昨6月1日、韓国瑜・高雄市長の支持団体が総統府前で集会を開き、韓氏は「いかなる重要な職務にも就く用意がある」と発言した。日本メディアの朝日新聞は「立候補表明」と報じ、日本経済新聞も「事実上の出馬表明」と伝え、産経新聞に至っては「立候補を正式に表明」と伝えている。
中国国民党ではこれまで、朱立倫・前新北市長、王金平・前立法院長、郭台銘・鴻海精密工業董事長の3氏が正式に出馬表明し、ここに韓國瑜・高雄市長が加わる公算が高くなった。
5月15日、中国国民党は党内予備選の日程やルールを決定し、6月10日に予備選参加者の名簿を公表する。予備選では党員投票は行わず、5つの調査機関に委託し、有効回答件数は各機関3000件以上とする世論調査だけで、7月5日から同15日にかけて実施する。7月16日に公認候補を決め、同28日に正式に指名する方針だという。
一方、与党の民進党では、現職の蔡英文・総統と頼清徳・前行政院長が出馬を表明している。中国国民党と同様、党員投票を行わず、世論調査だけで候補者を決定する。世論調査は6月10〜14日に実施し、党公認候補は6月19日に決定する予定だという。
民進党は4月17日に公認候補を発表する予定だったが、これまで支持率で劣勢だった蔡英文氏が世論調査の時期を遅らせたたことで、ここにきて支持率が上っている。
台湾民意基金会が5月19日に発表した世論調査によれば、二人が党内予備選に立候補を届け出た3月は、蔡英文:26.0%、頼清徳:55.1%と29ポイントも開いていた支持率が、4月には蔡英文:27.7%、頼清徳:49.9%と22.2ポイント縮まり、5月には蔡英文:37.2%、頼清徳:49.0%と11.8ポイントまで縮まってきている。
この世論調査では、中国国民党の総統選候補が韓國瑜氏だった場合の民進党候補との支持率も調査していて、4月は蔡英文:39.6%、韓國瑜:47.9%と韓氏が有利だったが、5月には蔡英文:47.1%、韓国瑜:40.8%と逆転している。
また、頼清徳氏と韓國瑜氏の戦いでは、4月は頼清徳:46.2%、韓国瑜:41.7%と頼氏が4.5ポイントの差をつけてリードし、5月も頼清徳:53.0%、韓国瑜:38.5%と頼氏が14.5ポイントに広げてリードしている。
そもそも政党支持率では、蔡英文政権が2016年5月に始まってからは民進党が常に中国国民党をリードしていた。しかし、昨年11月の統一地方選挙前の8月くらいから中国国民党が逆転してリードするようになったものの、今年2月以降はまた民進党がリードしている。5月の政党支持率は、民進党:41.1%、中国国民党:32.0%となっている。
この世論調査などを踏まえれば現時点では、民進党では頼清徳氏が蔡英文氏をリードし、中国国民党は韓國瑜氏が朱立倫・前新北市長、王金平・前立法院長、郭台銘・鴻海精密工業董事長の3氏をリードしているようだ。
しかし、両党とも僅差のリードであり、第3の候補者で、総統選への出馬を虎視眈々と狙っている柯文哲・台北市長の動向に注目が集まりそうだ。
ちなみに、総統選挙の公示日は選挙事務を所管する最高行政機関の中央選挙委員会が行い、2016年1月16日に行われた前回の総統選の公示日は2015年12月18日で、立候補の受付期間は11月23日〜27日だった。
—————————————————————————————–韓高雄市長「重職に就く用意ある」 総統府前の応援集会で【中央通信社:2019年6月1日】http://japan.cna.com.tw/news/apol/201906010005.aspx
(台北 1日 中央社)野党・国民党の韓国瑜高雄市長は1日、自身の支持団体が台北市内で開いた応援集会に出席した。韓氏はスピーチで、次期総統選がある来年を「中華民国の生死を分ける戦い」とした上で、過去3年間の民進党・蔡英文総統の政権運営を批判。中華民国のために身を粉にすると述べ、「いかなる重要な職務にも就く用意がある」と意気込んだ。
会場となる総統府前の凱達格蘭(ケタガラン)大道には、予定開始時間の午後3時を待たず、正午ごろから韓氏の支持者が続々と集まり始めた。あいにくの一時雨に見舞われたものの人々の熱意は冷めず、中華民国国旗を手に持った支持者が口々に「韓国瑜、当選」「庶民総統を総統府に送り込もう」と気勢を上げた。主催者の発表によれば、参加者は午後5時までに40万人を上回った。
次期総統選について韓氏は、国民党からの指名があれば党内予備選に参加するとの意向を先月13日に台湾メディアに明かしている。
(余祥/編集:塚越西穂)