日)、台湾南部の屏東において長老教会南部地区の牧師などを前に講演。この中で香港で起こって
いる学生や市民による抗議活動について触れ、中国共産党や習近平主席らの対応を批判、「時代の
変化を理解し、市民が何を求めているか考えるべき」と表明された。下記にその記事をご紹介した
い。
3月に台湾で起こった「太陽花学運(ひまわり学生運動)」の立法院議場占拠のときに李元総統
は声明を発表、「指導者は彼らの声にできるかぎり耳を傾け、人民の苦しみを理解すると同時に、
具体的かつ誠意を持って学生や人民の要求に答え、解決の道を探るべき」(3月30日)と強調され
たことを思い出させる。
それにしても、中国は香港返還に際し、返還前の社会、経済制度や言論の自由などを50年間維持
することを公約した。それにもかかわらず、香港行政長官選挙をめぐって中国政府の意に沿わない
人物の立候補を事実上排除する方針を決定した。これは明らかな国際信義に悖る公約違反だ。
岸田文雄外務大臣は昨日(10月7日)の記者会見で、今回の香港の状況に関して日本政府として
の見解を尋ねられ「一国二制度の元に香港が平和的に、民主的に発展をし、そして我が国との関係
も維持されることを期待しています」と述べるにとどまっている。
しかし日本政府は、せめてこの公約違反に対しては明確なメッセージを出し、中国に警告すべき
だろう。メッセージを出さなければ、日本は中国政府の決定を追認したと受け取られかねない。安
倍政権は李元総統を見倣い、価値観外交をいまこそ発動すべきだ。
李登輝氏「中国共産党は台湾の政治改革に学べ」香港デモで
【中央通信社:2014年10月7日】
(屏東 7日 中央社)李登輝元総統は6日、出席した長老教会のイベントの中で、香港の民主派デ
モについて、中国共産党はかつて台湾で行われた政治改革の手法に学ぶべきだと語った。
李氏は、故・蒋経国元総統が政治改革を行うために蒋介石一族による総統の世襲を否定したこと
は、台湾全体に変化をもたらしたとした上で、このような“平和革命”は中国共産党の政治改革の
モデルとなりうると述べた。
加えて李氏は、中国大陸の習近平氏に対して、時代の変化を理解し、市民が何を求めているか考
えるべきと呼びかけ、政治家はマフィアを利用したり、人々を騙すような方法で社会運動に対応す
るべきではないと語った。
(郭シセン/編集:杉野浩司)