トランプ大統領は12月27日、台湾への武器売却の常態化などを支持する「2020年台湾保証法案」や中国共産党政権によるチベット自治区での人権弾圧に制裁を加えることを可能とする「チベット人権法案」も包括する「2021会計年度歳出法案」に署名し、成立させた。
チベット人権法案では、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世の後継者選出に中国当局者が介入した場合、制裁を検討し、チベット自治区の区都ラサに米領事館設置を中国が認めない限り、米政府も新たな在米中国領事館の設置を許可しないと規定しているという。
すでに米国では、中国が6月30日に制定した「香港国家安全維持法」に対し、7月14日にはトランプ大統領は上下両院で可決した「香港自治法案」に署名することで成立し、国務省に対し、「一国二制度」モデルを弱体化させようとする当局者に関する報告書を議会に毎年提出するよう義務付けるとともに、こうした人物の資産を没収し、米国への入国を阻止する権限を大統領に与えている。
また、5月23日には上院と下院に「南シナ海・東シナ海制裁法案」が提出されていて、成立すれば、東南アジア諸国連合の1つまたは複数の加盟国が領有権を主張する海域で「平和、安全保障、安定を脅かす行為」をした個人に対して、アメリカ国内にある金融資産の凍結、ビザの取り消しまたは申請却下といった制裁を科すことができるという。
さらに、6月10日には上院に中国による台湾侵攻を阻止する能力を維持するよう国防総省に求める「台湾防衛法案」が提出されるなど、連邦議会は上院も下院も、中国が露骨なまでに脅かしつつある「自由で開かれたインド太平洋」の平和と安定に資する法案が次々と提出されている。
その後盾は世界一の軍事力に他ならないが、「台湾関係法」が示すように連邦議会の見識も世界に冠たるものがある。
—————————————————————————————–米国でチベット人権法成立 後継者選定介入で対中制裁も【時事通信:2020年12月28日】
【ワシントン時事】米国で中国チベット自治区での人権や信教の自由を擁護する法律が27日、成立した。米議会は今年、中国による香港統制強化やウイグル族弾圧に関して制裁を科す法律も可決。対中強硬姿勢を強めており、来月20日に発足するバイデン次期政権の対中政策に影響を及ぼす可能性がある。
新型コロナウイルス危機の追加経済対策などと一括してまとめられた法律に盛り込まれた。トランプ大統領が27日署名し、成立した。
法律では、中国がチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の後継者選定に介入した場合、制裁を検討すると規定。また、中国がチベット自治区ラサに米領事館設置を認めない限り、中国による新たな在米領事館設置を承認しないことも含まれた。
これに対し、中国外務省の趙立堅副報道局長は28日の記者会見で「断固たる反対」を表明した。その上で「米側に中国の利益を損なう(法律の)条項を実施せず、これ以上両国関係の大局を損ねないように促す」と述べた。
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