鉱業館長に就任し、夜学校を設立するなど人材育成に尽力した地だそうです。

今後は4市町で連携して、相互交流による人材育成や農産物・特産品の物流の促進を図り、観光・経済・農業分野の振興を目指すそうです。

これまで宜蘭県と山形県や、宜蘭県の蘇澳鎮や三星郷、羅東鎮、員山郷などが提携していますが、県政府のある宜蘭市が日本の自治体と提携するのは初めてです。

この「国際交流促進覚書」の締結により、昨年の日台の自治体による都市間提携数は24件となりこれまで年間最多だった2017年の22件を超え、1979年10月の青森県大間町と雲林県虎尾鎮の「姉妹町」締結以来、最多となりました。

下記に改めて昨年の「日台都市間提携」を掲載します。

また、さつま町のHPに掲載された記事と地元紙「南海日日新聞」をご紹介します。

◆2024年の日台都市間提携

1)1月22日 鹿児島県と屏東県が「青少年や芸術・文化、観光、経済などの分野で交流を促進するMOU」を締結2)1月31日 鹿児島県伊佐市と台湾の花蓮市が「友好交流協定」を締結3)2月27日 熊本市と高雄市が「スタートアップ関連での交流促進覚書」を締結4)2月27日 熊本県小国町と台北市士林区が「友好交流協力に関する覚書」を締結5)4月15日 熊本県上天草市と新北市瑞芳区が「友好交流協定」締結6)4月29日 長崎県平戸市と台南市が「友好交流協定」を締結7)5月06日 茨城県那珂市と台南市が「友好交流協定」を締結8)6月20日 北海道雨竜郡沼田町と花蓮県瑞穂郷が「友好交流協定」を締結9)6月26日 大分県九重町と花蓮県豊浜郷が「連携・協力に関する覚書」を締結10)8月19日 北海道茅部郡森町と彰化市が「友好交流協定」を締結11)8月28日 北海道富良野市と台南市が「友好交流協定」を締結12)9月26日 菊池市、さつま町、龍郷町と宜蘭市が「国際交流促進覚書」を締結13)10月01日 北海道美唄市と花蓮県富里郷が「友好交流協定」を締結14)10月05日 秋田県秋田市と台南市が「交流協力に関する合意書」を締結15)10月11日 愛媛県松山市と台北市が「友好交流都市協定」を締結16)10月18日 茨城県小美玉市と新北市淡水区が「友好交流覚書」を締結17)10月22日 愛媛県砥部町と新北市鶯歌区が「交流促進に関する覚書」締結18)11月06日 沖縄県宮古島市と屏東県牡丹郷が「交流協定に関する覚書」を締結19)11月11日 熊本県菊池市と台南市東区が「友好交流協定」を締結20)11月13日 和歌山県和歌山市と高雄市が「交流促進に関する覚書」を締結21)11月15日 北海道の利尻富士町と利尻町が屏東県琉球郷と「友好協定」を締結22)11月22日 茨城県水戸市と台南市が「友好交流都市」を締結23)12月16日 青森県、むつ市と高雄市が「国際交流促進覚書」を締結24)12月18日 沼津市と高雄市が「観光交流促進協定」を締結

◆宜蘭市、菊池市、龍郷町との国際交流促進覚書(MOU)締結 【鹿児島県さつま町役場:2024年10月24日】 https://www.satsuma-net.jp/soshiki/yakuba/1003/1/sesaku_keikaku/8824.html

◆さらなる交流促進へ 台湾宜蘭市と3市町が覚書締結 龍郷町も調印 【南海日日新聞:2024年9月29日】https://www.nankainn.com/news/local/%E3%81%95%E3%82%89%E3%81%AA%E3%82%8B%E4%BA%A4%E6%B5%81%E4%BF%83%E9%80%B2%E3%81%B8%E3%80%80%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E5%AE%9C%E8%98%AD%E5%B8%82%E3%81%A8%EF%BC%93%E5%B8%82%E7%94%BA%E3%81%8C%E8%A6%9A%E6%9B%B8

西郷隆盛の長男・菊次郎の縁で2018年から友好関係にある台湾宜蘭市と龍郷町・さつま町・熊本県菊池市は26日、さらなる結びつきの強化を目的とした「国際交流促進覚書(MOU)」を締結した。

菊池市で同日、締結式があり、各自治体の首長らが出席。

記念品を贈り合い、国際交流を通じて絆を深めることを誓った。

MOU締結は、熊本県に半導体を製造する台湾企業「TSMC」の工場が建設されたことなどを機に菊池市が提案。

菊次郎のゆかりの地である5市町(同市、台湾宜蘭市、龍郷町、さつま町、京都市)が18年に結んだ交流宣言のつながりを基に、各自治体に賛同を呼び掛けた。

締結式は同市内の集宴会場で開かれ、首長や関係者ら約60人が出席。

江頭実菊池市長、陳美玲宜蘭市長、竹田泰典龍郷町長、上野俊市さつま町長が覚書に署名し、交流の記念に特産品などを贈り合った。

龍郷町は陳宜蘭市長と台北駐大阪経済文化弁事処福岡分処の陳銘俊処長に大島紬製品を贈呈した。

4市町は今後、人材育成や観光、経済などさまざまな分野でつながりを深め、交流の活性化を目指す。

龍郷町は12月、菊次郎の半生を描いた町青少年ミュージカル「KIKUJIRO」の出演メンバーらを宜蘭市に派遣する予定。

竹田町長は「締結をきっかけに、国際交流を具体的に進めていくことを確認できた。

まずは菊次郎ミュージカルの小中高生の交流を進め、特産品販売についても協力できたら」とコメントした。

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