トランプ政権になって以降、米国の連邦議会は積極的に台湾との関係強化を図る「台湾旅行法」(2018年3月16日)やアジア再保証イニシアチブ(促進)法」(2018年12月31日)、台北法こと「台湾同盟国際保護強化イニシアチブ2019年法」(2020年3月26日)といった法案を可決し、トランプ大統領の署名をもって成立させてきた。連邦議会が大統領を動かしている印象が強い。
このほど「連邦政府職員に奨学金を提供し、中国語の習得などを後押しすることを目的とする法案『タイワンフェローシップ・アクト』(台湾奨学金法)の草案を提出」「研修期間は2年とされ、中国語の学習と台湾での研修機会を通じて台湾事情に詳しい人材の育成を目指す」と中央通信社が報じている。
米国の連邦議会が台湾との関係強化をはじめるにあたって、まず2016年7月6日に「『台湾関係法』と台湾に対する『6つの保証』を米台関係の基礎とすることを再確認する第38号両院一致決議案」を可決してその法的基礎を固め、その上に「台湾旅行法」などを成立させてきた。
今度は人材を育成しようという法案だ。法を基礎に、台湾との交流を発展させるためには人材が必要だから、その人材を育成しようということのようだ。米国は目のつけどころが違う。
これなら日本でもできそうだ。外務省ばかりでなく、財務省、経産省、法務省、防衛省などの職員から人材を募って「台湾通」を育てるプログラムなら、立法化せずともできるのではないだろうか。
後藤新平に「カネを残すのは下、事業を残すのは中、人を残すのは上」という箴言がある。日本もいまこそ台湾との関係強化のため、後藤の言葉をプログラムとして実践したいものだ。
—————————————————————————————–米議員、台湾通を育成する法案提出 奨学金提供などで【中央通信社:2020年6月27日】
(ワシントン中央社)米上下両院の超党派議員が現地時間26日、連邦政府職員に奨学金を提供し、中国語の習得などを後押しすることを目的とする法案「タイワンフェローシップ・アクト」(台湾奨学金法)の草案を提出した。
同法案は、米議会が知日派中堅官僚の育成を目的に1994年に設立した政府間研修プログラム「マイク・マンスフィールドフェローシップ」を参考にしたもので、上院議員のエド・マーキィー氏(民主党)やマルコ・ルビオ氏(共和党)、下院議員のテッド・ヨホ氏(共和党)らによって提出された。研修期間は2年とされ、中国語の学習と台湾での研修機会を通じて台湾事情に詳しい人材の育成を目指すという。
法案では、中国の影響で外交的に孤立した台湾だが、新型コロナウイルス対策ですでに世界をリードしていると指摘。同プログラムの目的については台湾と米国の人的往来の発展を図ることにあると説明された。
ヨホ氏は、台湾に関する専門知識のみならず、インド太平洋地域に対する米の理解も深まると述べ、中国の脅威を受けている地域の安定を維持するのに極めて大切だと法案の重要性を強調した。
(江今葉/編集:荘麗玲)
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