仙台市議会が台湾のWHO参加とCPTPPへの加入を求める意見書を可決

 宮城県の仙台市議会(赤間次彦議長)は2月8日から開催していた本年第1回定例会の最終日の3月14日、台湾に関する意見書として「台湾の世界保健機関(WHO)への参加実現のための取組の強化を求める件」と「台湾の環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加入に向けた積極的な働きかけを求める件」を可決しました。

 これまでも、台湾のWHO参加とCPTPPへの加入については、北海道議会や石川県議会、鳥取県議会など全国各地の議会で同趣旨の意見書が可決されてきております。ここに政令都市であり、2006年1月20日に当時の梅原克彦市長が台南市と「交流促進都市協定」を提携した仙台市が加わり、重みを増した感があります。

 さほど長くない意見書ですので、下記に全文をご紹介します。

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◆台湾の世界保健機関(WHO)への参加実現のための取組の強化を求める件 【仙台市議会第1回定例会:第1号意見書】

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって、国境を越えて国際社会に広がる感染症の脅威が再認識された。感染拡大防止には国際的な防疫網を構築することが不可欠であり、そのためには、公衆衛生上の成果を上げた地域の取組や有益な情報を世界で共有するとともに、特定の地域が取り残されることによる地理的な空白を埋めることが重要である。

 しかし、このパンデミックの状況下で開催されたWHO総会に台湾はオブザーバーとしての参加も認められていない。台湾がWHOに参加できないことは、新型コロナウイルス感染症対策に対する台湾の知見や経験の世界的共有が図られず、国際的な公衆衛生上の利益を大きく損なうものであるとともに、防疫上の地理的空白の発生を招くことにもなり、我が国及び東北アジア地域のみならず、全世界の人々の健康と安全を脅かしかねない。

 よって、国会及び政府におかれては、関係各国・地域と連携し、台湾のWHOへの参加実現のための取組をなお一層強化するよう強く求める。

 以上、地方自治法第 99 条の規定により、意見書を提出する。

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◆台湾の環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)への加入に向けた積極的な働き かけを求める件 【仙台市議会第1回定例会:第3号意見書】

 我が国と台湾は、様々な分野において交流があり、強い絆で結ばれている。本市においても台湾とは深い信頼と友情で結ばれており、東日本大震災の際に多くの支援と応援のメッセージが届き、復興への大きな力となったこと、さらにこのコロナ禍においては、感染症対策のための医療物資を寄贈してくれていることは、我々仙台市民の心に強く刻まれている。特に、台南市との間では、従来「七夕まつり」を縁とした市民レベルでの相互交流が行われ、平成18 年に「観光、経済、産業、福祉、文化及びスポーツ分野の交流促進協定」を締結して以来、観光をはじめとした幅広い分野での交流へと深化しており、我が国と台湾のさらなる連携と相互の発展は、本市にとっても極めて重要な意義を有する。

 また、令和2年における日台間の貿易総額は7兆6千億円を超え、我が国にとって台湾は第4位の輸出入先となっている。本年2月 21 日には、東京電力福島第一原子力発電所の事故発生後に導入した日本産食品への輸入規制を緩和しており、今後ますます貿易パートナーとしての相互の重要性が高まるものと予測される。

 そのような中、台湾は、昨年9月にCPTPPへの加入を正式に申請した。台湾は、アジア太平洋経済協力(APEC)に参加し、世界貿易機関(WTO)に加盟しているが、CPTPPへの台湾の加入が実現すれば、我が国を含む環太平洋地域の経済貿易に活力を注ぎ、域内経済に好循環を生み出すことはもとより、我が国としても、サプライチェーンの強靱化などの経済面のみならず、様々な分野における日台間の協力関係の強化が期待されるところである。

 よって、国会及び政府におかれては、台湾のCPTPPへの加入に向け、積極的に働きかけを行うよう強く要望する。

 以上、地方自治法第 99 条の規定により、意見書を提出する。

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