韓國瑜・高雄市長を急追しているのが鴻海精密工業前董事長の郭台銘氏だが、ここに来て勢いが少し落ちてきたようだ。一方の韓國瑜氏の人気も下降気味で、産経新聞が政治雑誌「新新聞」の報道を引用して「『郭氏の支持率の上昇は遅すぎ、韓氏を追い越せない』との党幹部の見通しを伝えている。ただ、韓氏も香港のデモでの失言や高雄市でのデング熱の発生で『支持率の最高地点は過ぎた』(新新聞)と人気は下降気味」と伝えているので下記にご紹介したい。
接戦は接戦のようだが、民進党の公認候補となった現職総統の蔡英文氏には届かないのではないか。
6月24日、台湾のTVBSが次期総統選挙に関し「明日投票するとすれば、どの候補者に票を投じますか?」という世論調査の結果を公表した。韓國瑜氏が8ポイント離され、郭台銘氏は11ポイント、朱立倫氏に至っては15ポイントも離されている。
・韓国瑜の場合 → 蔡英文:37% 韓国瑜:29% 柯文哲:20%・郭台銘の場合 → 蔡英文:35% 郭台銘:24% 柯文哲:21%・朱立倫の場合 → 蔡英文:36% 朱立倫:21% 柯文哲:23%
—————————————————————————————–台湾野党・郭氏、潤沢資金で総統予備選猛追 経験不足でほころびも【産経新聞:2019年7月5日】
【台北=田中靖人】台湾の野党、中国国民党の総統候補を決める予備選で、鴻海(ホンハイ)精密工業の郭台銘(かく・たいめい)前会長(68)がなりふり構わない追い上げを見せている。「台湾一の富豪」とされる私財を投じて大規模な宣伝を展開、世論調査で支持率首位の韓国瑜(かん・こくゆ)高雄市長(62)に迫っている。ただ、政治経験の不足と豪腕経営者の強い個性が災いし、支持が伸び悩んでいるとの指摘もある。
郭氏は6月上旬から複数のCMをテレビ各局で放送し、不作為に電話をかけて自動音声で支持を訴える運動も実施。全党員約80万人に手紙を送り、書式が「党本部発と誤解させる」と韓氏の支持者の反発を招いた。広告業者によると、CMの費用だけで「数億台湾元(1台湾元=約3・5円)は下らない」とみられる。宣伝の成果か、郭氏は候補者を決める党の世論調査が8日に始まるのを前に、各種調査で韓氏に支持率数ポイント差に迫っている。
こうした「空中戦」を支えるのが潤沢な個人資金だ。政党の予備選には公職選挙法に相当する法令が適用されないため、選挙費用に制限はない。一部台湾メディアは、郭氏が4月に銀行から鴻海の株式の一部を取り戻したと報道。売却すれば237億台湾元(約830億円)になり、活動資金に上限のある総統選の本選7回分の金額だと指摘した。
郭氏は6月末の討論会で、若年層の支持を狙い、0〜6歳児の「国による育成」を突如発表。「財源がない」と批判されると、法律で使途が制限されている年金基金などを挙げ、今月3日の討論会では「足りなければ自分の資産で補充する」と暴走した。これには朱立倫元主席(58)が「予算のABCを学ぶべきだ」と猛反発。だが、郭氏は「過去40年、鴻海で利潤を生み4千億台湾元(約1兆4千億円)を納税した。総統として最良の人選だ」と誇り、「庶民の経済」の改善を訴えた韓氏とも好対照をなした。
郭氏は6月下旬、自らに批判的なキャンペーンを張る中国時報系のテレビ局記者を「イヌ」と罵(ののし)って取材拒否を宣言するなど、ワンマン経営者出身の「政治の素人」(本人)ぶりが目立つ。政治雑誌「新新聞」は、「郭氏の支持率の上昇は遅すぎ、韓氏を追い越せない」との党幹部の見通しを伝えている。ただ、韓氏も香港のデモでの失言や高雄市でのデング熱の発生で「支持率の最高地点は過ぎた」(新新聞)と人気は下降気味で、両氏の接戦の行方は見通せない状態だ。