ホンジュラスが台湾と断交 中国が巨額の経済支援を約束か

 台湾と国交を持っていたホンジュラス共和国は3月26日、中国と「中華人民共和国とホンジュラス共和国の国交樹立に関する共同コミュニケ」に調印して国交を樹立した。

 台湾の呉[金リ]燮外交部長は、ホンジュラスと中国が国交樹立交渉を行っていた26日に記者会見を開き「国家の主権と尊厳を守るため、外交関係を終わらせることを決めた」とホンジュラスとの断交を発表している。

 中央通信社は「外交部(外務省)が13日にホンジュラスのレイナ外相から総額25億米ドル(約3200億円)近くの経済支援を要求されていたことを明らかにした。台湾の回答を待たず、カストロ大統領は14日、ツイッターで、中国との公式な関係の樹立を取り計らうようレイナ外相に指示したと発表した」と報じている。

 産経新聞は「台湾の外交関係者によると、中国がホンジュラスに巨額の経済支援を約束した可能性がある」と伝え、ロイターは「中国側がホンジュラスに約100億ドルを投資して国内労働者にプラス効果をもたらす可能性を示唆した」と報じている。

 ホンジュラスは最貧国の一つ。外務省によれば、対外公的債務は9,090百万ドル(2020年 ホンジュラス中央銀行)、失業率は11.09%(2020年 ホンジュラス国家統計院)にも上るという。

 背に腹は抱えられないと、100億ドルという対外公的債務を一掃するかもしれない巨額の投資をするという中国の誘いに乗ったようだ。

 これで、2016年5月に蔡英文政権が始まってから9ヵ国が断交し、国交締結国は13ヵ国となった。

◆台湾と断交した国(2023年3月26日現在)

 1)2016年12月21日:サントメ・プリシンペ民主共和国 2)2017年6月13日:パナマ共和国 3)2018年4月30日:ドミニカ共和国 4)2018年5月24日:ブルキナファソ 5)2018年8月21日:エルサルバドル共和国 6)2019年9月16日:ソロモン諸島 7)2019年9月20日:キリバス共和国 8)2021年12月9日:ニカラグア共和国 9)2023年3月26日:ホンジュラス共和国

◆2023年3月現在の台湾との国交締結国:13ヵ国

 大 洋 州:マーシャル諸島、ナウル、パラオ、ツバル アフリカ:エスワティニ 中 南 米:ベリーズ、グアテマラ、ハイチ、セントクリストファー・ネービス、セントルシア、      セントビンセント及びグレナディーン諸島、パラグアイ 欧  州:バチカン

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