【祝】 石垣市と宜蘭県蘇澳鎮が「覚書」と「災害対応に関する国際協力協定」を締結

沖縄県石垣市と宜蘭県蘇澳鎮は、李登輝総統の民主化が進む1995年9月26日に「姉妹都市」を提携している。

1979年10月の青森県大間町と雲林県縣虎尾鎮が姉妹町を結んでから16年後のことで、日台間の都市間提携では8番目だった。

姉妹都市提携から30年の節目の年を迎えた本年10月2日、石垣市の中山義隆市長は宜蘭県蘇澳鎮において開かれた姉妹都市締結30周年記念式典に臨み、李明哲鎮長と、協力関係を一層強化し、経済、観光、教育、スポーツなど多岐にわたる分野の発展とその促進に寄与することを目的として新たな覚書を結んだ。

覚書には、「海上交通に関する協力の推進を通じた相互訪問の利便性強化などを盛り込んだ」(八重山毎日新聞)という。

石垣市は本年中に、石垣市から約265kmの基隆市と間に週3便の定期フェリー航路を開く予定で、フェリーは石垣港を夜に出発すると、7時間後の翌朝には基隆港に到着するという。

「海上交通に関する協力の推進を通じた相互訪問の利便性強化」から、中山市長の中には、基隆との定期フェリー航路が成功すれば、基隆よりも近い220kmほどの、対岸と呼んでもいい位置にある蘇澳鎮もフェリーで結ぶという構想があるのかもしれない。

この覚書と同時に締結したのは「災害対応に関する国際協力協定」で、「双方が地理的に類似し、台風などの自然災害の影響を受けやすいことを踏まえ、自然災害における迅速かつ効率的な情報共有、物資供給などの協力を行うための基本的枠組みを定めることを目的として結んだ」(中央通信社)という。

この「災害対応に関する国際協力協定」では「災害発生時に相手側に支援を要請でき」「通信途絶の場合には、被災した側からの要請がなくても自主的に協力活動を行える」としているそうだ。

災害や防災に関する日台間の提携は、多くはないがこれまで静岡県や横浜市が結んできている。

静岡県危機管理部は2014年2月に新北市、台北市、台南市、桃園県、基隆市、嘉義県の6つの消防局と「防災に関する相互応援協定」を締結し、2017年1月には台中市消防局、同年10月には高雄市消防局と同じ協定を結んでいる。

また、横浜市は2016年1月に台北市と「防災分野での協力覚書」を結んでいる。

中山義隆・石垣市長は本年6月、議会から不信任決議を受けて辞任した。

しかし、8月の市長選で見事に5期目の当選を果たし、台湾有事を視野に、尖閣諸島へ4度目の海洋調査を年度内に実施したいという意向を表明したり、基隆間との定期定期フェリー就航に力を入れるなど、これまでにまして日台の交流深化に力を入れている印象が強い。

覚書と災害対応に関する国際協力協定の締結に心から祝意を表しつつ、下記に八重山毎日新聞の記事をご紹介したい。


石垣市・蘇澳鎮 災害協定を締結【八重山毎日新聞:2025年10月3日】https://www.y-mainichi.co.jp/news/41927/

◆海上交通協力を推進 姉妹都市30周年記念式典

【台湾宜蘭県蘇澳鎮】石垣市と蘇澳鎮の姉妹都市締結30周年記念式典が2日午前、鎮公所で開かれた。

中山義隆市長と李明哲鎮長は、自然災害発生時の情報共有や物資提供に関する協力の枠組みづくりを目的とする「災害対応に関する国際協力協定」を締結した。

海上交通に関する協力の推進を通じた相互訪問の利便性強化などを盛り込んだ覚書も交わした。

同協定は「地理的に類似し、台風などの自然災害を受けやすい」として、災害発生時に相手側に支援を要請できるとしている。

通信途絶の場合には、被災した側からの要請がなくても自主的に協力活動を行えるとしている。

覚書には、産業交流の深化、学校間交流の推進を通じた文化に対する相互理解、両地域の伝統的な芸術や文化活動への参加の奨励、スポーツ交流なども盛り込んだ。

式典で、中山市長は「石垣市と蘇澳鎮は多彩な交流で友好親善に努めてきた。

石垣市で蘇澳鎮フェアを開くなど、将来の貿易交流に向けた土台が築かれている。

これからも経済、文化、観光、教育など多岐にわたる交流をより一層活発化させ、友情のきずなをつなげていきたい」とあいさつした。

李鎮長は「台湾と日本には外交関係はないが、蘇澳鎮と石垣市は実質外交を具体的に実践し、互いに助け合ってきた。

今後は貿易関係の深化や専門人材の育成に取り組みたい。

今後は蘇澳|石垣間の海上航路を開通させ、ウィンウィンの関係が実現することを期待する」と述べた。

◆記念碑を除幕

記念品の交換では、石垣市からは、人間国宝の新垣幸子氏と松竹喜生子氏が共同制作した八重山上布のタペストリー作品「青葉潮」を贈った。

鎮公所の前庭では記念碑を除幕した。

市のチョウ、オオゴマダラや蘇澳を代表する冷泉などをデザインに取り入れ、強いきずなを表現している。

(松田良孝通信員)


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