武漢肺炎の封じ込めに成功している台湾のWHO加入を後押しする情勢が強まる中、4月27日に、台湾の陳時中・衛生福利部部長と米国のアレックス・アザー保健福祉長官と電話で会談した。ロイター通信は「米と台湾の閣僚が公の場で直接交流することは極めて異例」と伝えている。
また、4月29日には、日本、米国、台湾などが武漢肺炎をめぐる偽情報(ディスインフォメーション)への取り組みをテーマにテレビ電話会議「グローバル協力訓練枠組み」(GCTF:Global Cooperation Training Framework)が実施された。これもまた異例のことだろう。
日本からは泉裕泰・日本台湾交流協会代表、米国からはロバート・デストロ国務次官補、台湾からは徐斯倹・外交部政務次長が参加し、インド太平洋地域から6カ国、80人余りの政府関係者や非政府組織(NGO)代表、専門家らも参加したという。中国は招かれなかったようだ。
武漢肺炎はパンデミックとなって怒濤のように世界中を混乱に陥れ、感染者342万7,343人、死者24万3,808人(5月3日)という大きな災いをもたらしている。しかし、一方で禍福はあざなえる縄のごとく、武漢肺炎がこのような会談をもたらした一面があることも事実だ。
これは、中国がこれまで主張してきた「『一つの中国』原則」を突き崩す動きと言ってよい。中国にとっては負の効果をもたらすブーメラン現象かもしれないが、台湾にとっては曙光であり、台湾の国連脱退後、初めて訪れた国際機関加盟の好機到来とも言える。まずは、5月17日から開催予定のWHOの年次総会に台湾がオブザーバー参加できるかが一つの指標となる。
下記に、日米台などのテレビ電話会議の開幕式において「引き続き台湾のWHOへのオブザーバー資格での参加等、台湾の然るべき形での国際組織の参画を強く支持していきます」と力強く述べた泉裕泰代表の挨拶全文と、中央通信社の記事を紹介したい。
◆泉裕泰代表がバーチャルGCTFの開幕式に出席[4月30日] https://www.koryu.or.jp/about/taipei/chief-representative/izumi/activity-report/20200430/
—————————————————————————————–台米日、コロナ偽情報対策でテレビ電話会議【中央通信社:2020年4月30日】https://japan.cna.com.tw/news/apol/202004300002.aspx
(台北中央社)台湾、米国、日本による「グローバル協力訓練枠組み」(GCTF)のワークショップが29日、テレビ電話会議による形式で実施された。新型コロナウイルスを巡る偽情報への取り組みについて話し合われ、外交部(外務省)の徐斯倹政務次長、ロバート・デストロ米国務次官補(民主主義・人権・労働担当)、日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会台北事務所の泉裕泰代表(大使に相当)らが出席した。
徐次長は、新型コロナウイルスの感染拡大以来、民主主義を脅かそうとする偽情報が飛び交っているとした上で、中国の大々的なプロパガンダも行われていると言及。だが台湾は、民主的な社会でも効果的な感染対策が取れると証明した「台湾モデル」を世界に示すことができたと述べた。
デストロ次官補も「台湾モデル」に言及し、台湾はインド太平洋地域の防疫対策においてリーダー的存在であるとの考えを示した。泉代表は、台湾がウイルスの封じ込めだけでなく、偽情報への対応でも大きな成果を上げていると称賛。政府による正確な情報発信や偽情報への迅速な対応が非常に重要だと述べた。
同部によれば、ワークショップには台米日のほか、インド太平洋地域から6カ国、80人余りの政府関係者や非政府組織(NGO)代表、専門家らが参加した。
(徐薇テイ/編集:楊千慧)
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