北投石や温泉をめぐる日本と台湾の心も温まるワンテーマ交流

先般、3月18日から22日まで東京・虎ノ門の台湾文化センターにおいて、台北市北投と秋田県玉川温泉で採掘された微量のラジウムを含む「北投石(ほくとうせき)」の展示会が開かれた。

18日のオープニング・セレモニーには謝長廷・台北駐日経済文化代表処も参加した。

不思議なことに、北投石は世界の中で日本と台湾、それも秋田県の玉川温泉と台北市北投区の北投温泉の2ヵ所からしか産出しない。

その縁により、秋田県仙北市の玉川温泉と北投温泉は2011年8月19日に「温泉姉妹協定」を締結している。

一方、玉川温泉も北投温泉も温泉同士だったことから、この協定を機に日台の温泉交流が始まった。

同年11月に松山市の道後温泉と北投温泉が「温泉友好交流協定」を結び、本会調査によれば2019年までに10件、それも10県に及ぶ温泉協定を結んでいる。

石川県加賀市など、温泉への誘客を視野に姉妹都市などの都市間提携を結んだ自治体も少なくない。

日本人も台湾人も温泉大好きな人が多い。

台湾を訪れるたびに温泉巡りをしている日本人もいれば、日本を訪れるたびに温泉を巡る台湾人もいる。

台湾側はグルメや農産品などを日本で紹介し、日本側はベテラン女将を台湾に派遣して技術交流を行うなど、温泉交流は地味ではあるが、心までほかほかと温かくなる長続きするワンテーマ交流のようだ。

◆日本と台湾の温泉協定

1)2011年08月19日 秋田県仙北市の玉川温泉と北投温泉が「温泉姉妹協定」を締結。

2)2011年11月04日 松山市の道後温泉と北投温泉が「温泉友好交流協定」を締結。

3)2013年06月14日 和歌山県の白浜温泉と礁渓温泉が「温泉姉妹協定」を締結。

4)2014年10月11日 鹿児島県の指宿温泉と北投温泉が「姉妹温泉協定」を締結。

5)2014年10月29日 兵庫県の有馬温泉と新竹県が「友好交流提携に関する覚書」を締結。

6)2016年02月24日 大分県の由布院温泉と台中市温泉が「観光友好交流協力協定」を締結。

7)2016年10月04日 鳥取県の三朝温泉旅館協同組合と台中市温泉観光協会が「温泉観光友好交流協定」を締結。

8)2017年09月08日 岐阜県の下呂温泉観光協会と台中市温泉観光協会が「温泉観光交流協定書」を締結。

9)2017年12月 日 青森県温泉協議会と台中市温泉観光協会が「友好交流協定」を締結。

10)2019年09月02日 茨城県の大洗旅館組合と新北市温泉観光協会が「連携に関する覚書」を締結。


謝長廷・駐日代表が「台日北投石 養生・文化・科技 北投石で繋がる台日交流」展に出席【台湾週報:2024年3月21日】https://www.taiwanembassy.org/jp_ja/post/96155.html

 台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表は3月18日、駐日代表処台湾文化センターで開催された「台日北投石 養生・文化・科技 北投石で繋がる台日交流」展の開幕式に出席した。

このなかで謝・駐日代表は「北投石は全世界で台湾の北投温泉と日本の秋田県の玉川温泉のみで産出される一種の特殊な鉱石であり、その縁で北投温泉と玉川温泉の友好協定も(2011年に)締結された。

同展を通して、北投石の歴史とそれに連なる台日の友情について理解を深めてほしい」とあいさつした。

同展の開幕式には劉政池・中華観光事業発展基金会会長、畠山米一・玉川温泉社長、西村隆作・仙北市国際交流協会会長、鄭憶萍・台湾観光庁/台湾観光協会東京事務所所長らが出席し、会場に展示された台湾と日本の北投石についての解説が行われ、台湾と日本の「北投石」と温泉を通じた交流を紹介した。

「北投石」は地質学者の岡本要八郎が1905年に台湾の北投温泉で発見した鉱物が、ラジウムを含む温泉沈殿物重晶石(硫酸バリウム)であることが分かり、北投温泉にちなんで「北投石」と命名された。

また、謝長廷・駐日代表は3月20日に台湾文化センターで開催された周東寛医師(医療法人健身会理事長)の特別講演会にも出席し、北投石の特性と健康法について対談した。


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