が日本にあることは、歴史的にも国際法的にも明白だからだ。それは、台湾(中華民国)
が発行した地図などでも立証できる。
中国は自国の覇権確立のため、戦略的にどうしても尖閣諸島が欲しい。他国の領土であ
ろうと、米国との覇権争いに勝つため、南シナ海、そして尖閣諸島のある東シナ海が必要
なのだ。そこで、何とか日本と台湾を対立させるため、台湾に「共闘」の秋波を送ってい
る。台湾という「壁」を取り除きたい下心が透けて見える。
日本は東シナ海を安定させ、台湾との関係に楔(くさび)を打ち込もうとする中国に対
抗するためにも、石油ルートである南西シーレーンの安定を確保するためにも、沖縄や石
垣の漁民のためにも、台湾との「漁業協議」を再開する必要に迫られている。
台湾もまた同様、日本との角逐は避けたい。厄介な中国には付け込まれたくない。国内
向けに尖閣諸島の主権を主張しつつ、漁民のためにも、漁業協議を成功させる必要に迫ら
れている。
ここにおいて、日本と台湾の国益は合致している。今朝の毎日新聞が日台漁業協議が
「11月にも再開することが分かった」と報じている。記事では「日本と台湾が主張する排
他的経済水域(EEZ)」の地図も掲載しているので、下記に紹介したい。
日本が尖閣諸島の主権を前提にした協議を考えているとすれば、それは成功しない。こ
れまでの経緯から十分に分かっているはずだ。「台湾有事」や「日本版「台湾関係法」制
定をも想定した交渉が望まれる。
日台漁業協議:11月にも再開へ 尖閣めぐり中国けん制
【毎日新聞:2012年10月22日】
http://mainichi.jp/select/news/20121022k0000m030111000c.html
【台北・大谷麻由美】日本と台湾の間で09年2月に中断した沖縄県・尖閣諸島(台湾名・
釣魚台)海域の漁業権を巡る協議が11月にも再開することが分かった。日本側は9月初旬に
「早期開催」を提案。台湾も「11月開催」を目指し、議題固めを急いでいる。
尖閣諸島の主権問題を巡って、日中間の対立は解決の糸口が見えない上、中国は台湾に
「尖閣防衛の共闘」を迫っている。台湾は、武力統一を放棄しない中国に取り込まれない
よう、最大の後ろ盾・米国との良好な関係維持と日台関係の安定は欠かせない。先月25日
に尖閣領海に侵入した台湾宜蘭(ぎらん)県の漁船団は漁業権確保を主張しており、日本
は中台連携を阻止するため、日台間の「唯一の問題」(外交筋)とされる漁業問題に真剣
に取り組み始めた。
日台は双方の沿岸から200カイリの範囲で漁業権などを認める排他的経済水域(EEZ)
の主張が尖閣諸島を含む海域で重なる。主権問題には踏み込まないことで原則合意してい
るが、台湾はEEZの線引きで日本に「台湾漁民の権益を尊重し、善意を示して」と譲歩
を迫っており、漁業協定締結は容易ではなさそうだ。
日本と中国の間では00年6月、双方のEEZを確定せず、尖閣諸島を含む北緯27度以南の
水域で相手国の許可を受けずに漁船が操業できる水域を設ける漁業協定が発効した。
台湾漁業署によると日台間も05年7月の協議で、北緯27度以南に双方の法律適用を免除し
た水域を設ける方向で話し合った。だが、96年8月の第1回協議からEEZの線引きが問題
となってきた。
EEZの対立は03年11月、台湾内政部(内務省)が日本側に大きくはみ出した「暫定執
法線」を設定し鮮明になった。台湾外交部(外務省)は「漁民保護のため」と説明する。
一方、日本は04年9月の協議で暫定執法線について「一方的な措置は認められない」と反
論。05年7月の協議で、日台の中間線を協議の前提とする立場を伝えた。台湾は自らに有利
な「衡平の原則」による線引きか、暫定執法線を協議の前提として求め、漁業協議は事実
上止まった。
暫定執法線は既成事実化しつつあり、台湾漁船を追い返す日本側と対立する原因の一つ
になっている。