日光市と台南市が1月に「観光友好都市」を締結

本誌前号で、12月8日に福島県観光物産交流協会が台湾観光協会と友好協定を締結した
ことをお伝えした。これは、福島県と台湾の相互交流を促進し、お互いに観光客を呼び込
もうという目的で結ばれた。

 同じような目的で、来年1月、栃木県の日光市が台南市と「観光友好都市」を締結する
運びとなった。

 日光市(斎藤文夫市長)といえば、世界文化遺産にも登録された日光東照宮などの神社
仏閣をはじめとする数々の歴史的建造物と、それを取り巻く日本有数の観光地である日光
国立公園を有し、さらに鬼怒川、川治、塩原などの温泉郷もある日本有数の観光地だ。戦
前から台湾にもその名を知られ、昨年、来日された李登輝元総統も訪問している。

 一方の台南市(許添財市長)は台湾第4の都市。オランダ、鄭成功時代の首都で、台湾
の古都。名所旧跡も多く、台湾の京都と言われる観光地。平成18年1月には、七夕を通じ
た市民交流が高まり、仙台市と「交流促進都市」を提携している。

 台南といえば、「末代市長」羽鳥又男を忘れるわけにはいかない。日本統治時代、最後
の市長として、孔子廟や赤嵌楼(せっかんろう)などの文化財を修復して守ったことで、
今でも台南の人々から尊敬されている。その事績を知って感激した奇美実業創業者の許文
龍氏は、羽鳥又男の胸像を制作している。その後日譚として、群馬県勢多郡富士見村の羽
鳥家菩提寺の珊瑚寺において羽鳥又男の胸像除幕式が行われたのは昨年4月25日のことで、
本誌でもお伝えした通りだ(2007年4月28日発行、第511号)。

 このような台南市と日光市が観光に特化した友好都市を提携するのは、日台の交流をさ
らに進めるだろう。他の自治体でも見習って欲しい事例だ。

 ちなみに、日光市は中国の敦煌市と平成16年(2004年)に姉妹都市を提携し、新日光市
として昨年1月に再調印しているが、岡山市が中国の洛陽市と姉妹都市を提携し、また台
湾の新竹市とも友好交流都市として提携している先例があり、一時期、洛陽市がごねたこ
とはあったものの、現在は何の障碍もないことを付け加えておきたい。

 なお、この観光友好都市提携の締結には、本会理事でもある宇井肇氏が会長をつとめる
「栃木県日台親善協会」が一役買っていたという。来年1月中旬に台南市で行われる調印
式には栃木県日台親善協会のメンバーも参加する。

 下記に、この提携を報道した「下野新聞」の記事をご紹介したい。    (編集部)

■日光市
 http://www.city.nikko.lg.jp/

■台南市ホームページ(日本語)
 http://www.tncg.gov.tw/default_j.asp


日光市 「観光」特化し友好都市 来年、台湾・台南市と締結
【11月12日 下野新聞】

 【日光】外国人観光客誘致に力を入れている市は来年にも、台湾・台南市と観光分野に
特化した「観光友好都市」を結ぶ。来年一月をめどに、斎藤文夫(さいとう ふみお)市
長が訪台する予定だ。市執行部が十一日、市議会全員協議会で明らかにした。

 台湾西南部に位置する台南市は、人口約七十六万人。清朝統治期には台湾の首府として
栄えた古都で、歴史的建造物、寺院が多く残る。美食でも知られる国際的な観光都市だ。
共に観光を売りにする自治体同士。「相互に観光資源をPRし、観光客の誘致を図る。来
ていただければ、温かく迎え入れる」(市秘書広報課)という。

 姉妹都市提携を調査している自治体国際化協会(東京都千代田区)によると、教育や医
療分野に特化するなど従来の姉妹都市提携の枠に収まらない都市間交流は、二〇〇五年ご
ろから盛んになった。しかし「観光分野での特化は聞いたことはない。非常に面白く、珍
しい形」(同協会交流親善課)という。

 市は今後、韓国の都市などとも観光に特化した友好都市を結んでいきたい考えだ。