一日本人から見た台湾の昭和歌謡(3)孤女的願望(作詞:葉俊麟)/花笠道中

一日本人から見た台湾の昭和歌謡(3)孤女的願望(作詞:葉俊麟)/花笠道中
「台湾の声」一日本人から見た台湾の昭和歌謡(3)孤女的願望(作詞:葉俊麟)/花笠道中

作者 青山 登

 もとは日本の流行歌でありながら、台湾語の歌詞で歌われ(歌詞の内容は日本のものとは全く異なっている)、ヒットして映画にもなり、近年は台湾の近代史を描写している歌とも評価され、高校の歴史の試験にも登場する昭和の曲がある。

 以下はその試験問題の一例である。

台湾の1960年代の歌に、《孤女的願望》がある。歌詞の内容は「もしもし、田植えをしているおじさん、栄えていると皆が話している街、台北へはどちらにいけばよいか・・・・私は都会に出て〇〇になりたいと思っている。・・・」である。当時の台湾の経済発展の段階からすれば、この女性が都会に出てから就いたと思われる職業で最も可能性が高いのはどれか?

(A)ネット販売センターの販売員 
(B)科学工業団地の清掃員

(C)紡績工場の職工
       (D)コンピュータ工場の食堂の調理師

 答えは(C)で、伏せてある上記〇〇の部分は「女工」である。

 「孤女的願望」は他にも「台湾の工業化の幕開けが描写されている歌はどれか」といった設問で出題されたりしている。

 孤女的願望は父母を早く亡くした若い女性が(15~16歳であろう)、村を出て、台北に職を求めて上京するという設定である。「集団就職」というシステムもないようで一人旅である。貧しかった時代のことであり、「おしん」のようなイメージか。

 この元歌は美空ひばりの「花笠道中」である(米山正夫 作詞・作曲)。 

 「これこれ石の地蔵さん。西へいくのはどっちかえ」というように、元歌は明るく軽快な歌であるが、台湾では一転して、孤児である女性の悲哀と、自分の運命を切り開いていく決意を語る歌になっている。

 確かに悲哀はあるものの、曲は軽快だし、自分の運命を切り開いていくという希望とその強い決意が歌われていること、そしてこのような人たちが台湾を発展させてきた結果がいま現に目の前にあることなどが、歌全体を明るいものにしている。

 この歌も普及していて、なんと現総統府秘書長の陳菊さんの愛唱歌だそうで、カラオケもYouTubeに公開されている。「讃!」上手い。台北に上京する時の心境はまさにこの歌のとおりだとのことである。

 また、前民主進歩党主席の蘇貞昌さんが2010年、台北市長選挙に出馬したとき、この歌を演説に引用している。歌の中の「繁華都市台北」はどちらに行けばよいかと少女が質問する場面を引合いにだし、今の台北にその活力があるのかと問いかけている。

 「花笠道中」がこんなふうに歌われているとは美空ひばりもびっくりであろうが、それでは元歌の「花笠道中」はどうかといえばこれも台湾ではよく知られているようだ。

 三人目の政治家に登場していただく。台北市文山区萬芳里の里長の陳姿秀さんである。

 2016年の萬芳里公民館の書画展の開幕イベントで、和服を着て花笠道中を総勢四人で踊っておられるが、大変お上手で、自然な盛り上がりを見せている。区民の方が喝采している様子もほほえましい。

 踊りが終わると司会者が四人の踊り手について「誰が里長か?誰が踊りの師匠(陳姿秀さんとは別人)か?当ててみなさい」と観客に問いかけている。こういう楽しい様子をYouTubeでみているだけでは物足りない。実際に台湾旅行をしてこんな場面に遭遇してみたいものだ。叶えばかなり幸運な気分になると思う。

※試験問題の原文 

51.臺灣在民國五十年代有一首歌謠《孤女的願望》:「請借問播田的田庄阿伯啊!人在講繁華都市臺北對叨去……阮想欲來去都市,做著○○渡日子……」,請問:以當時臺灣經濟發展歷程階段推測,歌詞中這位孤女到都市之後,最有可能從事哪種工作?

(A)在網路購物中心當推銷員 (B)在科學工業園區當清潔員

(C)在紡織廠當生產線作業員
(D)在電腦工廠員工餐廳當廚師。

出典:高雄市の市立高校の昨年(平成29年/2017年)の試験問題 設問51.

高校1年の社会科の試験で「第二學期第二次段考」とある。

※陳菊さんの孤女的願望のカラオケは「陳菊 孤女的願望」で検索可。

※台北市文山区萬芳里について、里は区の下の行政単位で、里長は選挙で選ばれている。


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