昨日、民進党がいち早く6月10日から12日にかけ、5つの調査機関で行った世論調査の結果、蔡英文氏が35.68%、頼清徳氏が27.48%で、蔡氏が頼氏を8.2ポイント上回ったと発表した。
3月の届け出から5月半ばまでは頼氏がリードしていたが、党内最大派閥の新潮流派や元行政院長の游錫●氏率いる派など主な派閥が蔡氏を支持し、初めて党内予備選のルールを変更するなどして世論調査時期を延長して、いわば時間稼ぎをしているうちに、若者からの支持が強かった蔡氏が差を詰め、5月下旬には頼氏を上回る世論調査も現れていた。(●=方方の下に土)
そこに起こったのが、香港の「逃亡犯条例」改正案に抗議する100万人を超える大規模なデモ。蔡氏はいち早くデモ支持を明確にしてさらに青年層の支持を取り付けたようだ。また、世論調査を固定電話のみで行うとしていたルールを変更し、携帯電話を取り入れたことも蔡氏を有利に導いたようだ。
敗れた頼氏はその日のうちに蔡氏支持を明らかにした。党公認候補の正式発表は6月19日に予定している。
一方の中国国民党は立候補を表明していた王金平・前立法院長が出馬を見送り、6月10日に党内予備選の候補者として、韓国瑜・高雄市長、郭台銘・鴻海精密工業会長、朱立倫・前新北市長、周錫●・元台北県長、張亜中・台湾大学教授の計5人を確定したと発表した。
世論調査は7月5日から同15日にかけ、5つの調査機関に委託して実施し、有効回答件数は各機関3000件以上とするとしている。
予備選は韓国瑜氏と郭台銘氏の一騎打ちの様相を呈しているが、5つもの世論調査を行うところに、人気の高い候補者に勝たせたいとする党内主流派の思惑が透けて見えるようだ。
—————————————————————————————–台湾与党、総統選予備選で蔡氏勝利【産経新聞:2019年6月13日】
【台北=田中靖人】台湾の与党、民主進歩党は13日、来年1月の総統選の候補を決める予備選で、再選を目指す蔡英文(さい・えいぶん)総統(62)が勝利したと発表した。頼清徳(らい・せいとく)前行政院長(首相に相当)=(59)=を世論調査の支持率で上回った。支持率は蔡氏が35・67%、頼氏が27・48%だった。
世論調査は野党、中国国民党で総統候補を目指す韓国瑜(かん・こくゆ)高雄市長(61)、総統選への出馬が取り沙汰される無所属の柯文哲(か・ぶんてつ)台北市長(59)の2人と、蔡、頼両氏をそれぞれ比べる方法で行われた。蔡氏は頼氏に約8ポイント差を付けた上、韓氏(24・51%)、柯氏(22・70%)の2人も上回り、この情勢が続けば、政権を維持できる結果となった。
蔡氏は3月の届け出時点では世論調査で頼氏を下回っていた。だが、当初予定の4月中旬から延長された予備選の期間中、台湾各地に積極的に出向き、過去3年の実績をアピールして劣勢を覆した。特に、好調な対米関係や同性婚容認法案の成立など政権の公約実現を強調。直近では、香港の「逃亡犯条例」改正案に抗議するデモへの支持を明確に打ち出し、若年層が強く抱く対中警戒感を支持につなげた。
蔡氏は総統府で記者団に対し「今後の最も重要な責任は、できる限りの力を団結させ、台湾の民主主義を守ることだ」と述べ、本選での勝利に意欲を示した。
民進党は当初、世論調査期間を10〜14日としていたが、目標のサンプル数が集まったとして、結果を前倒しで発表した。