ドイツ連邦議会は10月2日、超党派の国会議員団6人による正式訪問団を台湾に派遣し、7日まで滞在しました。10月3日に蔡英文総統と会談した際、団長のクラウス・ペーター・ウィルシュ議員(キリスト教民主同盟)は「我々は(ウクライナと同様に)、台湾が武力による脅威を受けた時にはともに立って支援する」(朝日新聞)と述べたことが話題となりました。
そのドイツから10月23日から26日まで、超党派の国会議員団6名が台湾を訪問するそうで、10月に2回も訪台するというは異例のことです。
外交部の「Taiwan Today」誌によりますと、今回はドイツ議会人権委員会の正式派遣だそうで、蔡英文総統と会談し、国家人権委員会の陳菊・主任委員などと懇談、また米国のペロシ下院議長と同じく国家人権博物館を参観する予定だそうです。
日本の安倍晋三・元総理が始めた価値観外交は、自由、民主、法の支配、人権といった基本的価値観を共有する国々との連携を深めていこうという外交戦略でした。
一方、中国による新疆ウイグル自治区のウイグル族への弾圧が「劣悪な人権問題」と捉えた米国やヨーロッパ各国議会は次々と「ジェノサイド(集団虐殺)」と認定しました。
また、米国と欧州連合(EU)は昨年12月、南シナ海や台湾海峡の平和と安定を乱す中国の行動は「米国とEU双方の安全と繁栄に直接影響を与える」と認識され、中国の行動は「一方的で問題ある行動」に強い懸念を表明する共同声明を採択しました。
さらに昨年は、G7など一連の国際会議で、共同声明などで中国への「深刻な懸念」と「台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」ことが可決され、台湾が注目されるようになりました。
このように、人権を中心に日本の価値観外交をヨーロッパの国々が共有しはじめ、半導体の世界的な生産国という点もあいまって台湾が注目されるようになってきています。
今月末にはウクライナの国会議員団が台湾を訪問する予定だそうで、自由、民主、法の支配、人権といった基本的価値観を共有する国々からの台湾訪台団は続くようです。
—————————————————————————————–独議会人権委員会の議員6名が23日から訪台、外交部は「共同で人権の価値守る」と歓迎【Taiwan Today:2022年10月22日】https://jp.taiwantoday.tw/news.php?post=226965&unit=149&utm_source=Taiwan+Today+JP+9&utm_medium=email&utm_content=%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9+textlink
ドイツ議会人権委員会の代表団が23日から26日まで台湾を訪問する。代表団はPeter Heidt議員が率いる。ドイツ議会からは今月初めに親台湾派グループのメンバーが台湾にやって来たばかりで、今回の訪問はそれに続く同議会の台湾訪問になる。外交部(日本の外務省に相当)は20日、プレスリリースを発表して心からの歓迎の意を表した。
今回台湾を訪れる議員はキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)、社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)に所属する超党派の6名。外国訪問や交流が徐々にかつての姿を取り戻しつつある中、ドイツは1カ月の間に二つの正式な代表団を台湾に送り込むという記録を作ることになり、外交部は「自由民主と人権尊重という価値を基礎とした台湾とドイツとの揺るぎのない、強靭なパートナーシップを示すものだ」と歓迎している。
一行は今回の訪問で蔡英文総統と会談するほか、行政院(=内閣)の羅秉成・政務委員(=無任所大臣)、黄致達・政務委員(同)ならびに関係省庁の首長を表敬訪問する。また、国家人権委員会の陳菊・主任委員(=大臣)と呉[金リ]燮・外交部長(=外務大臣)による食事のもてなしを受ける。
このほかHeidt議員らは立法院(=国会)において人権問題に関わる立法委員(=国会議員)、台湾の人権NGOならびにシンクタンクなどと座談会を開いて交流、さらに国家人権博物館を参観する。
外交部は、「ドイツ議会の代表団のメンバーたちは実地での視察を通じて台湾における人権の発展ぶりと今後の展望を理解する。そして人権に関する様々な問題について双方の交流と連携を強化し、価値で結ばれた台湾とドイツのパートナーシップをさらなる高みに引き上げる」としている。
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