のりゆき)市長自らりんごキャンペーンや観光客誘致のために台湾を訪問している。2014年からは
「中学生台湾交流事業」を始め、弘前市内の中学生らが高雄市や台南市の中学校を訪問する一方
で、高雄市や台南市の小学生や中学生の農家民泊を通じた交流も続けている。
本年1月4日には、交流を進めてきた台南市との間で、早ければ2016年度に友好交流促進協定を締
結、農業、観光、教育分野を中心に、人材交流や修学旅行の相互訪問などを行い、連携を深める意
向を明らかにしている(2016年1月5日付「東奥日報」)。
このたび野球・ソフトボールが2020年の東京オリンピックで正式種目に復活したことを受け、台
湾ソフトボール協会と誘致交渉を重ね、9月8日、弘前市内で事前合宿を行う方針であることを明ら
かにし、また協定を締結する予定であることも明らかになったという。下記に毎日新聞の記事をご
紹介したい。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、静岡県の御殿場市が「2014年から台湾サッ
カー女子代表チームが市内で合宿するなど、民間レベルでのスポーツ、経済交流が盛ん。これまで
の実績を生かし、事前合宿誘致を進める」として、本年6月14日、台湾の選手と地域住民の交流を
促進する「ホストタウン」に登録され、同市は7月12日に台湾バナナの普及や人的交流の促進を盛
り込んだ覚書を台湾の農業委員会と結んでいる。
共同通信は「台北で覚書に調印した若林洋平市長は『五輪合宿誘致だけでなく、これを機会に観
光、教育分野などにも交流を広げたい』と抱負を語った」と報じている。
ちなみに、内閣官房東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局の
発表している「ホストタウン一覧」(6月14日現在)によれば、2020年の東京オリンピック・パラ
リンピックにおいてホストタウンに登録されているのは91件で、台湾のホストタウンは、北海道は
士別市と名寄市、山形県は山形市、静岡県は静岡市、掛川市、御殿場市の6自治体6件。
6自治体はいずれも台湾との交流があり、例えば名寄市は「2015年には名寄日台親善協会を設立
し関係強化を進めている。また、Sport for Tomorrowの事業として、台湾とスポーツ交流を行って
おり、こうした縁を活かし、台湾の事前合宿誘致を進める」として申請し、本年1月26日に登録さ
れている。
また、加藤剛士(かとう・たけし)市長は全国青年市長会のメンバーとして、7月31日に石垣市
で開かれた李登輝元総統の講演会とその後のレセプションに参加し、9月2日には交流自治体である
杉並区の田中良区長と一緒に謝長廷・台北駐日経済文化代表処代表を表敬訪問するなど、殊のほか
台湾との交流に熱心だ。
余談になるが、中国の自治体と日本の自治体の姉妹都市は361件(2015年12月末、自治体国際化
協会北京事務所発表)にも及ぶ。しかし、今のところ91件のホストタウンに中国を登録した自治体
は見当たらない。
東京オリンピックの事前合宿地やホストタウンをきっかけに、台湾との交流が始まったり深まっ
たりするケースも出て来ている。この交流が姉妹都市などに順調に発展してゆくことを願いたい。
◆東京オリンピック・パラリンピックにおけるホストタウン一覧(2016年6月14日)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tokyo2020_suishin_honbu/hosttown_suisin/gaiyou_dai1.html
<20年東京五輪> 弘前で事前合宿 台湾ソフトと協定締結へ
【毎日新聞:2016年9月9日】
弘前市は8日、2020年の東京五輪に向け、台湾ソフトボールチームが市内で事前合宿を行う方針
であることを明らかにした。今年度中に台湾側と協定を締結する予定。葛西憲之市長が9月市議会
一般質問で答弁した。
市によると、ソフトボールが東京五輪の追加種目に決定した後、北京五輪ソフトボール女子日本
代表監督として金メダルを獲得した斎藤春香さん(同市職員)を通じて台湾ソフトボール協会と誘
致交渉を重ねた。五輪出場が決定した場合、弘前市のはるか夢球場などで事前合宿することでほぼ
合意したという。
三浦直美・市民スポーツ振興課長は「合意の背景には、リンゴとアップルマンゴーの果物交流や
小中学生の交歓など、台湾と交流を積み上げてきた実績がある」と話す。
東京五輪に向けた事前合宿では、今別町がモンゴルのフェンシングチームを受け入れることで基
本合意している。【松山彦蔵】