陳銘俊氏が台北駐福岡経済文化弁事処処長に就任

 許世楷氏(津田塾大学名誉教授)が台北駐日経済文化代表処代表だった2004年から2008年、日台関係はかなり深化した。その象徴が李登輝元総統の2007年の来日だ。2001年の初来日以来課せられていた「政治家と会わない、記者会見しない、講演しない、東京に入らない」という来日条件がすべて取り払われた。

 この許世楷代表を特別秘書として補佐していたのが陳銘俊氏だった。10月1日付で総統府機要室長から台北駐大阪経済文化弁事処福岡分処処長に就任する。産経新聞がインタビューして記事にまとめているので下記にご紹介したい。

—————————————————————————————–「九州人として働く」台北駐福岡経済文化弁事処の陳銘俊・新処長【産経新聞:2021年9月30日】https://www.sankei.com/article/20210930-7PAB7DFPYBMHZG45WOR7JD2RKQ/

 台湾の領事館に相当する台北駐福岡経済文化弁事処の処長に10月1日付で就任する陳銘俊氏が、産経新聞のインタビューに応じ「九州・山口と台湾の関係をどこよりも密接なものにしたい」と述べ、関係深化に強い意気込みを見せた。詳細は以下の通り。

 日本の国際交流にあって九州は先端を走っています。台湾にとっても九州は身近な存在です。先の大戦前、台湾の近代化に大きく貢献した日本人の多くは九州や山口の出身でした。また今回、福岡赴任が決まってから初めて知ったのですが、親しくしている医師のお父さまが九州大医学部の出身でした。

 このような環境の上で処長となる身としては、弁事処を留学生や日本在住者にとって実家のような存在とすることに加え、九州・山口の日本人や企業にさまざまなサービスを提供できるところにしたい。

 観光や経済、文化などあらゆる分野で台湾とのパートナーシップを樹立する際、台湾の政府や企業との架け橋になります。台湾の外交官としてはもちろん、九州人としての自負も持ち、先頭に立ってやっていきます。

 経済関係では、台湾の世界的半導体メーカー、TSMC(台湾積体電路製造)が、熊本県などに新工場を建設する検討に入っていると伝えられています。日本だけでなく、世界各国が誘致に意欲を示しています。有利な条件、環境が作れるよう、私もできる限りのことはやりたいと思っています。

 観光では、台湾からの日本旅行熱は高いが、日本人で台湾に一度も来られたことがない人は多い。一方通行はよくない。観光当局と台湾への旅行を奨励する施策が取れないか、調整しています。

 一方で、台湾と日本との関係を深化させる上で、障害が存在しているのは事実です。私から見れば、さまざまな歴史的経緯や国際環境などに配慮し日本人が自縄自縛しているように感じる部分もある。まずはしっかりと顔と顔をあわせて交流し打破していきたい。

 台湾は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への加入を正式申請しました。この交渉は、台湾にとって非常に重要で、生死に関わる問題です。日本にとっても無関係ではない。これはいわゆる「台湾有事」とも関係します。

 台湾の孤立による悪影響はまず、沖縄や九州・山口に降りかかります。台湾を助けることは日本自身を助けることになる。日本の皆さまにはぜひ、お力を貸してもらいたいと願っています。

 ところで今、台湾は昨年のパイナップルに続き、中国による果物の禁輸措置で悩んでいます。パイナップルより甘く、なめらかな食感の釈迦頭(しゃかとう)(バンレイシ)と、淡泊ですが上品な甘さのあるレンブという禁輸対象の果実はいずれも、日本人の皆さんのお口に合うと思います。

 日本では生産できない珍しい果物を味わえることと、今や友人ではなく、家族や兄弟に近しいわれわれの関係をより深めるという一挙両得につながります。機会があれば、食べていただけると、ありがたいですね。(中村雅和)

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ちん・めいしゅん 1964年3月、台湾東部、花蓮県生まれ。台北市の中国文化大韓国語学科を卒業後、台湾外交部入り。大阪外国語大(現大阪大)や慶応大への留学経験がある。許世楷・台湾駐日代表(当時)の補佐官や台北駐ボストン経済文化弁事処の副処長などを歴任し、2018年7月から日本の内閣官房にあたる台湾総統府で機要室長を務めた。

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