定」)について、安倍晋三総理が月刊「Voice」7月号のインタビューで「戦略的な観点か
ら決断」したと、政治判断だったことを初めて明かした。
周知のようにこの「日台民間漁業取決め」は、1996年に李登輝氏が総統のときに農林水
産省に持ちかけて以来、17年目にして17回目の協議でようやく妥結し、李登輝元総統も
「台湾の漁民のために早期妥結を望んできた私にとっても、じつに喜ばしいことである。
まさに歴史的快挙だ」(月刊「Voice」5月号)と絶賛した。
価値観外交を展開する安倍総理の台湾に対する期待感は高い。5月31日、三重県志摩市に
おいて開かれた「2013日台観光サミットin三重」では「台湾は日本の重要なパートナー」
とビデオメッセージで表明した。日本の総理大臣が台湾を「重要なパートナー」と表明し
たのは恐らく初めてのことで、安倍政権の描く国益を基とした価値観外交において台湾が
重要な位置を示している。
月刊「Voice」7月号のインタビューでも、安倍総理はまず「台湾は大切な友人」と述べ
から話を始めている。友人の証として、東日本大震災のときの台湾からの多大な支援を挙
げ、それを「比類のない額」と絶賛。その後に「日台民間漁業取決め」に言及し、「先
般、政治判断を行い、日台の漁業交渉を17年ぶりに妥結させました。さまざまなご意見が
あるなかで、これは『戦略的な観点』から決断をしたわけです。日本の友人を大切にす
る、ということをやはり忘れてはなりません」と述べたのだった。
安倍総理の政治主導で「日台民間漁業取決め」が締結されたことは報じられていたが、
総理自ら「政治判断」だと認め、それも「戦略的な観点」からと明かしたのは初めてだろ
う。これで、安倍総理の価値観外交の賜物が「日台民間漁業取決め」だったことが明らか
になった。
安倍総理はインタビュアーから「日台民間漁業取決め」を李登輝元総統が高く評価して
いることに関して聞かれると「李登輝さんはアジアの偉大なリーダーの一人」として学ぶ
べき点が多いと述べ、「その謦咳に接することができたのは、ほんとうにほう幸せなこと
です。これからもぜひお元気でいてほしいですし、日本に対してご助言を賜りたい」と述
べ、言葉の端々から李登輝氏に全幅の信頼感を寄せている心情が伝わってくる返答をして
いる。
このインタビューは安倍総理の政治全般への姿勢がよく伝わってくる。ぜひ一読を勧め
たい。この号では金美齢さんと三橋貴明氏の特別対談「『デフレ中韓』は相手にしない」
なども掲載、読み応えがある。
◆月刊「Voice」7月号:特別インタビュー「尖閣問題、靖国問題、景気回復について語ろ
う!─ 拉致被害者を奪還する日本 」 安倍晋三/インタビュアー:篠原文也
http://www.php.co.jp/magazine/voice/