伝えしたとおりだ。
そこで、「日刊サイゾー」というインターネット紙が「九州ほどの面積しかない台湾の
人口は約2,300万人で、サラリーマンの平均月収は13万円前後。その台湾からの義援金100
億はまさに桁外れの額で、台湾人の親日ぶりがうかがえる。なぜ、ここまで台湾人は親日
なのか」と、その疑問を解くべく、日本の台湾窓口となっている(財)交流協会の「日台交
流センター」に聞いたそうだ。
4月6日発行の「日刊サイゾー」にその詳細が掲載されている。「国が一丸となり援助の
手を差し伸べてくれる台湾には頭が下がる思いでいっぱいだ。近い将来、なんとかこの国
難を乗り越え、両国親交がさらに深くなることを期待したい」と記事を結んでいる。内容
のあるいい記事だ。下記にURLを掲載するのでぜひご覧いただきたい。
しかし問題は、ここに紹介されている日台交流センターの発言だ。なんと「戦後、日本
の敗戦にともない台湾が中華民国(中国国民党政府)に返還されました」と答えているの
である。
わが目を疑った。日台交流センターは交流協会の中にある部署の一つで、交流協会の勤
務が終われば、また外務省に戻ったり大使や公使に就くという。
つまり、台湾と国交を持たない日本が台湾と交流を続けていくために設けた機関であり、
実質上の外務省の出先機関と言ってよい。その中の日台交流センターの職員が、日本は戦
後、台湾を中華民国に返還したと言ったというのだ。由々しき発言だ。
この件については、地図帳問題で詳しく論じているのでここでは省略するが、要は日本
が台湾を1945年に中国(中華民国)に返還していたら、どうしてサンフランシスコ平和条
約で台湾を放棄できたのかということだ。これについては日本政府の見解も明らかで、台
湾が中国の領土の一部とは認めていない。つまり、中国に返還などしていないという立場
だ。
そこで昨日、念のため交流協会に日台交流センターの位置づけを確認しようと連絡を入
れた。応対したのは旧知の方だった。なんと日台交流センター長も務めているという。
「日刊サイゾー」から取材を受けたという報告はまだ聞いていないと言いつつ、話しな
がらインターネットでこの記事を探し出して、返還について「こういう事実はあり得ない」
と言下に断言した。そこで早速、「日刊サイゾー」から取材を受けたかどうかも含めて調
査するとの返答だった。
本日、改めて交流協会に連絡すると、「取材を受けた日台交流センターの者は、台湾が
中華民国に返還されたなどとは言っておらず、『日刊サイゾー』に訂正を要求した」との
ことだった。交流協会のすばやい動きに感謝したい。
しかし、中学校の地図帳や高校教科書など、まだまだ「日本は台湾を中国に返還した」
という誤った記述は横行している。
実は、昨年8月の中日新聞(東京新聞)でも、同様の記事が掲載され、昨年から中日新聞
(東京新聞)に質問という形で訂正を求めていた。しかし、中日新聞(東京新聞)側は頑
として非を認めない。近々、その経緯を明らかにして、日本李登輝友の会として正式な訂
正を要求する予定だ。そのときは、本誌で先方の担当者の名前も連絡先も明らかにするの
で、ぜひ皆さんのお力添えをいただきたい。
■ 日台交流センターに聞いた「義援金100億突破―」台湾はなぜ親日家が多い?
【日刊サイゾー:2011年4月6日】