トランプ政権が総統就任式当日に台湾へ高性能重魚雷18発の売却を決定!

 昨日の本誌(5月20日号)で蔡英文総統の総統就任式について言及した際、米国のマイク・ポンペオ国務長官から、蔡英文総統を“Taiwan’s President”(台湾総統)と呼ぶ祝賀メッセージが寄せられたことを紹介し(昨日は“The President of Taiwan”と紹介しましたが、正確には“Taiwan’s President”でした)併せて、この就任式当日、トランプ米政権は台湾へ魚雷とその関連部品など総額1億8000万ドル(約190億円)にのぼる武器売却を決め、米議会に通知したと発表したと紹介しました。

 この魚雷は「Mk-48Mod6型高性能重魚雷」という、米海軍が開発した対水上艦艇・対潜水艦攻撃用の大型で長射程の魚雷だそうです。

 トランプ政権は2017年6月、政権発足後初めて台湾に対し魚雷やSM2艦対空ミサイル部品、早期警戒用レーダーの技術支援など7項目にわたる総額約14億ドル(約1600億円)の武器売却を決めました。

 2018年9月には、F16戦闘機やC130輸送機などの交換部品など3億3000万ドル(約373億円)の売却を決め、昨年(2019年)7月には、携帯型地対空ミサイル「スティンガー」250発と、米国が開発した世界最高水準の戦車と言われる「M1A2エイブラムス戦車」108輛など計約22億ドル(約2400億円)の売却を決定し、翌8月にもF16V戦闘機66機の売却を決定しています。

 このF16V戦闘機は関連装備や部品を含めた売却総額は80億ドル(約8500億円)にものぼり、米台間の武器売買としては最大規模と言われています。

 そして、今回の「Mk-48Mod6型高性能重魚雷」です。台湾は現在、潜水艦を自主建造していますので、売却額から推し量りますと、総統・副総統就任への米国なりのサプライズ・プレゼントだったようです。

 もちろん中国は米国に「厳正な抗議」を申し入れ、武器売却に断固反対すると述べているようですが、台湾の呉[金リ]燮外交部長は「米国が台湾の安全に対する保証を行動で示したと評価。台湾の潜水艦の自主建造計画の支持の表れだ」と表明したと中央通信社は報じています。

 蔡英文総統は昨日の総統就任演説で「ンド太平洋地域の平和、安定、繁栄に向けてより積極的な役割を果たすことを願ってきました。これらの政策の方向性は、今後4年間でも変わりませんし、もっとやっていきます」と述べ、また「米国、日本、欧州など価値観を共有する国々との連携を深めていきます」とも表明しているわけですから、呉外交部長の発言は宜なるかな、です。

—————————————————————————————–米、台湾への魚雷売却発表=蔡総統2期目入り直後【中央通信社:2020年5月21日】

 (ワシントン、台北中央社)米国務省は現地時間20日、台湾への魚雷18発の売却を承認したと発表した。すでに議会に通知したとしている。魚雷とその関連設備など、売却価格は1億8千万米ドル(約194億円)に上る。蔡英文総統の2期目就任直後の発表となった。国務省の政治軍事局はツイッターを更新し、蔡政権の2期目入りに歓迎の意を表明。台湾の防衛を支持する姿勢を示した。

 国務省は声明で、台湾への武器供与の法的根拠となっている「台湾関係法」にのっとった売却だと説明。台湾の軍事力の近代化や防衛能力の維持は米国の利益にかなうとの立場を示し、今回の売却が地域の基本的な軍事バランスを変えることはないと強調した。

 呉?燮外交部長(外相)は21日、米国が台湾の安全に対する保証を行動で示したと評価。台湾の潜水艦の自主建造計画の支持の表れだと述べた。

(江今葉、陳韻聿/編集:楊千慧)

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