WHOが台湾からの「人から人感染」警告を無視していた!

 2月1日付の産経新聞の社説「主張」において、世界保険機関(WHO)のテドロス事務局長について「感染当事国と向き合い『公衆衛生上の緊急事態』に対処する司令塔には不適格であり、更迭を求めたい」と書いた。

 WHOがようやく1月30日に「緊急事態」を宣言したことを受けてのことだが、1月23日の緊急委員会で、緊急事態宣言を「時期尚早」として見送ったものの、この直後から事態は加速度的に悪化していったため「遅きに失した判断」だと断じ、更迭せよと主張した。本誌も「同感」だとして、この「主張」全文を紹介した。

 いまやパンデミック(世界的大流行)となり、いまも武漢肺炎(COVID-19)の拡大は止まらない状況だが、ここにきて、さらに衝撃的な事実が判明した。

 昨年の12月31日、台湾が武漢肺炎(COVID-19)の人から人への感染の可能性について、台湾が書面でWHOと中国に問い合わせをして警告を発していたにもかかわらず、WHOは「関連の情報を内部のウェブサイトに掲載せず、各国と共有していなかった」というのだ。

 WHOは台湾の警告を無視し、聞く耳をもたなかった。テドロス事務局長はその後も中国寄りの発言を続け、緊急事態宣言のタイミングも遅きに失した。その結果、感染の拡大につながりパンデミックに陥ったことはいまや誰の目にも明らかだろう。

 公衆衛生上の危機に的確な判断ができず、中立性にも大きな疑問符が付くテドロス事務局長がWHOのトップとして不適格であることがさらに明らかになった。解任・更迭以外に選択肢はあるまい。

 また、下記に紹介する中央通信社の記事では、WHOからは「受信した」とだけ返事があったというが、中国については触れていない。中国は返事すら出さず、握りつぶしたようだ。だとすれば、習近平政権の責めも軽くはあるまい。

 いまさら悔やんでも仕方ないが、それだけ逆に台湾の機敏かつ厳格な対応が際立つ。その厳格さは、隔離を無視してクラブ行った男に罰金360万円を科したことや「航空郵便物の取り扱い休止」措置によく表われている。別途ご紹介したい。

—————————————————————————————–「人から人」感染の可能性 台湾、昨年末にWHOに警告 情報共有されず【中央通信社:2020年3月24日】

(台北中央社)新型コロナウイルスの人から人への感染の可能性について、台湾が昨年末、世界保健機関(WHO)に対して警告を発していたことが分かった。外交部(外務省)や中央感染症指揮センターが24日、事実関係を認めた。外交部によると、WHOは関連の情報を内部のウェブサイトに掲載せず、各国と共有していなかったという。

 台湾がWHOに警告していたことについては、20日付の英紙フィナンシャル・タイムズが台湾の官僚や陳建仁副総統の話として報じたほか、米国務省のモーガン・オルタガス報道官も24日、ツイッターで言及していた。

 外交部や中央感染症指揮センターによれば、台湾は中国・武漢で呼吸器系の感染症が発生しているとの情報を昨年末につかみ、衛生福利部(保健省)疾病管制署が12月31日、WHOの国際保健規則(IHR)の連絡窓口や中国側に書面を通じて問い合わせを行っていた。情報提供を求めると共に、人から人への感染の恐れに懸念を示していたという。

 中央感染症指揮センターの担当者は24日午後の記者会見で、WHOからは「受信した」とだけ返事があったと明かした。

(陳韻聿、張茗喧、陳偉テイ、陳怡セン/編集:名切千絵)

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