今回、「紅毛港保安堂での安倍元首相追思會会」に初日に参列し、追悼の意を表しました。私は台湾と日本の交流を積極的に進めており、コロナ禍の前に、沖縄県での慰霊祭に参加しました。
7月11日に台湾総統府では政府機関や国公立学校に半旗を掲げると発表し、日本台湾交流協会は安倍晋三元首相の死去を受けて台北市の台北事務所や南部・高雄市の高雄事務所に弔問記帳の特設会場を設置しました。
蔡英文総統は、日本台湾交流協会(日本大使館に相当)を訪れ、祭壇の安倍氏の遺影に花を捧げ、深々と礼を致しました。
また色紙に「台湾の永遠の良き友へ。台日友好と世界の民主主義、自由、人権、平和のために尽くしたあなたの貢献に感謝します」と記されました。
行政院の蘇貞昌・院長と衛生福利部(厚生労働省に相当)の陳時中・部長も同行し、安倍元首相に心からの感謝、敬意を伝えられました。
翌12日には馬英九・元総統、親民党の宋楚瑜・主席、蔡其昌・立法院副院長らも弔問に訪れました。
頼清徳・副総統が11日に東京入り、安倍元首相の自宅と通夜に出席し、翌日の増上寺での葬儀にも参列されたことは日本でも大々的に報道され、大変話題となりました。
正式な外交関係がない他国の政治家をめぐる対応としては、異例にして感動的な動きが続いています。
蔡英文政権発足以来、安倍元首相を通じて、台湾と日本は最も親密なパートナーであると述べられております。新型コロナの流行と中国軍による威嚇に直面した時、日台の相互支援は、共にインド太平洋地域における民主的国家安全保障のモデルを確立し、複雑な国際政治やグローバル経済が絡み合う中で、この事実は極めて重要です。
歴史的に、台湾と日本の間には切っても切れない信頼と相互理解が存在しています。たとえば高雄市は、台湾と日本が文化統合して誕生した歴史的に重要な地です。
2020年から2021年にかけて開催された「高雄百年」と「十字架百光年」では、高雄市内における日本統治時代の建造物、風景、記念碑、文化、グルメ、言葉、音楽等を通して、高雄市百周年の歴史に想いを馳せ、2つの時代に高雄市で暮らした人々の記憶を結びつけ、市民全員によって広く祝賀ムードに包まれました。
新型コロナが収束に向かい、日本の参議院議員選挙で自民党が勝利したことにより岸田政権が安定したことで、両国間は必然的に国家正常化に向かうことになります。
台湾は中国と日本の対立の中心にあるため、中国による侵略の波に抵抗する役割を担わなければなりません。「台湾有事は日本有事、すなわち日米同盟の有事である!」…この安倍元首相のステートメントは、コンセプトからアクションに移ることを促しており、台湾と日本は経済、政治、軍事、文化の4つの分野でさらに交流を深めていかなければなりません。
日米豪印クアッド(QUAD)の政策に、台湾が参加することになりますが、高雄市の代表である私たちは、台湾と日本の相互信頼関係をこれまで以上に深めることを第一の責務として、昼夜を問わずこれに邁進する所存です。
安倍元首相の生前の最大の願いは、日本国憲法の正常化であり、中国による愚かな侵略野心を抑え、自由で開かれたインド太平洋地域の結束を各国に喚起することでした。安倍元首相のこの遺志は、台湾にいる私たちがよく知るところです。
高雄市の場合、姉妹都市交流や政府・民間の定期的な交流訪問…例えば「日台友情Always Here」芸術文化展や台日友好野球チームの友好活動などを通して、より深い絆が深まってきております。「天は自ら助くる者を助く」、台湾は「立ち上がり」、日本と協力して民主主義国家の一員として影響力を発揮するだけでなく、インド太平洋地域に自らの居場所を見つけ、台湾人ひとり一人が安心して暮らせる国づくりに励むべきです。
安倍元首相は亡くなりました。しかし、台湾全土に広がる台湾人の反応を見ますと、台湾と日本の関係はもはや友人であることを超え、家族以上の切っても切れない絆が確かにあることを強く思い知ることができました。
台湾を愛し、台湾を支持し、台湾を暖かく抱擁された安倍元首相の御遺志は、両国国民の中で力強く引き継がれていくのは確かです。
私たちひとり一人の力は確かに小さいですが、力を合わせれば何でもできます。安倍元首相の御遺志をそれぞれができる範囲で引き継ぎ、深め、実現することは可能なのです。台湾と日本の絆はとても強く、決して壊れることはありません。
(翻訳:山本康貴)
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