武漢肺炎によって内部から揺らぎはじめたか習近平政権

 このところの中国の動きが気になる。ちぐはぐというのか、まとまりがない。内部からの突き上げで習近平政権の箍(たが)が緩(ゆる)んできているようにも見える。

 3月12日、中国外交部の趙立堅・報道官はツイッターで「新型コロナウイルスは米軍によって武漢に持ち込まれた可能性がある」と書き、「米国はまだ我々に謝罪していない」とも書き添えた。

 日本の防衛省幕僚監部発表の資料によれば、3月18日には、ミサイル駆逐艦を含む中国軍艦4隻が台湾東部を航行し、宮古海峡に沿って中国に帰還したという。

 翌19日には、台湾の金門島海域において、中国のものと見られる漁具を積んでいない10隻以上の小型スピードボートが台湾の海上巡視船めがけて交代で突進を繰り返した。

 3月23日には、遼寧省瀋陽市太原街にあるレストラン「楊媽媽粥品専家」が店頭に「米国の感染状況を熱烈に祝う。日本での感染が順調に長続きしますように」(熱烈祝賀美国疫情 祝小日本疫帆風順長長久久)というアーチ状の赤い横断幕を掲げていたことが判明した。

 瀋陽はかつての奉天で、決して反日が強いところではないという。中国事情をよく知る宮崎正弘氏は「瀋陽が親日的な街であり、日本企業が夥しく進出しており、この時期に反日キャンペーンの一環ととられる行為を当局が黙認したとは考えにくいのではないか。となると、どうみても反習近平のグループが逆効果の演出を目的として、日中関係に亀裂を起こさせ、習政権を困らせる目的があるような伏せられた政治目的の行為であろう」(3月24日付「宮崎正弘の国際情勢解題」)と見立てている。

 武漢肺炎(COVID-19)によって習近平政権そのものが揺らぎ始めているのかもしれず、そのために米国や日本へ責任転嫁を図ろうとし、台湾を軍事的に挑発しているとも考えられる。その点で、赤い横断幕を反日行為と捉えるのはやはりナイーブな見方で、習近平政権への反政府画策とする宮崎氏の見立ては当たっているように思う。

 いずれにしても、中国が危険な国であることは論を俟たない。産経新聞は昨日の社説「主張」において「感染拡大の責任をめぐり黒を白と言いくるめ、感謝まで要求する異質性を国際社会は改めて認識すべき」と指摘し、「『中国リスク』があることを意識し、あらゆる場面で対中依存を大幅軽減していかねばならない」と警鐘を鳴らす。

 台湾の第一銀行の頭取をつとめた台日文化経済協会前会長で旭日中綬章を受章した黄天麟氏は、米国にトランプ政権が誕生した直後「米中の貿易戦争は不可避」と予測、見事に言い当てた。?氏はまた「台湾は中国から離れれば離れるほど幸せになる」と喝破している。日本も同様であろう。

◆台湾船に組織的に衝突する十数隻の中国漁船 「民兵」を疑う声[大紀元:3月22日] https://www.epochtimes.jp/p/2020/03/53459.html *動画あり

◆日米の感染拡大祝う赤い横断幕 中国・瀋陽、地元紙報道[産経新聞:3月23日] https://www.sankei.com/article/20200323-EK4V3WP6TVK3NPVIY32R6RRRLA/

—————————————————————————————–ウイルスと宣伝戦 中国は不毛な詭弁やめよ【産経新聞「主張」:2020年3月23日】https://www.sankei.com/article/20200323-GBOE255VUVPFTAZUJ7X3PLEDPA/

 新型コロナウイルスについて中国側のあきれた主張が展開されている。中国外務省の趙立堅報道官が「米軍が感染症を武漢に持ち込んだかもしれない」とネット上で発言した。

 これに対し、ポンペオ米国務長官は中国の外交トップ、楊潔●共産党政治局員に厳重に抗議した。それで終わらず楊氏は「中国に汚名を着せようとしている」などと反論し、「中国の利益を損なう行為は必ず断固とした反撃にあう」とまで警告した。中国はその前にやることがあるだろう。(●=簾の广を厂に、兼を虎に)

 昨年暮れには湖北省武漢で感染症が見つかっていたにもかかわらず、中国政府の情報隠蔽(いんぺい)で初動が遅れ、世界的な感染の爆発が起きたことは明白だ。楊氏の発言は中国の「負い目」の表れであり、責任転嫁だと言わざるを得ない。

 感染拡大や経済混迷で鬱積した人民の不満が、共産党批判に向かうことも恐れているのだろう。

 中国政府は国内の医療関係者や感染者、遺族らはもちろん、国際社会に対しても真摯(しんし)な姿勢で謝罪することが先決だ。詭弁(きべん)を弄してねじ曲げることは許されない。

 ポンペオ氏が中国への抗議で示したように、「今はデマを拡散したり奇怪な噂を流したりしている場合ではない」ことも確かだ。

 習近平国家主席は「病原がどこから来て、どこに向かったのか明らかにせよ」と命じたが、「発生源が中国とはかぎらない」と感染源のすり替えまで狙っている。

 トランプ米大統領は、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼ぶなど、牽制(けんせい)し始めた。見過ごしては中国のプロパガンダ(宣伝)を許すことになる。

 中国の官製メディアは反省や謝罪どころか、「欧米は警戒と対応が甘い。感染を広げたことを反省せよ」「中国は感染の抑制に貢献した。中国に感謝せよ」などと主張している。イタリアに医療救援チームを派遣するなどし、中国は救世主との立場も演じている。

 感染拡大の責任をめぐり黒を白と言いくるめ、感謝まで要求する異質性を国際社会は改めて認識すべきだ。日本の政財界や国民も今回のような問題がひとたび発生すれば、甚大な被害が広がる「中国リスク」があることを意識し、あらゆる場面で対中依存を大幅軽減していかねばならない。

 中国に何らかの幻想を抱く時代はすでに終わっている。

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