国民党中華思想組は習近平の第五列  宮崎 正弘(作家・ジャーナリスト)

【宮崎正弘の国際情勢解題:2026年1月27日(通巻第9132号)】

台湾にも“統一幻想”に取り憑かれた媚中派政治家がごまんといる北京の事実上の命令にしたがっての政治活動は日本の媚中派議員よりひどい

日本の媚中勢力があたかも北京の指令に基づいて行動しているように、台湾でも頼清徳政権の足をひっぱる邪悪な媚中勢力がある。

いわずとしれた台湾国民党の守旧派「中華思想組」である。

かれらの思考体系は中華が世界の基軸であり、世界は華夷秩序で保たれているのであって周辺諸国は中国の冊封体制に組み込まれているという時代錯誤のパラノイア的発想に取り憑かれている。

国民党守旧派が尻尾を振って北京に鞠躬如としたがうのも、日本の阿諛追従政治家とそっくり。

国民党は「国民党・中国共産党フォーラム」を再開するため、旧正月(2月17日)前に中国を訪問する予定だった。

紆余曲折の後、「国民党・中国共産党フォーラム」は、これまでの大規模会議から、両党のシンクタンク間の訪問・交流へと変更されるようにトーンダウンした。

しかし習近平は、そうした台湾の媚中派にも不満たらたらで、「国民党は頼政権がアメリカと進める武器購入の阻止努力が不十分である」と攻撃している。

2005年の連胡会談(胡錦濤・馬英九会談)以前には国民党が69回もの武器購入ボイコットを行った過去を挙げ、フォーラムの再開とそれに続く「鄭・習会談」を促進するために国民党が「具体的な行動」を取るよう具体的に示唆している。

「鄭・習会談」とは現在の台湾国民党の鄭麗文主席(女性)と習近平の直談判を意味する。

国民党は習近平の態度硬化に戸惑いを見せている。

台湾国民党は25年11月1日の国民党代表大会で、中華思想を代弁する鄭麗文を主席に選んだ。

彼女は英米留学の才媛で180センチの大女である。

鄭麗文は就任演説で、「台湾はいつ勃発するかも分からない戦争の脅威にさらされている」と与党民進党政権を強く批判し、「国民党は100年続く両岸(中台)の平和を必ずつくり上げる」などと訴えた。

こうした台湾政治の分裂状態に便乗するかのように習近平が、「今後の両岸対話において、国民党はもはや『統一後の制度的取り決め』を議題とすることを回避できず、『統一』後も『中華民国』が中華人民共和国と同等の政治体制として存続すると台湾人民に誤解させてはならない」と要求した。

中国の台湾事務弁公室は非公式に、「両岸交流の目標は“中国の統一”であり、国民党は両岸交流に頼って利益を得るだけで、肝心な時に『表面的な仕事』しかしない」としているという。

▼国民党中華思想組は習近平の第五列なのか?

北京は、「真の1992年コンセンサスの確立」を要求し、「中国のアイデンティティ」の推進に向けた国民党の努力は不十分だと考えている。

北京は1兆2500億台湾ドルの武器購入予算を承認しないこと、台湾の「統一」のための制度的枠組みについて明確な立場を示し、曖昧さを一切排除すること、そして台湾が米国とのサプライチェーン協力を決して支持しないことなど露骨に三つの指針を提示している。

というより命令している。

そもそも中国の謂う『92年コンセンサス』なるものは当時の辜振甫と王道函が合意したとされる“幻の協定”で李登輝総統は現職時代にも「そんなものは存在しない」と交渉の前提条件からは度外視してきた。


※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


投稿日

カテゴリー:

投稿者: