【祝】高雄市医師公会から届いた防護服などを日台友好議連が和歌山市に寄贈

 本誌でお伝えしたように、宜蘭県蘇澳鎮から4月20日に石垣市に立体マスク3000枚と不織布600セットなどが寄贈され、21日には200万枚のサージカルマスクも寄贈されました。

 また、日本で医療用フェイスシールド(飛沫などを防ぐ防護面)や防護服が不足していることを知った台湾の高雄市医師公会からは、大阪や京都の医療従事者を支援しようとフェイスシールド含む医療物資20箱が寄贈されたこともお伝えしました。

 これらのニュースを見ていて心の底から感謝の気持ちが沸き起こり、目頭が熱くなりました。

 高雄市医師公会からの防護服300着とフェイスシールド600個は日台友好和歌山市議会議員連盟(遠藤富士雄会長)に届き、5月1日、同議連から和歌山市の尾花正啓(おばな・まさひろ)市長に手渡されたそうです。

 このとき、尾花市長は「議員連盟同士のつながりがあったからできたこと」と話したことを地元紙の和歌山新報が伝えていますので下記にご紹介します。

 議員連盟同士のつながりとは、和歌山新報が伝えているように、高雄市と和歌山市が市議会同士で2018年に「友好交流に関する覚書」を締結したことを指しています。

 これは、この年の7月に台湾で行われた「日台交流サミットin高雄」に向けて友好関係を深めようと、6月8日に和歌山市議会議場で「友好交流に関する覚書」の調印式が行われました。調印式には台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表や高雄市議会議員8名などが立会い、和歌山市議会の古川祐典議長、高雄市議会の康裕成議長、日台友好和歌山市議会議員連盟会長の遠藤富士雄市議、高雄市議会国民外交促進会の蕭永達会長が署名しています。

 和歌山市議会はその後、遠藤富士雄市議などが働きかけ、昨年12月20日の本会議において、賛成多数をもって「国においては、既に結ばれた実務上の交流に関する取決め及び今後必要となる取決めに対する法的基礎を与えるため、早急に『日台交流基本法』を国内法として制定するよう強く要望する」とした「日台交流基本法の制定を求める意見書案」を日本の議会で初めて可決しています。

 なお、和歌山新報は記事の最後に「台湾からは今後さらに、医療関係の企業から患者にかぶせることで飛まつ感染を防ぐエアロゾルボックスが届く予定となっている」と報じています。

 エアロゾル・ボックスとは聞き慣れない名前ですが、エアロゾルとは空気中に存在する細かい粒子のことで、「Taiwan Today」によりますと、このエアロゾル・ボックスは花蓮県の台湾基督教門諾会医院の頼賢勇医師が開発したアクリル製のボックスのことで、武漢肺炎の感染者に気管挿管する際、患者の頭部を透明のボックスで覆い、医療従事者をウイルス感染から守る器具だそうです。米国では、この「エアロゾル・ボックス」のおかげで医療関係者の飛沫感染リスクが95%以上削減されたという報告もあるそうです。

 なんとも画期的な開発ですが、頼賢勇医師は、臨床経験をもとに、新生児を入れる保育器を参考に自ら作ったそうで、特許出願すると他の人が作れなくなることから、「3月22日、著作物の流通促進を目的とした非営利団体『クリエイティブ・コモンズ』のサイトに登録し、『エアロゾル・ボックス』の設計図を誰もが無料でダウンロードできるようにした」そうです。

 設計図を無料でダウンロードできるところから、すでに20カ国以上で採用され、日本でも、千葉市美浜区の看板製造「協同工芸社」が千葉県市原市の五井病院の協力を得て作り、全国の医療機関に50台を無料配布することにしていると報じられています(5月1日付「産経新聞」)。

 武漢肺炎の感染防止では台湾は、WHOも「称賛に値する」と高く評価するほどの実績を示していますが、この「エアロゾル・ボックス」の開発と設計図の無料公開も「称賛に値する」快挙と言ってもいいのではないでしょうか。

◆台湾人医師が公開した「エアロゾル・ボックス」設計図、世界20か国で採用 【Taiwan Today:2020年4月6日】 https://jp.taiwantoday.tw/news.php?unit=151&post=174846&unitname=%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9-%E6%94%BF%E6%B2%BB&postname=%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E4%BA%BA%E5%8C%BB%E5%B8%AB%E3%81%8C%E5%85%AC%E9%96%8B%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%8C%E3%82%A8%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%82%BE%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%80%8D%E8%A8%AD%E8%A8%88%E5%9B%B3%E3%80%81%E4%B8%96%E7%95%8C20%E3%81%8B%E5%9B%BD%E3%81%A7%E6%8E%A1%E7%94%A8

—————————————————————————————–防護服やマスク寄贈 台湾の高雄市医師公会【わかやま新報:2020年5月3日】https://www.wakayamashimpo.co.jp/2020/05/20200503_93788.html写真:届いた物資を手に日台友好議員連盟と尾花市長(左から2人目)  台湾の高雄市医師公会から医療機関に向けて防護服とフェイスシールド(飛まつ防護マスク)が寄贈され、1日に仲介した日台友好和歌山市議会議員連盟から尾花正啓市長への寄贈式が行われた。

 高雄市と和歌山市は市議会同士で2018年に友好交流に関する覚書を締結。以後台湾との交流を深めてきた。日台友好和歌山市議会議員連盟には4月28日ごろ、防護服300着とフェイスシールド600個が到着した。

 議員連盟会長の遠藤富士雄市議と寒川篤市議、戸田正人市議、宇治田清治市議、井上直樹議長が尾花市長に防護服とフェイスシールドを手渡した。遠藤市議は「医師公会は大阪の病院が雨合羽で治療にあたっていることを知り、寄贈を決めたと聞いた。台湾の皆さんにも届いたことをしっかり伝えたい」、尾花市長は「まだ医療崩壊には至っていないが、この先どうなるか分からない。議員連盟同士のつながりがあったからできたことだと思う」と話していた。

 台湾からは今後さらに、医療関係の企業から患者にかぶせることで飛まつ感染を防ぐエアロゾルボックスが届く予定となっている。

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