台湾からの観光客に対するノービザ特例法が全会一致で可決!

この機会に外登証の速やかな改正と地図帳の表記改正を強く要望する

 昨日、台湾からの観光客のビザ免除を恒久化するための出入国管理・難民認定
法の特例法が参院本会議において全会一致で可決、成立した。念願だった「ノー
ビザ」が実現した。施行日は万博終了日の翌日、すなわち9月26日。その日から永
遠に続くのである。
 振り返れば、昨年12月3日、町村信孝外相はその日午前の記者会見で、台湾から
の観光客について「数が多く、比較的に犯罪発生が少なく受け入れやすい。次の
通常国会に政府提出の法案として提出したい」と述べ、台湾からの観光客につい
て査証(ビザ)を免除する方針を明らかにしたことに端を発している。
 もちろん、日本政府が平成22年(2010年)に海外からの旅行客を1,000万人にす
る「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を進めていたことも幸いし、また、許
世楷氏が駐日台湾代表として昨年の7月に赴任されて以来、全国各地でノービザの
必要性を積極的に説いて回り、それに呼応する形で東京都や北海道などの都道府
県議会が「台湾からの観光客に対するビザ免除を求める意見書」を可決して政府
に要望したことも実現の大きな要素であった。
 先に機関誌『日台共栄』第4号(平成16年12月)で指摘したように、来日外国
人犯罪の検挙件数を見てみれば「その総数は18,199件で、中国が約半数の8,945件
(49・2%)を占める。次いでブラジルの3,457件(19%)、韓国の1,134件(6・
2%)と続いている。なんと台湾は韓国の10分の1の117件(0・6%)しかなく、
これはアメリカの183件を下回っている」という現実を直視し、またその交流の深
さを勘案すれば、台湾がノービザ適用地域の最優先に位置付けられるべきは誰の
目にも明らかであった(柚原正敬「最優先すべき台湾へのノービザ」)。
 この法案の成立を受け、許世楷代表が声明を発表しているので、下記に掲載す
る。

■外登証の速やかな改正を
 そこで、声を大にして言いたい。このノービザ措置に見られるように、日本は
台湾と中華人民共和国(中国)を明らかに区別して取り扱っている。『警察白書』
にしても『外交青書』にしても、全て台湾と中華人民共和国を区別して取り扱っ
ている。
 だとしたら、なぜ台湾出身の外国人登録証の国籍名を「中国」ではなく「台湾」
とできないのだろうか。ノービザでますます台湾からの観光客は増える。当然な
がら、日本在住者も増えると見るのが常識的判断だ。
 中国も7月末からビザ発給対象地域が全土に広がっている。これに伴って、中国
からの在住者も増えることも当然予想される。中国出身者も台湾出身者も同じ「中
国」とする今のままの外登証記載では、混乱することは誰の目にも明らかではない
か。
 法務省並びに入国管理局に、台湾出身者の外登証の国籍欄記載を「中国」から
「台湾」へ改めることを強く要望したい。

■地図帳の表記も改めるべき
 さらに、現在、私どもが進めている中学校社会科の地図帳問題にしても、日本
政府が発給するビザから見れば、明らかに台湾と中華人民共和国の取り扱いは区
別されているのであるから、台湾が中華人民共和国の領土でないことはこの一事
からも明らかなことだ。
 このように、日本政府がビザについて台湾と中華人民共和国を別々に取り扱っ
ているにもかかわらず、東京書籍や帝国書院の地図帳では台湾を中華人民共和国
の領土としているのであるから、なぜ同一国としているのか、理由をきちんと説
明すべきだろう。
 ましてや、東京書籍は「文部科学省の検定基準では,外国の国名の表記は,原
則として『世界の国一覧表』によることと定められて」いるというが、外務省監
修による『世界の国一覧表』でも、台湾は中華人民共和国とははっきり別個の「
地域」として扱われているのである。
 したがって、台湾と中華人民共和国を区別し、国境線は台湾の東側ではなく、
台湾海峡上に引かれるべきなのであり、それが日本の歴史と現実に沿った措置で
あることは、三歳の童子にもわかることなのである。
 東京書籍と帝国書院には、台湾と中華人民共和国を明確に区別して表記するよ
う強く要望したい。
                (メルマガ「日台共栄」編集長 柚原正敬)


台湾人ビザ免除を恒久化 入管特例法が成立
【共同通信 8月5日】

 台湾からの観光客に対する査証(ビザ)免除措置を恒久化するための入管難民
法の特例法が5日午前の参院本会議で全会一致で可決、成立した。
 ビザ免除をめぐっては、自民党の議員立法により今年2月、外国人観光旅客来
訪促進法が成立。政令で台湾を対象とすることが決まり、3月から9月までの愛
知万博期間中の免除が実現した。
 しかし、与党内で免除の恒久化を求める意見が強まり、民主党との協議を経て
2日、衆院法務委員会に委員長提案の形で法案を提出。同日の委員会と本会議で
可決、衆院を通過していた。


台湾の観光客に対するノービザ恒久化措置の立法化に感謝
【台北駐日経済文化代表処 2005年8月5日】

日本の参議院本会議で8月5日、台湾の観光客に対するノービザ恒久化措置が
可決されたことに対し、許世楷・駐日代表は同日、台湾政府と国民を代表し、日
本政府に対し心から感謝の意を示した。
許代表は、台湾の観光客に対するノービザ恒久化措置は、日本の観光客倍増計
画にプラスとなるだけでなく、日本の国益にも合致しており、これにより台日関
係もより密接となる。日本政府は「愛知万博」の開幕にあわせて3月11日より
台湾の観光客に対しノービザ措置を実施したが、その後台湾からの観光客の状況
を観察したところ、台湾からの観光客数は日増しに増え、万博に訪れる外国人観
光客のなかで韓国に次いで2番目に多いということがわかった。また犯罪事件も
起きておらず、台湾の観光客の消費能力は非常に高く、一人あたりの平均消費金
額は一日170ドルとなっており、日本人観光客が台湾で消費する平均消費金額
の180ドルにひけをとらないものとなっている。このことは、日本の観光客倍
増計画にも大きく貢献し、日本の国益にも合致しているだけでなく、同措置が立
法化されたことの主な理由ともなっている。
 台湾の観光客に対するノービザ恒久化措置の立法化に対し、中国は強力に妨害
してきたが、われわれの条件が極めて勝っていることから、中国はこれを阻止で
きなかった。私は昨年7月に駐日代表に就任して以来、日本の政治家に対し、数
多くの要求をしてきた。しかし、先方がすぐにはわれわれの多くの要求を受け入
れにくいことがわかった。そこで、台湾の万博への参加を勝ち取ってからは、こ
のノービザ措置の恒久化を実現させることに集中し全力でこれにあたってきた。
東京においては国会議員に働きかけ、日本各地に出向いては遊説を行い訴えてき
た。この結果、各地の地方議会が次々とこれを決議し、中央政府へ建議してくれ
た。そして多くの日本の友人は私に会うなり、先方からこの話題を持ち出してく
れるようになった。
 台湾は日本の最も親密なパートナーであり、今回台湾の観光客に対するノービ
ザ措置の恒久化が立法化されたことは、日本政府と国民の台湾に対する大いなる
友好を示すものである。今年2月に開催された日米安全保障協議委員会(2+2)
において、日米が台湾海峡の平和を共通の関心議題として示したことは、安全保
障の分野において、台米関係だけでなく台日関係の重要性をも示すものとなった
。さらに現在、わが国の観光客に対するノービザ措置が恒久化されたことにより
、両国民の友情がさらに深まり、両国間の関係もより密接になると信じている。


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