「秦剛解任の裏」

「秦剛解任の裏」

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「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)

世界中のチャイナウォッチャーの中で、
7月の関心事とは中国外交部長秦剛の行方である。

その答えの一部が7月25日明らかになった。

7月25日に中国全人代常務委員会が開かれた。

この会自体が異例。

本来は二か月に一回の開催。

前回は6月だったので、通常なら8月開催。

今回の告知は開催の一日前。

これも異例。

今回は外交部長の解任と任命。

そして人民銀行総裁の解任と任命。

人民銀行総裁の解任と任命は前々から決まっていたから、
ビッグニュースにはならないが、
注目されたのは外交部長の解任と任命。

秦剛の解任と王毅の外交部長任命。

中国の外交責任者は党と国に分かれていて、
党が上。

王毅はすでに党の外交責任者である。

外交部長は外交の執行責任者。

本来ポストは68歳以降は引退のため。

69歳の王毅を任命するのも異例である。

なぜ中国外交部長の解任と任命は世界のトップニュースになったか。

それはこの人事が尋常ではないから。

まず秦剛の出世自体が尋常ではない。

外交部長の前は駐米大使だったが、
本来駐米大使になる前に駐米経験が必要だが、
秦剛は駐米経験がない。

アメリカの事情を良く知らない。

また秦剛は異例として57歳の若さで外交部長になった。

また外交部長に就任してからわずか三か月後で国務委員になった。

国務委員は国の指導者レベル。

副総理と同格。

前任者の王毅は5年かけて国務委員になった。

これと比べると秦剛のスピード出世が良く分かる。

そして外交部長になってわずか7か月で解任。

これも異例。

中華人民共和国史上短命の外交部長。

このような異例が起こるのは習近平の影響。

習近平にとっては前例など関係ない。

秦剛には愛人問題が上がっていたが、
これは中国高官ならだれにでもある問題。

なぜ秦剛は長い間行方が分からなくなったか。

それは習近平が処遇に悩んだから。

秦剛が辞めさせられたのは健康問題ではない。

外交部のホームページで秦剛に関わることは全て削除されている。

秦剛が辞めさせられた最大の理由とは。

内部闘争。

習近平政権内部の闘争。

1.秦剛は外交部の中で全く人望がない。

上に媚びるが下に威張る。

2.秦剛と王毅は仲が悪い。

秦剛解任の影響。

短期的影響:
王毅は一時的に外交部長になるため、王毅が外交部長にいる間は、長期的な話が必要な外交が停滞する。

長期的影響:
1.習近平の権威低下。

2.習近平の戦狼外交は激しくなる。

3.中国の対外関係、特に民主陣営は悪くなる。

今後の秦剛の行方は、それは誰も分からない。

内部闘争の結果次第。


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