しかし、予備選敗退後の頼氏は総統選挙には一切触れることなく、その動向が注目されていた。予備選後、頼氏が公の場で総統選挙に関連して動いたのは米国だった。10月15日、サンフランシスコで蔡英文総統への投票を呼び掛けた。
11月2日、今度は市長をつとめていた台南市に現れ、蔡英文総統とともに民進党候補者の応援に駆け付けた。蔡総統は「適切な時期に最良のコンビを提示する」と表明した。
11月17日、8年前の2011年11月17日に急逝された黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席の追思会が台南七股の黄昭堂堂紀念公園において開かれる。黄昭堂主席は2012年の総統選に初出馬した蔡英文氏をいち早く支持し、蔡氏はその恩顧を忘れていないと言われる。11月17日の追思会に蔡氏が頼清徳氏とともに参列することも予想され、それが最良のコンビを提示する適切なタイミングになるかもしれない。
—————————————————————————————–蔡総統と頼氏がそろって選挙活動 党内予備選以来初【中央通信社:2019年11月2日】http://japan.cna.com.tw/news/apol/201911020005.aspx
(台南中央社)来年1月の総統選で再選を目指す与党・民進党の蔡英文総統と、党内予備選で蔡氏と公認指名を争って敗れた頼清徳・前行政院長(首相)が2日、南部・台南市で顔を合わせた。2人がそろって公の場に姿を現したのは、予備選が終了した6月以来初めて。
この日は、総統選と同日に実施される立法委員(国会議員)選に台南の選挙区から出馬する同党候補者の選挙対策本部が発足。2人は応援のために駆け付けた。会場では頼氏が、台湾が第2の香港やチベットにならないよう、第一線に立って蔡総統を当選させようと応援演説。その後到着した蔡氏は頼氏に握手を求めた。壇上では、予備選終了後に自身を支持する約束をし、それを実行している頼氏への感謝を示し、支持者に団結を呼び掛けた。
イベント終了後、報道陣の取材を受けて「肩を並べて戦うのは素晴らしい」と感想を漏らした蔡氏。頼氏とは「団結している」と強調した。また、副総統候補に頼氏を推す声が党内で強いことについては、「適切な時期に最良のコンビを提示する」とした。
台南では同日、対立候補の最大野党・国民党の韓国瑜高雄市長の選挙活動も行われ、呉敦義主席(党首)や朱立倫・前新北市長らそうそうたる顔触れが集結。2大政党の動向に関心が集まった。
(温貴香/編集:塚越西穂)