ドイツから6会派すべての議員による超党派公式訪問団が訪台

 本誌では、米国など海外要人の台湾訪問についてできる限り伝えたいと思っています。海外要人の訪台は、台湾の重要性を証明するバロメーターであり、中国の台湾への威圧を抑止させる効果を持つものと思われるからです。

 10月2日、ドイツ連邦議会による正式な訪問団として超党派の国会議員団4人が訪台、遅れて2人が到着する予定で、これはドイツ連邦議会に議席を持つ6会派すべてから議員が1人ずつ参加する訪台団だそうです。

 ドイツからの公式議員訪問団はこれまであったのか寡聞にして知りませんが、2020年8月、チェコ共和国のミロシュ・ビストルチル上院議長など代表団90人が訪台したとき、この訪台を支持したのがドイツ、フランス、スロバキアの3ヵ国でした。

 やはり、ドイツもその一員である欧州議会が香港での人権状況の悪化を理由に「香港における基本的自由の侵害に関する緊急決議案」を可決(2021年1月20日)したことや、先進7ヵ国首脳会議(G7サミット)で「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」というフレーズが入った共同宣言を2年続けて採択したことなどが強く影響しているのではないかと思われます。

 ドイツ議員団は滞在中、蔡英文総統や頼清徳副総統との会談が予定され、また、游錫●・立法院長や呉[金リ]燮・外交部長とも面会し、「安全保障関連の機関やシンクタンクも訪れ、南部のサイエンスパークなども訪問し、ハイテク産業やサプライチェーンにおける協力も深化させていく方針」(中央通信社)と伝えられています。(●=方方の下に土)

◆9月に台湾を訪台した海外要人

 8月までの台湾を訪問した海外要人についてはすでにレポートしていますので、下記に9月訪台の海外要人を列記します。9月は、米国から2回、フランス、リトアニア、チェコからそれぞれ訪台していました。

 9月は、まず米国から下院軍事委員会のメンバーであるステファニー・マーフィー議員(民主党)率いる8人の議員団が7日に訪台し、蔡英文総統などと会談して9日に離台しました。

 9月7日同日、フランス元老院(上院)のシリル・ペルバ議員が率いる外交・国防委員会副委員長や法制委員会副委員長を含む超党派議員団5人が訪台し、頼清徳副総統などと会談して12日に離台しました。仏議員団の訪台は昨年10月から4回となります。

 フランスからの訪台団がまだ台湾訪問中の9月10日、今度はリトアニア共和国から経済革新省の副大臣に就いたばかりだというジェマイティス副大臣が政府関係者やレーザー、バイオテクノロジー企業の代表者ら28人で訪台。16日に離台するまで、レーザーやバイオテクノロジー分野での提携の可能性を探るため、経済部や国家発展委員会、関連産業の研究機関や企業も訪れています。

 9月18日からはチェコ上院の「文教・人権・請願委員会」委員長で、大統領選にも出馬したイジー・ドラホシュ議員率いる訪問団14人が訪台。蔡英文総統などと会談した上、台湾と「台湾・チェコ半導体科学技術協力覚書」、「台湾・チェコ教育協力覚書」、「国立故宮博物院とチェコ国立博物館の姉妹関係協定書」などの6項目の覚書と協定書を締結し、24日に離台しました。

 9月26日には、米国のマイク・ポンペオ前国務長官が3月2日の訪台に続く今年2同目となる訪台を果たしました。高雄市で開かれた「世界台湾商会聯合総会(世界台湾商工会議所)の会合で講演し、この地域にとって唯一の脅威は中国共産党だ」「台湾は中国とは完全に異なった独立国家であり、全ての台湾人は故郷を守る重要な役目を果たしていると説明。米国は台湾の強固な同盟国であり、共和党だけでなく、民主党も含め、党派を超えて台湾を支持していることを台湾に知ってもらいたいと述べた」(中央通信社)そうです。

—————————————————————————————–ドイツ超党派議員団が台湾訪問を開始、連邦議会6会派からすべて参加【Record China:2022年10月2日】

 台湾メディアの自由時報などによると、ドイツ連邦議会議員による台湾訪問団4人が2日午前7時(日本時間同日午前8時)過ぎに、台湾の桃園空港に到着した。台湾滞在は7日までの6日間。ドイツ連邦議会に議席を持つ6会派すべてから議員が1人ずつ参加するが、乗り継ぎなどの関係で2人は3日になってから到着する。

 駐ドイツ台北代表処の謝志偉代表が、ドイツから議員団4人に同行した。桃園空港では中華民国外交部(台湾外務省)の兪大●常務次長が一行を出迎えた。一行は、「歓迎到台湾(台湾へようこそ)」と書かれた看板をバックに記念撮影をした。自由時報によると、団長のクラウス・ペーター・ビルシュ議員は、「台湾はすばらしい」と言い続けたという。(●=サンズイに雷)

 フランスメディアのRFIによると、ビルシュ議員は訪台について「民主主義(社会)を訪問する平和的な旅行に問題はない。問題は、独裁者による完全に行き過ぎた反応だ。彼らは言論に対してミサイルと軍事侵攻を用いて対応する」と述べた。

 ドイツメディアのドイチェ・ベレによると、台湾外交部の欧江安報道官は9月29日の定例記者会見で、ドイツ議員団の訪台について「ドイツ連邦議会の公式外遊の性格を持つだけでなく、中国が台湾に対する軍事的脅威を高めつつある際に、フランス国会の訪問団に続き、欧州の重要な国が実際の行動で、台湾にする確固たる支持を示した。外交部はこのことに感謝する」と述べた。

 米国のペロシ下院議長が8月初旬に台湾を訪問したことに、中国(大陸)は極めて強く反発した。米国からは8月中旬にも議員団5人が訪台した。さらに9月上旬にはフランスの国会議員5人が訪台した。ただし、米国のペロシ下院議長と議員団については、それぞれ台湾の蔡英文総統との会談が行われたが、蔡英文総統とフランスの国会議員団との会談は行われなかった。蔡英文総統と今回のドイツ議会議員団との会談の予定も、今のところ伝えられていない。(翻訳・編集/如月隼人)

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