トランプ政権がケリー・クラフト国連大使を台湾に派遣

 米国を凌駕しようとする中国の覇権的台頭を抑え、一方で積極的に台湾との関係強化を図ってきたトランプ政権だが、トランプ大統領の任期が2週間を切った1月6日、ポンペオ国務長官がケリー・クラフト国連大使を台湾に派遣すると発表した。

 トランプ大統領は政権発足以来、台湾へ11度にも及ぶ武器供与を決行している。トランプ政権の台湾との関係強化策は「台湾旅行法」や「台北法」を制定し、閣僚のアレックス・アザー保健福祉長官を台湾に派遣するなど、米国史に残る台湾との蜜月時代をつくったが、やはりその画期は武器供与に止めを刺すと言っていいだろう。

 また米国はこの1月1日、「中国の悪意ある行動を抑止」するため、台湾の国防力の近代化をサポートすることを改めて支持し、同盟国やパートナーを支援する「太平洋抑止イニシアチブ」の新設を盛り込んだ「2021年度国防権限法」を制定したばかりで、国連大使の台湾派遣はトランプ政権の執念とも言える決定だ。

 クラフト氏の前任のニッキー・ヘイリー氏は、国連大使を降任後の昨年4月、中国が国連と国際組織で経済力相応の分担金を負担すべきことと台湾のWHO加入を求めて「ストップ共産中国」という署名活動を行ったことは未だ記憶に新しい。

 昨年9月12日、その後を襲い、駐カナダ大使などをつとめたクラフト氏が国連大使に就いたが、就任早々の9月16日、総領事に相当する台北駐ニューヨーク経済文化弁事処処長と昼食を取りながら会談し、クラフト氏はその会談を「歴史的」と讃え、トランプ政権による台湾とのさらなる関係強化を象徴するものだと述べたと報じられた。

 さらに、コロナ抑制に成功する台湾を讃えて「われわれはみんな台湾のノウハウや経験を必要としている」と述べるとともに、「世界にとって台湾の国連システムへの完全な参加が必要」と述べて、WHOなど国際機関への台湾加盟支持を強く表明したことも話題となった。

 ブッシュ政権で国連大使を務め、トランプ政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官となったジョン・ボルトン氏やニッキー・ヘイリー氏、そしてケリー・クラフト氏、いずれも民主台湾の主体性を尊重する親台湾派と言ってよい。

 共同通信は「中国の国連加盟を受けて台湾が追放された1971年以降、米国連大使の訪台は初」と伝えている。一部報道では1月13日に訪台するとも報じられ、クラフト国連大使が習近平中国共産党政権とバイデン次期政権にどのような楔(くさび)を打ち込むのかその動向に注目したい。

—————————————————————————————–米国連大使、台湾訪問へ ポンペオ国務長官が発表【中央通信社:2020年1月7日】https://japan.cna.com.tw/news/apol/202101070007.aspx

 (ワシントン中央社)ポンペオ米国務長官は6日、ケリー・クラフト米国連大使が台湾を訪問すると発表した。声明では、台湾を「信頼できるパートナーであり、力強い民主社会」だと形容し、「台湾は自由な中国が実現可能なことを示している」と言及した。訪台の詳細な日程については明かされていない。

 香港で民主活動家ら50人超が逮捕されたのを受けて出した声明の中で明らかにした。

 ポンペオ氏は声明で、台湾の民主主義について、「中国共産党がその成功を損ねようとするにもかかわらず花開いた」とたたえた。

(徐薇?/編集:名切千絵)

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