東京都の住民票「台湾」改訂通知に台湾・外交部が歓迎コメントを発表

6月7日発行の本誌で、同日発行の産経新聞が、東京都は5月30日に台湾からの転入・
台湾への転出の際、住民基本台帳(住民票)に「台湾」の表記を認める通達を出したこ
とを伝えたが、各地の反響は大きく、台湾の外交部(外務省に相当)もその翌日、「歓
迎」コメントを発表した。

 東京都のこの通達は昭和62年(1987年)に「外国人登録事務に準じて『中国』と記載
する」と通知以来、21年ぶりとなる改定通知であり、いわば東京都による住民基本台帳
(住民票)における「台湾正名」と言ってよい。

 実際、台湾をどのように表記するのか、都下の区市町村の窓口では混乱していた。
「中国」「中国(台湾)」「中国台湾省」と表記するなどバラバラで、都が「62年の通
知が現状に即しておらず、正確ではない」と判断したことで今回の通達となったわけだ
が、他の自治体の中には「中華人民共和国」(大阪府吹田市)や「中華民国」(千葉県
鎌ヶ谷市)とするところもあり、同じような混乱が起こっている。

 この東京都の判断に政権が変わった台湾も賛意を表したことで、住民基本台帳を管轄
する全国の区市町村にも影響を与えることは必至だ。

 中国政府や東京都と友好姉妹都市関係にある北京市が東京都の今回の措置に対して否
定的コメントや交流を凍結させるなどの対応を取ることも予想されるが、それこそ内政
干渉だと逆に反発を招き、立場を悪くするだろう。日本と健全な友好関係を維持しよう
とするなら沈黙こそ金だ。

 一方、この東京都における住民票の台湾表記への改訂通知をささいなことと捉える向
きもあるが、それまで法務省の外国人登録事務にしばられ、平成12年の地方分権一括法
の施行以降は自治体に混乱が起こり、申請者にも不快感を与えてきたことを振り返るな
ら、この東京都の通達は大きな一歩と言える。

 この措置が全国に広がることで、確実に外国人登録証明書の国籍欄の見直しにもつな
がるのである。本誌で紹介した山田智美さんのような陳情や投稿、東京都へ働きかけて
くれた都議会議員や関係者の方々など、その積み重ねが東京都を動かしたのだ。今度は
東京都が全国の自治体を動かし、「外登証表記は現状に即していない」という声が全国
に澎湃として起こって法務省を動かすのである。

 日本李登輝友の会は発足以来、外登証問題に取り組んできており、ホームページの
「活動」の中には「外国人登録証」のコーナーを設け、これまでの活動の一端を報告し
ている。本年度の事業計画でも「『台湾正名運動』の日本における展開」を掲げている。

 本会は今後とも「台湾は中国の一部」との誤解を解消するため、法務省入国管理局の
外国人登録における在日台湾人の国籍表記を「中国」から「台湾」に改めることを主眼
とし、この住民票問題にも取り組んでいきますので、引き続きご支援ご協力をお願いし
たい。

                     (日本李登輝友の会事務局長 柚原正敬)

■本会ホームページの「外国人登録証問題」 http://www.ritouki.jp/


東京都の「台湾」正名に、外交部が「歓迎」
【08.6.09 台湾の声】

 東京都が住民票の転出入地記載欄で台湾について従来の「中国」から「台湾」と表記
することを認める通知を都内の自治体に出した件に関して、台湾の葉非比・外交部報道
官は6月8日、「対岸と明確な区別がつき、混乱が避けられ、東京都における僑民の利益
が保障される」として「歓迎する」と発表した。

 外交部は6月6日に、「訪台」を「訪華」とするよう指示したことを撤回したばかり。
一方で、総統府は6月6日に、「駐台大使」という表現を「駐華大使」と改め、「一つの
中国」を世界に向けてアピールしている。



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