昨年(2020年)から、ヨーロッパが東トルキスタン(新彊ウイグル自治区)や香港などで人権弾圧を続ける中国と距離をとりはじめると同時に、目に見えて台湾との関係を強化してきている。
2020年8月30日に、チェコ共和国のミロシュ・ビストルチル上院議長やフジブ市長など代表団90人が初訪台し、ドイツ、フランス、スロヴァキアがこの訪台を支持した。2021年10月6日には、フランスのアラン・リシャール元国防省率いる上院議員団4人が中国側の圧力を振り切って訪台し、続いて10月21日に欧州議会は、台湾との関係強化をヨーロッパ連合(EU)に求める「EUと台湾との政治関係と協力」という報告書を圧倒的多数で可決している。
さらに、11月3日午前7時過ぎ、欧州連合(EU)欧州議会の代表団が台湾の桃園国際空港に到着した。欧州議会から台湾に公式訪問団が派遣されるのは初めてのことだ。
代表団はフランス選出のラファエル・グリュックスマン議員を団長に、リトアニアのアンドリュス・クビリュス元首相やチェコ、ギリシャ、イタリア、オーストリアの6カ国から選出された7人と議会事務局スタッフ13人で、NHKは「議員らはEU=ヨーロッパ連合とその加盟国に対する外部からの選挙介入や世論操作などの問題を扱う特別委員会に所属」していると伝えている。朝日新聞は「台湾側は中国の反発を警戒し、直前まで訪問日程を明らかにせず、3日朝に到着した時点で公表した」と報じている。
訪台の目的は「EUも(しっかりと)台湾への支持を表明する時期に来たと考えた」(台湾国際放送)からだそうで、訪台中、中国などを発信源とするフェイクニュース(偽情報)サイバー攻撃への対処について意見を交換した。
5日までの滞在中に、蔡英文・総統や蘇貞昌・行政院長(首相)、デジタル担当のオードリー・タン政務委員(無任所大臣)らと会談し、最終日の5日、グリュックスマン団長は「台北市内で記者会見を行い『台湾は欧州にとって理念の近いパートナーであり盟友』だと述べ、台湾を支持する立場を示した」と中央通信社は伝えている。
—————————————————————————————–「台湾は盟友」=公式訪問の欧州議会代表団団長【中央通信社:2021年11月6】https://japan.cna.com.tw/news/apol/202111050008.aspx
(台北中央社)欧州議会代表団のグリュックスマン団長は5日、台北市内で記者会見を行い、「台湾は欧州にとって理念の近いパートナーであり盟友」だと述べ、台湾を支持する立場を示した。
グリュックスマン氏は、「台湾は地域で最も活躍している民主主義体制であり宝物でもある」とした上で、「台湾は孤独ではない。台湾を守ることは欧州連合(EU)の利益に合致する」と強調した。
また、EUが設立を検討している偽情報対策センターについても触れ、台湾に設立されるよう努力すると語った。
フランス選出のグリュックスマン氏をはじめ、欧州6カ国から選ばれた議員7人が加わる今回の代表団。3日から5日までの公式訪問期間中、蔡英文(さいえいぶん)総統や蘇貞昌(そていしょう)行政院長(首相)、唐鳳(オードリー・タン)政務委員(無任所大臣)らと会談し、偽情報やサイバー攻撃への対策などについて意見交換した。
(鍾佑貞/編集:羅友辰)
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