1月9日、米国のポンペオ国務長官が台湾の外交、軍事当局者らとの接触を制限する国務省の内規を撤廃すると発表した。
米国ではすでに2018年3月「米国の全てのレベルの政府関係者による台湾訪問および対等な行政レベルにある台湾の政府関係者への訪問を解禁」する「台湾旅行法」(Taiwan Travel Act)が制定されているが、国務省では「『中国共産党政権との融和策として』外交官や軍人などによる台湾側との接触に『複雑な内部規制』が課されていた」(時事通信)そうで、それを撤廃するという。
1月6日、ポンペオ国務長官は1月6日にケリー・クラフト国連大使を台湾に派遣すると発表したばかりで、政権末期になって矢継ぎ早に中国との融和策をかなぐり捨てて台湾との関係強化策を打ち出してきた。バイデン政権への置き土産という印象だ。
実は、日本の外務省内にも同じような内規があり、公務員の台湾訪問は課長以上を禁止していたが、その後「交流協会あるいは民間機関のみに委ねては遂行ができないというような専門的あるいは技術的な職務を目的とする場合に限って、我が国政府関係者の台湾出張に関しては、原則としてこれを認めるということになっています」(報道官会見記録:2006年9月13日)と、柔軟に対応する姿勢に変わってきている。
2011年5月4日には衛藤征士郎・衆議院副議長、その年の8月12日には溝畑宏・観光庁長官、2012年11月29日には経済産業省の上田隆之・通商政策局長が訪台している。2017年3月24日には、日本台湾交流協会主催の地方創生イベント「多彩日本」に赤間二郎・総務副大臣を公務として正式に派遣したことなどが思い出される。
ただ、未だに米国のような「台湾旅行法」などの国内法を定めていない日本は、中国の目の色を気にしながら手探りで対処している感をぬぐえない、及び腰の姿勢だ。日本は、台湾について「基本的価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナー、大切な友人」(2016年1月18日、菅義偉・内閣官房長官)と位置づけているのだから、さらに柔軟な対応が求められてしかるべきであろう。
—————————————————————————————–米国務省、台湾との接触制限解除 中国配慮の内規を撤廃【共同通信:2020年1月10日】
【ワシントン共同】ポンペオ米国務長官は9日、台湾の外交、軍事当局者らとの接触を制限する国務省の内規を撤廃すると発表した。ポンペオ氏は声明で、中国政府に配慮して自主規制を続けてきたが「もういい。全て解除する」と表明した。国務省が関係当局に通達した関連指針も無効にする。
トランプ政権は台湾重視の姿勢を鮮明にしている。今回の内規撤廃で米台当局者間のやりとりが増えるとみられ、さらなる関係強化につながる可能性が高い。中国の反発は必至で、米中対立は一段と激しくなりそうだ。
ポンペオ氏は「台湾は力強い民主社会で、信頼できる米国のパートナーだ」と強調した。
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