相変わらず台湾を訪問する海外要人は多い。ラッシュといってもいい状況が続いている。
昨日(4月24日)はフランス、グアテマラ、米国から同時に台湾を訪問している。フランス上院副議長をつとめるアラン・リシャール議員を団長とする一行5人、中米グアテマラのジャマテイ大統領も訪問団を率いて大統領就任後初めて訪問。そして、米国からバージニア州のグレン・ヤンキン州知事一行が訪れた。
注目したのは、フランス下院のエリック・ボトレル議員を代表とする親台湾派議員メンバー3名が先週の4月17日から20日まで訪台していたフランスから、今週は上院副議長のリシャール議員一行が訪台したことではない。
フランスのマクロン大統領の親中発言やG7外相会議でフランスのコロナ外相がフランスの立場に変更はないとしたことなどに鑑みれば、フランスから2週続けての訪台は注目に値する。しかし、本誌が注目したのはバージニア州知事の訪台だ。米国からはペロシ下院議長(当時)や上院・下院議員の訪台が相次ぐ中、実は州知事の訪台も多い。
昨年だけ見ても、8月にインディアナ州のエリック・ホルコム州知事(共和党)、9月にアリゾナ州のダグ・デューシー州知事(共和党)、12月にはアイダホ州のブラッド・リトル州知事(共和党)が訪問している。そして、今回のバージニア州のグレン・ヤンキン州知事(共和党)の訪台だ。
実は、台湾外交部によれば「ミネソタ州が新たに台湾弁事処を開設したほか、ペンシルベニア州、ウェストバージニア州も既存の台湾弁事処を再開し、現在14の州とグアムの合計15の州が台湾にオフィスを設けている」(2023年2月26日付「台湾国際放送」)という。全米50州のうち14州が台湾にオフィスを設けているそうで、これは28%にものぼる高比率だ。
日本は、2007年5月に沖縄県与那国町が自治体として初めて花蓮市内に「与那国駐花蓮市連絡事務所」を開設し、その後、山口県美祢市(みねし)の「台北観光・交流事務所」(2012年7月)、静岡県が都道府県レベルでは初めての「ふじのくに静岡県台湾事務所」(2013年4月)、高知県が常駐職員を置かない「日本高知県台湾連絡弁事処」(2017年4月)、そして茨城県笠間市が「台湾交流事務所」(2018年8月)と続いているが、5自治体にとどまっている。県は2県のみで47都道府県の4%に過ぎない。
日本と比べると、米国の州がいかに台湾と積極的な交流を図ろうとしているかがよく分かる。
4月24日に訪台したバージニア州のグレン・ヤンキン州知事は、蔡英文総統との会談で、台湾にドイツ、韓国、日本に続く4カ所目の貿易事務所を開設する計画を明らかにした。これで米国の州が台湾にオフィスを開設するのは15州となり、30%にのぼる。
ちなみに、バージニア州と台湾は42年にわたる姉妹都市で、双方は昨年8月、教育協力覚書の2回目の更新を行い、継続的に台湾華語と英語の教育推進を図っているそうだが、ヤンキン州知事は蔡総統に「バージニア州の台湾への輸出総額は2020年と比べて27%増加し、全米の各州で最も多いとなった。また、バージニア州は台湾から年間十数億ドルの製品を輸入し、その金額はまだ持続的に増加している」(台湾国際放送)とも説明したという。
実はここに、姉妹都市関係が42年も続く秘訣がある。自治体同士の友好交流の基礎はやはり実利にあることを明かしている。日本の自治体にも参考にしていただきたいものだ。
—————————————————————————————–米バージニア州、台湾で貿易事務所開設へ 蔡総統が州知事との会談で歓迎【中央通信社:2023年4月24日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202304240007
(台北中央社)蔡英文(さいえいぶん)総統は24日、台湾を訪問している米バージニア州のヤンキン知事(共和党)と台北市内の総統府で会談した。同州が台湾への貿易事務所開設を計画していることについて歓迎を表明し、経済連携の深化に期待を示した。
蔡総統は、台湾とバージニア州が姉妹協定を結んでから42周年を迎えることに言及。ヤンキン氏が知事に就任してから最初の海外訪問の地に台湾を選んだことには特別な意義があると語った。
また、経済や貿易面での連携に加え、教育や文化の分野においても長く協力関係にあるとし、今後も引き続き協力を強化できればと願った。
ヤンキン氏は、同州が海外に貿易事務所を設置するのはドイツ、韓国、日本に続き4カ所目になると紹介。台湾での貿易事務所の開設は、台湾との協力促進や関係強化を続けていく姿勢の表れだと述べた。
同州では今年2月、台湾への貿易事務所設置に関する法案が議会で可決され、3月にヤンキン氏の署名を経て成立した。外交部(外務省)によれば、ヤンキン氏は台湾に25日まで滞在し、台湾との経済や貿易面での交流促進を目指す。
(陳俊華/編集:楊千慧)
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