5月12日、鹿児島県伊佐(いさ)市の橋本欣也(はしもと・きんや)市長は、花蓮市の魏嘉賢(ぎ・かけん)市長などと友好都市を視野にオンラインで交流したそうです。
花蓮市は1982年10月に沖縄県与那国(よなぐに)町と「姉妹都市協定」を結び、近年に至って2019年10月に宮崎県高千穂町と「姉妹都市協定」、同年11月に岩手県盛岡市と「友好都市協定」を締結しています。
一方、伊佐市と台湾の関係は、昨年4月、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表が訪問したことに端を発しているようです。
謝代表は4月26日に長廷鹿児島市内で開かれた奄美大島の大島郡龍郷町(たつごうちょう)、曽於郡大崎町(おおさきちょう)と台湾の友好表敬記念式典に臨んだその足で、台北駐福岡経済文化弁事処の陳忠正処長を伴って伊佐市を訪れ、曽木発電所遺構や曽木の滝公園を案内したことは橋本市長に強い印象を残したたそうです。
その後、11月1日付で台北駐福岡経済文化弁事処の処長が陳銘俊氏に交替すると、12月半ばに橋本市長が台北駐福岡弁事処に陳銘俊処長を表敬訪問し、1月下旬に今度は陳処長が夫人と渉外課長を伴って伊佐市を訪問、曽木の滝公園を視察しています。
橋本市長は2月1日の「市長の部屋」で、謝長廷代表や陳銘俊処長について「常に一貫した丁重な対応で信頼できる方々」と書き留め、また「陳総領事から私の携帯電話に連絡をいただいたときは心から歓迎したいと思いました」と記し、さらには「今後は台湾の都市との姉妹都市盟約や特産品等の経済交流、小中学生をはじめとする人的交流を進めていくことで意見が一致しました。今後の展開がとても楽しみです」と、陳処長への信頼感と台湾への関心が深まっていく様子をつづっています。
そこで2月下旬には、謝代表と陳処長から勧められた屏東県竹田郷とリモートによるオンライン交流となり、今回の花蓮市とのオンライン交流になったとのことです。
昨年4月に鹿児島市を訪問した謝代表は「鹿児島県議会台湾との友好交流促進議員連盟」(鶴丸明人会長)と「屏東県議会台日友好議員聯盟」(李香蘭会長)がオンラインで友好交流覚書を結ぶ署名式にも立ち会っています。また、塩田康一・鹿児島県知事を訪問した際には「覚書をきっかけに、同県と屏東や台湾との交流が深まることを願う」旨を伝えていました。
台湾関係者には屏東県竹田郷といえば、竹田駅に隣接する「アジア最南端の日本語図書館」の池上一郎博士文庫をすぐ思い浮かべるでしょうし、鹿児島県議会と屏東県議会の交流もありますので、謝代表も陳忠正・前処長も橋本市長に屏東県竹田郷との交流をお勧めしたのかもしれません。
一方、花蓮市は陳銘俊処長の生まれ故郷でもあり、日本の3つの自治体と都市間提携を結んでいる実績もあることから、陳処長は花蓮市との交流をお勧めしたようです。
いずれにしろ、伊佐市の橋本市長の発言からは台湾の自治体と都市間提携を結ぶ意向であることは如実に伝わってきます。そう遠くないうちに実現することを期待し、下記に中央通信社の記事をご紹介します。
◆鹿児島県伊佐市ホームページ https://www.city.isa.kagoshima.jp/
◆花蓮市ホームページ http://www.hualien.gov.tw/home.php
—————————————————————————————–台湾・花蓮市 鹿児島県伊佐市とオンライン交流 友好都市の締結に期待【中央通信社:2022年5月13日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202205130001
(花蓮中央社)東部・花蓮県花蓮市は12日、鹿児島県伊佐市とオンライン形式で交流を図った。魏嘉賢(ぎかけん)花蓮市長は、友好都市関係の締結に期待を寄せている。
花蓮市によると、交流は台北駐大阪経済文化弁事処(総領事館に相当)福岡分処の陳銘俊(ちんめいしゅん)処長の働き掛けによって実現したという。陳氏や魏氏の他、橋本欣也伊佐市長らが出席し、双方の都市を紹介するなどした。
魏氏は、花蓮市が沖縄県与那国町や宮崎県高千穂町など世界6都市と姉妹都市、岩手県盛岡市など3都市と友好都市関係を結んでいることに触れ、国際関係への重視を強調。観光政策を進めていることにも言及し、橋本氏らに来訪を呼び掛けた。
会議に出席した外交部(外務省)の担当者は、観光や産業、教育、文化などの分野での交流強化に期待を示した。
(張祈/編集:齊藤啓介)
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