5月31日、三重県志摩市において開かれた。
報道によれば、今回の「2013日台観光サミットin三重」で安倍晋三首相は「台湾は日本
の重要なパートナー」とビデオメッセージで述べたという。
これまで岸田文雄外務大臣が本年1月末、交流協会の台湾情報誌『交流』1月号に寄せた
祝辞の中で「台湾は、我が国との間で緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナ
ー」と述べ、日本の外務大臣として初めて台湾を「重要なパートナー」と踏み込んで表明
したことはあったが、総理大臣が表明したのは恐らく安倍総理が初めてだろう。
安倍総理は1月18日に「対ASEAN外交5原則」を表明し、1月28日の所信表明演説でも
「外交は……自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった、基本的価値に立脚し、戦
略的な外交を展開していくのが基本」と、いわゆる価値観外交を進めていくと表明していた。
この戦略的外交方針に基づき、岸田外相は台湾について「日台間の深い友情と信頼関係
を支えているのは、民主、自由、平和といった基本的価値観の共有」と述べ「重要なパー
トナー」と位置付けた。外務大臣として初めて台湾を「重要なパートナー」と表明したのだ。
今回、安倍総理は初めて台湾を名指しで「重要なパートナー」と表明した。この表明の
意義は大きい。
ちなみに、三重県で日台観光サミットを開催しようと強い意欲をしめしたのは、鈴木英
敬(すずき・えいけい)三重県知事。鈴木知事は、日台交流を続ける「龍馬プロジェク
ト」のメンバーでもあり、今回の日台観光サミットは愛知県知多市での開催が内定してい
たが、鈴木知事や県議会のトップセールスが実り三重県での開催にくら替ったと伝えられ
ている。また鈴木知事は昨年7月、歴代三重県知事として初めて訪台、花蓮県で開かれた
「日台観光サミット」に参加している。
今回の「2013日台観光サミットin三重」当日の模様を、地元の「伊勢志摩経済新聞」か
ら紹介したい。次回は台湾南部の屏東県で開催の予定だという。
志摩で「日台観光サミット」−2016年に相互交流人口400万人目標に
【伊勢志摩経済新聞:2013年6月1日】
http://iseshima.keizai.biz/headline/1754/
日本と台湾の観光関係者のトップが集まり意見交換する国際会議「日台観光サミット in
三重」が5月31日、合歓の郷ホテル&リゾート(志摩市浜島町)で開催された。
日台観光の現況報告や今後の相互交流拡大方策などを議論する同サミットは、2008年に
台湾の台北市から始まりその後、静岡県、南投県、石川県、花蓮県で開催され今回で6回目
となった。日本からは155人、台湾からは59人、計214人の参加は過去最高。日本観光振興
協会、日本旅行業協会、台湾観光協会などで組織する日台観光推進協議会が主催。
2012年に相互交流人口300万人を目標に設置したが、昨年はわずかに届かなかったものの
過去最高の290万人(台湾から日本147万人、日本から台湾143万人)を記録(日本政府観光
局調べ)。本年の実現は確実となっているという(関係者)。会場のスクリーンに安部晋
三内閣総理大臣から、同サミット開催を祝福したビデオメッセージが流された。
日台観光推進協議会、日本観光振興協会会長で、日本側議長を務めた西田厚聰(あつと
し)さんは「2011年発効のオープンスカイ協定により多くの航空路線が開設されたことや
既存路線の増便などが交流人口の増加の要因。さらに旅行需要を創出できるように議論を
深めたい」と挨拶。常に若々しくみずみずしい状態であり続ける伊勢神宮の「常若(とこ
わか)」の精神も紹介した。
会議では、台湾側からは、「なかなか流通しない松阪牛を優遇価格で購入できるように
してほしい」「有名な品質の良い豚を松阪豚として売り出してほしい」と具体的な要望が
出たり、現状の日本ツアーの問題点などを指摘する厳しい意見も出された。
台湾観光協会会長で、台湾側議長を務めた頼瑟珍(らいそちん)さんから「2016年には
さらに交流人口を増加させ400万人を目標にしていきたい」と提案があり採択されると、そ
のまま「三重宣言」の骨子となった。
鈴木英敬三重県知事はサミット終了後の記者会見で、「台湾の観光キーパーソンが三重
を訪れ、三重に観光資源がたくさんあることを知ってもらったことはとてもありがたいこ
と。『三重宣言』がまとまり、今後具体的に台湾との観光交流を深めていきたい」と意欲
を見せる。
「高校生レストラン」で人気の相可高校(多気町)は、台湾の調理専門高校「開平餐飲
学校」(台北市)と姉妹校協定を結び、毎年生徒間交流を行っている。鳥羽水族館(鳥羽
市)は5月31日、台湾初の海洋生態パーク「花蓮遠雄海洋公園(かれんえんゆうかいようこ
うえん)」と姉妹館提携の調印式を行った。