台湾と中国が異なることを示す代表処の「日本人の台湾に対する意識調査」

12月1日、駐日台湾大使館に相当する台北駐日経済文化代表処が今年(2025年)度の「日本人の台湾に対する意識調査」を発表した。

毎回、「もっとも親しみを感じるアジアの国・地域」を最初の質問に掲げていて、台湾、中国、韓国、タイ、シンガポール、フィリピン、ベトナム、インド、それ以外の中から選ぶが、今回も台湾が断トツに高く44.0%だった。

以下、韓国:19.8%、シンガポール:8.4%、タイ:7.8%、ベトナム:3.5%、フィリピン:2.0%、マレーシア:1.5%、中国とインドネシア:1.4%、インド:1.1%の順だった。

2023年の調査で台湾は46.2%だったから2ポイント落ちたというものの、日本人がアジアの国・地域でもっとも親しみを感じていることに変わりはなかった。

それは、台湾に親しみを感じる日本人が74・5%、台湾を信頼できるは63・6%、現在の台日関係は良好であるは68.5%という、いずれも高い数字に表れている。

今回、初めて出てきた質問に「問25 あなたは、台湾が国連、WHO、ICAO※など国際機関への参加を目指す中で、中国の干渉によるさまざまな困難に直面していることをご存じですか」と、次の「問26 台湾の国際機関への参加について、あなたはどのように考えますか」があった。

問25について「知っている(計)」(「よく知っている:11.1%」と「ある程度知っている:50.6%」)と答えた割合は61.7%と高く、問26についても「参加すべきだと思う」が64.8%にのぼり、台湾が国際機関に参加できない現状と原因について日本でも理解されていることを示している。

李逸洋・台北駐日経済文化代表処代表は、世論調査について「日本の人々が台湾と中国を混同せず台湾人と中国人がまったく異なるということをはっきり理解していることだ」と述べたそうだ。

はっきり理解しているとまでは言えないかもしれないが、その傾向が顕著に表れていることを裏づける世論調査である。


日本人の台湾に対する意識調査結果 2025年 【台北駐日経済文化代表処:2025年12月1日】https://www.taiwanembassy.org/jp_ja/post/109660.html

台北駐日経済文化代表処(台湾代表処)は今年(2025年)度の「日本人の台湾に対する意識調査」を実施した。

その結果について李逸洋・駐日代表は、最も注目される「親しみを感じる」、「信頼できる」、「台日関係」の3つの指標が今回の調査結果では、74.5%の人が台湾に親しみを感じ、63.6%の人が台湾は信頼できると答え、68.5%の人が現在の台日関係は良好であると考えていることを説明した。

このうち「親しみを感じる」について李代表は、今回と前回(2023年)の調査結果(76.6%の日本人が台湾に親しみを感じる)を比べると、割合が若干下がっており、日本台湾交流協会が今年4月に発表した「台湾における対日世論調査」の結果(81%の台湾人が日本に対して親しみを感じる)と比べても、やや差があるとの認識を示した。

これに関して李代表は、当代表処は台日交流と友好協力をさらに強化していくべきであり、日本の台湾に対する良い印象を拡げていくと同時に、台湾の国民全体がさまざまな分野や方向から台湾のイメージを向上するために共に努力していく必要があると指摘した。

また、李代表は、今年2回にわたり発表が延期されている「日中共同世論調査」の昨年の調査結果では、89.0%の日本人が中国に対して良くない印象を抱き、87.7%の中国人が日本に対して良くない印象を抱いており、「これは台湾に対する調査結果とは天と地の差だ」と強調した。

李代表は、「世界の多くの国々では台湾人と中国人の見分けがはっきりしない。

台湾人と中国人の振る舞いやマナーなどの違いはあるが、言葉や見た目での区別はつきにくい。

世論調査で明らかになったのは、日本の人々が台湾と中国を混同せず台湾人と中国人がまったく異なるということをはっきり理解していることだ」と述べ、日本の人々に対して深い感謝の意を表した。

