本誌では、台湾を支持する世界各国の動きをできるだけ紹介している。2年ほど前から台湾支持の動きがヨーロッパに飛び火し、相次ぐ中国離れのドミノ現象がリトアニア、スロバキア、チェコ、フランス、オランダなどに表れ、次々と台湾の国際機関への参加を支持する決議を行っている。今年はその動きが顕著になっている。
・2月25日、オランダ議会が中国・新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族の状況について、ヨーロッパでは初めて となる「ジェノサイド(集団虐殺)」と認定する動議を可決。・5月6日、フランスの元老院(上院に相当)は、台湾の世界保健機関(WHO)総会(WHA)や国際民間航空機関 (ICAO)、国際刑事警察機構(INTERPOL)、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)への参加支持の 決議を圧倒的多数で可決。・5月20日、リトアニア共和国が中国・新疆ウイグル自治区のウイグル族の状況を「ジェノサイド(集団虐殺)」と認 定し、新疆の収容施設に関する国連の調査や、欧州委員会による対中関係の見直しを要求。中国にも香港国家安全維 持法の撤廃、チベット自治区への監視団受け入れを求める決議を賛成多数で可決。・10月21日、欧州議会が。台湾をインド太平洋地域における重要なパートナーと民主国家の盟友と見なすことなど、台 湾との関係強化を欧州連合(EU)に求める「ヨーロッパ連合(EU)と台湾との政治関係と協力」という報告書を 圧倒的多数で可決。・11月18日、リトアニアに事実上の大使館となる代表事務所「駐リトアニア台湾代表処(駐立陶宛台湾代表処)」を正 式に開設。・11月29日、フランスの国民議会(下院に相当)がWHOなど国際機関への台湾の参加を支持する決議を圧倒的多数で 可決。・11月30日、オランダの下院が、中国による一方的な台湾海峡の現状変更を受け入れない立場を表明するようオランダ 政府に求める動議と、リトアニアが台湾との関係を強化することを欧州連合(EU)に支持するよう政府に促す動議 の2つを可決。
ヨーロッパ連合(EU)を離脱したイギリスでも、4月22日、下院が中国の新疆ウイグル自治区で少数民族が人道に対する犯罪とジェノサイド(民族虐殺)に苦しんでいると認定し、英政府に行動を求める決議を超党派の賛成で採択している。
これに続いて、12月1日、アイルランドが「7項目は中国の劣悪な人権問題やアイルランド国籍者の拘束をけん責する内容で、5項目は台湾と関係」する12項目を全会一致で可決したという。
下記に「Taiwan Today」誌の記事を紹介するが、Record Chinaは、台湾と関係する5項目とは「アイルランド政府に台湾の政治的自由を引き続き支持するよう求める」「中台問題の武力による解決に改めて反対する」「アイルランド政府に台湾当局者および人民と相互交流を促進するよう求める」「台湾の国際組織への参加を妨害したり、台湾を国際人道イニシアチブに参加するためのルートから孤立させたりすることを非難する」などで、「台湾との交流について他のEU諸国を参考にするべき」とも提案していると報じている。
—————————————————————————————–アイルランド上院が台湾支持の決議を全会一致で可決、台湾との関係強化に意欲【Taiwan Today:2021年12月3日】
アイルランド上院は1日、台湾支持を盛り込んだ決議を全会一致で可決し、台湾支持の強い姿勢を示した。この決議はアイルランドのマイケル・マクダウェル(Michael McDowell)元副首相を含む上院議員17人が提案したもの。そのうち7項目は中国の劣悪な人権問題やアイルランド国籍者の拘束をけん責する内容で、5項目は台湾と関係のあるものとなっている。
中華民国(台湾)外交部(日本の外務省に相当)は、アイルランド国会が台湾支援のために大きな声を上げ、揺るぎない姿勢を示したことについて「心から歓迎し、感謝する」としている。
アイルランド上院は2013年にも台湾の有意義な国際組織参加や、台湾と欧州連合(EU)による経済協力協定(ECA)締結を支持する決議を可決している。2015年には、欧州委員会に対して台湾とEUによる2者間投資協定(BIT)締結を呼びかける決議を可決した。
アイルランド上院が今回、さらに新たな決議を全会一致で可決したことは、台湾が自由・民主主義の制度を維持することを支持し、台湾が国際組織から排除されることをけん責すると同時に、台湾との関係強化を図るようアイルランド政府に促すものでもあり、その意義は大きい。
欧州諸国は近年相次いで、台湾の国際組織参与への支持、台湾との友好関係の強化、台湾海峡の平和と安定への支持と重視−などを盛り込んだ決議を可決している。外交部は2日に発表したニュースリリースで、欧州諸国の台湾に対する声援と力強い支持に「心から感謝する」と伝えるとともに、これは台湾が国際社会において決して孤独ではないことを証明するものだと述べている。
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