米不足と価格高騰に見舞われる日本の窮状を見かね、元産経新聞台北支局長でインド太平洋戦略シンクタンク(IPST)執行長の矢板明夫氏が日本の子供たちに給食用などとして、日本が台湾で開発した蓬莱米を源流とする台湾米を贈ろうと発案。
この企画に台日産経友好促進会や台湾高座会などが賛同し、台湾米(台南11号)20トンを購入し、山口県と石川県にそれぞれ10トンずつ贈ることにしたそうです。
9月8日、元衛生署長で嘉義市長もつとめた●醒哲氏を団長にIPSTの矢板氏や同シンクタンク顧問の檀上典子さん、台湾高座会の何敏豪会長や陳森明副会長、葉建揚・台日産経友好促進会会長など約20人が来日しました。
(●=サンズイに余)
8日には福岡市内で安倍晋三元総理の安倍昭恵夫人と面会し、昭恵夫人は「日本が最も困難な時に子どもたちのために台湾のコメを提供してくれて、とても感動している」(中央通信社)と感謝の言葉を述べられたと伝えています。
9日には、村岡嗣政(むらおか・まさつぐ)知事を山口県庁に訪ね、台湾米10トンの贈呈式が行われました。
10日から順次300校の学校給食に供されているそうです。
10日は、石川県庁に馳浩(はせ・ひろし)知事を訪ね、台湾米10トンの贈呈式が行われました。
地元のテレビ金沢は、台日産経友好促進会の葉建揚会長が「災害に遭ったのは台湾も一緒で、私たちは深く心が打たれています。
石川だけでなく全国の皆さんと一緒になって、被災者の復興の力になれれば」と述べたと報じ、この台湾米は「石川県内のフードバンク団体を通じて、被災者らに配布されるということです」と伝えています。
日台間では、李登輝総統時代末期の1999年9月に台湾で起こった集集大地震に日本がいち早く100人を超える緊急援助隊を送ったことをきっかけに、2011年3月の東日本大震災や昨年1月の能登半島地震など、大きな災害ごとに義援金や物資を贈り合う支援の好循環が続いています。
この台湾米20トンの寄贈も良好な日台関係を象徴する支援です。
矢板氏をはじめ尽力された皆様に深く御礼申し上げます。
下記に関連ニュースをご紹介します。
◆安倍昭恵さん、台湾からの訪問団と面会 日台の連携訴え 【中央通信社:2025年9月9日】 https://japan.focustaiwan.tw/society/202509090006
◆台湾の民間団体、コメ20トンを山口・石川両県に贈呈 学校や被災地域に 【中央通信社:2025年9月10日】 https://japan.focustaiwan.tw/society/202509100003
◆土木技師・八田與一の出身地に恩返し 能登の被災地支援で台湾の新米10トン 民間団体が寄贈 【テレビ金沢:2025年9月10日】動画https://www.msn.com/ja-jp?bv=midlevel
日本の学校給食に台湾米 実現の裏に多くの人の尽力【中央通信社:2025年9月11日】https://japan.focustaiwan.tw/society/202509110007
(山口中央社)台湾の民間団体などが日本の山口県に贈呈した台湾米が、10日から順次、学校給食として提供されている。
日本のコメの価格高騰をきっかけにした取り組みだが、実現の裏には多くの人の尽力があった。
台湾米の贈呈は、インド太平洋戦略シンクタンク(台北市)の矢板明夫執行長(CEO)が発起し、複数の台湾の民間団体が呼びかけに応じて計約200万台湾元(約970万円)を拠出。
20トンの台湾米「台南11号」を購入した。
山口県以外に、昨年の能登半島地震の被災地を抱える石川県にも贈呈される。
同シンクタンクの檀上典子顧問は、日本は食品に対する検査・検疫基準が非常に厳格で、台湾米を学校給食用として提供するためには、数百項目に及ぶ重金属や農薬の検査を受ける必要があったと話す。
20トンのコメを日本に輸出するには、本来なら700万円近くの税金がかかるが、南部・台南市政府や山口県教育庁の協力を得て、税関に台湾米が市場に流出・販売させないための対策などを説明。
免税措置を受けることができた。
また山口県内では給食を学校給食センターから学校に配送しているため、各センターや各校が発行した受領証明などをまとめて財務省に提出することについても、教育庁の支援で手続きを完了させた。
檀上さんは、台湾の人々の善意や教育庁の支持がなければ実現できなかったと話した。
山口県を中心に展開するスーパー「マルキュウ」を運営し、これまでにも台湾産果物の販売をしてきた丸久の田中康男社長も、税関の手続きや台湾米の保管、輸送などを支援した。
多くの人においしさを知ってもらい、子供たちの思い出になってほしいと語った。
贈呈に協力した台湾高座友の会(台湾高座之友会)の何敏豪会長は、同会も引き続き台日交流の推進に努力したいと語った。
(高華謙/編集:齊藤啓介)。
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