今回の調査によると、44.0%が選択肢に挙げたアジアの主要国の中で最も親しみを感じるのは「台湾」と答え、トップだった。

台湾と聞いて思いつくことは何かの質問には(複数回答可)、「日本に友好的」が73.5%で最も多く、次いで「食べ物がおいしい」43.0%、「日本と歴史的なつながりがある」36.5%、「観光地が豊富」26.1%、「半導体産業が世界に注目されている」23.7%、「台湾有事」22.4%、「多くの台湾人観光客が日本を訪れている」20.8%、「自由・民主主義の国」19.7%、「経済が発展している」17.9%、「台湾は多様な文化を有している」10.9%、「台湾製の商品は良い」5.8%の順だった。

台湾に対する親しみについては、74.5%が台湾に「親しみを感じる(計)」(「親しみを感じる」+「どちらかというと親しみを感じる」)と答えた。

その理由は(複数回答可)、「台湾人が親切、友好的」72.3%が最も多く、次いで「歴史的に交流が長い」40.5%、「経済的な結びつきが強い」31.4%と続いた。

台湾に対する信頼については、63.6%が台湾は「信頼できる(計)」(「非常に信頼できる」+「信頼できる」)と答えた。

その理由は(複数回答可)、「日本に友好的だから」69.7%が最も多く、次いで「自由・民主主義などの価値観を有している」50.8%、「歴史的なつながり」37.7%、「平和な国だから」33.0%、「経済・貿易パートナーだから」31.0%と続いた。

台日関係については、68.5%が現在の台日関係は「よい(計)」(「よい」+「どちらかといえばよい」)と答え、54.3%が将来の台日関係は「発展する(計)」(「発展する」+「ある程度発展する」)との見方を示した。

今後台日双方で力を入れて行うべき交流の分野については(複数回答可)、1位から3位までは「観光」46.2%、「経済」45.2%、「政治、安全保障」40.3%の順だった。

台日間で最も懸念される問題については、「台湾海峡情勢(台湾と中国との関係)による日本への影響」49.6%が最も多く、次いで「ない」22.5%、その後に「領土問題」9.0%、「経済面での競合関係」7.2%が続いた。

今回の調査では、日本人に「『アジア太平洋地域の平和と安定』のために重要であること」についても質問したところ(複数回答可)、「外交や対話による協調」が54.5%、「日米台の連携の構築」が36.1%、「日本の防衛力の強化」が34.0%、「米国が台湾の防衛に積極的にかかわること」が25.4%、「台湾の防衛力の強化」が24.5%、「日米同盟の強化」が24.4%、「EUをはじめとする世界有志国の連帯」が23.4%の順だった。

近年、テレビ・ラジオ番組、新聞・雑誌またはネットニュースなどで台湾に関する報道を見たことがあるかの質問には、59.3%が「見たことがある(計)」(「よく見る」+「ときどき見る」)と答えた。

その中で、強く印象に残った報道については(複数回答可)、「中国が台湾周辺で軍事演習を実施したこと等の台湾海峡情勢」が64.9%、「台湾のグルメ」が48.9%、「台湾の半導体産業(TSMC等)に関する動向」が38.1%、「台湾の観光や文化を紹介するもの」が37.1%だった。

台湾が国連、WHO、ICAOなど国際機関への参加を目指す中で、中国の干渉によるさまざまな困難に直面していることについて、61.7%が「知っている(計)」(「よく知っている」+「ある程度知っている」)と答えた。

また、また、台湾の国際機関への参加についてどのように考えるかの質問には、64.8%が「参加すべきだと思う(計)」(「参加すべきだと思う」+「どちらかといえば参加すべきだと思う」)と答え、「参加すべきではないと思う(計)」(「参加すべきではないと思う」+「どちらかといえば参加すべきではないと思う」)はわずか2.8%だった。

回の調査は2025年10月24日〜10月28日に、20歳〜89歳の日本人を対象に、全てインターネット調査形式で実施した。

標本数は1,000人。

当代表処は同意識調査を2016年から2021年まで毎年実施し、その後は2年1回実施している。

今年度も前回までの調査と同様に日本の「一般社団法人中央調査社」に委託し、意識調査を実施した。

【2025】台湾に対する意識調査_報告書https://www.taiwanembassy.org/uploads/sites/44/2025/12/%E3%80%902025%E3%80%91%E5%8F%B0%E6%B9%BE%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E6%84%8F%E8%AD%98%E8%AA%BF%E6%9F%BB_%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8.pdf

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