1月6日の民進党主席選挙において、蔡英文支持派で、総統府副秘書長や同党秘書長などをつとめた卓栄泰氏が当選した。これで党内主流派の蔡英文支持がほぼ固まり、また、1月2日の習近平演説に即座に反論したことも追い風となって支持率を挙げ、最大の対抗馬と目されている頼清徳・前行政院長を引き離したようだ。
民進党は、早ければ4月中頃にも2020年総統選の党公認候補を選出する見通し。
一方の中国国民党は、朱立倫・元党主席、王金平・元立法院長、呉敦義・党主席、韓国瑜・高雄市長、馬英九・前総統などの名前が取りざたされ混沌模様。しかし、王金平氏が出馬に意欲を示しているかぎり、王氏の選挙地盤である高雄市で市長に当選した韓国瑜氏にとって出馬の目はないだろう。
また、呉敦義・党主席が2月14日のインタビューで、国民党が総統選挙で勝って与党に返り咲いた際には中国との平和協議の調印を目指すとの方針を示したことに対し、蔡英文総統が「両岸(台湾と中国)間の平和協議(取り決め)について、国家主権を消滅させようとする、もしくは傷つけようとする協議を台湾の社会は受け入れない」と表明し、これも蔡総統にとっては有利に働き、国民党は敵に塩を送ったかたちになったようだ。
蔡総統、再選出馬を正式表明 野党・国民党からは候補に複数の名【中央通信社:2019年2月21日】
(台北 21日 中央社)2020年の次期総統選に向けた動きが活発化している。20日には独立志向とされる与党・民進党の蔡英文総統が再選を目指し出馬する意向を報道陣に対し正式に表明。対中融和路線の最大野党・国民党からは、朱立倫・前新北市長や王金平・前立法院長(国会議長)が出馬の意向を示しているほか、呉敦義党主席(党首)や韓国瑜高雄市長らの立候補が取り沙汰されている。
朱氏は2016年の前回総統選で蔡総統に敗北。昨年末、新北市長を任期満了で退任すると次期総統選への出馬を目指す考えを明らかにした。王氏は20日、台北市内で行われたパーティーで「総統に当選したら、国内の和解を必ず達成させ、両岸(台湾と中国)の共栄を目指す」とあいさつ。支持者からは「総統好(こんにちは)」の歓声を浴びた。
呉氏は20日に受けたインタビューで、出馬の意向に関する質問に「慎重に考える」と回答。一方、党主席として党内で最も適した人材を選ぶとも述べた。今月中旬には2大政党で立場が食い違っている両岸間の平和協議(取り決め)について言及。国民党が与党に返り咲いた際には中国との調印を目指すとの方針を示し、政党間の議論を再燃させた。
昨年11月の統一地方選で、ユーモラスで分かりやすい言葉を武器にブームを巻き起こし、高雄市長に初当選した韓国瑜氏。日刊紙が20日に公表した世論調査では、党内外で名が挙がっている有力候補全員を上回る結果をたたき出した。党主流派と距離があるとされるが、党主席である呉氏は韓氏の出馬に開放的な態度を示している。これについて韓氏は同日、「心はここ(総統選)にはない」とコメントした。
(温貴香、葉素萍、游凱翔、程啓峰、余祥/編集:楊千慧)