国会図書館が台湾を「中国の省」と表記した問題で外交部が代表処に抗議指示

本誌の2月18日号で、国立国会図書館が英語サイトにある利用者登録ページの「居住国」(Country of Residence)の選択リストで、台湾を「TAIWAN,PROVINCE OF CHINA」(中華人民共和国台湾省)と「中国の省」と表記していることに対し、全日本台湾連合会が抗議し「TAIWAN」に是正するよう求める声明を発表したことを紹介した。

台湾の外交部もすぐに反応し、2月20日に「台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)に対し、同館に厳重に抗議し、誤りの訂正を求めるよう指示したと明らかにした」と中央通信社が報じている。

日本はすでに、新たに発行する「在留カード」において「国籍」欄を「国籍・地域」欄に変更し、台湾出身者の表記を「中国」から「台湾」に改めるとする改正「出入国管理及び難民認定法」を可決し、その3年後の2012年7月9日、予定通り外国人登録証明書(外登証)を廃棄し、新たに発行した在留カードで、台湾出身者の「国籍・地域」欄の表記を「中国」から「台湾」に改めている。

同時に実施した「外国人住民基本台帳」でも、「国籍」欄を「国籍・地域」欄に変更し、台湾出身者は「台湾」と表記するようになっている。

このように12年前に改正法が施行されているにもかかわらず、国立国会図書館が設定している利用者登録ページでは台湾を中華人民共和国(中国)の一省と表記し、それを選択するようになっている。

国立国会図書館は、国立国会図書館法に基づいて設置された国会に属する唯一の国立の図書館にもかかわらず、立法府で定めた法に則った形で利用者登録ページを設定していないというのだから、これは大問題だ。

それどころか、台湾ではすでに台湾省が廃止されており、「中華人民共和国台湾省」とは中華人民共和国の行政区の名称だ。

日本の国立国会図書館が日本の法律に則るのではなく、中国が用いている行政区の名称に則っているとは言語道断というしかない。

早急に是正されるべきだ。

国立国会図書館のホームページでは、「利用者登録に関すること」の連絡先は東京本館も関西館も同じで、下記のように記している。

・電話:0774-98-1312(関西館開館日の9時30分〜17時45分)

◆国立国会図書館:https://www.ndl.go.jp/


国立国会図書館、英語版ページで台湾を「中国の省」と表記 外交部、訂正求める【中央通信社:2023年2月20日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202402200002

(台北、東京中央社)国立国会図書館が提供する検索サービス「国立国会図書館サーチ」の英語版新規利用者登録ページの居住国選択欄で、台湾が「中国台湾省」(TAIWAN, PROVINCE OF CHINA)と表記されていることが分かった。

外交部(外務省)は20日、台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)に対し、同館に厳重に抗議し、誤りの訂正を求めるよう指示したと明らかにした。

同サービスは先月5日、従来の2つのウェブサービスを統合、リニューアルする形で新たに公開された。

日本語版の利用者登録ページの居住国選択欄では、台湾が「タイワン(台湾)」とされているが、英語版では「中国台湾省」と表記された。

これに関し、在日台湾人団体の連合組織、全日本台湾連合会(全台連)が18日、同館の吉永元信館長宛てに抗議文を発表し、早急な訂正を求めていた。

外交部の劉永健(りゅうえいけん)報道官は20日の定例記者会見で同館の英語版ページの表記の誤りについて、厳重に抗議するよう駐日代表処に指示したと説明。

「中華民国台湾は独立した主権国家であり、中華人民共和国とは互いに隷属しない」とし、同館に対して訂正を求めると述べた。

全台連は抗議文で、台湾人利用者が利用者登録を行う場合に「自分の国台湾を『中華人民共和国台湾省』と認めなくてはならないような仕組みになっている」と指摘。

「台湾人にとって非常な侮辱であり、また事実とも著しく異なる」と非難した。

その上で、「台湾は独立した主権国家であり、独自の政府、経済、文化を持っている」とし、「決して中国の一部ではない」と訴えた。

また、国立国会図書館が「真理がわれらを自由にするという確信に立つて、憲法の誓約する日本の民主化と世界平和とに寄与すること」を使命に掲げていることに触れ、「台湾を併呑すると公言し、『台湾はわれわれの領土だ』と虚偽のプロパガンダを重ねる中国におもねるような姿勢は国立国会図書館の精神に反する」と批判した。

20日午後2時現在、英語版ページの居住国選択欄は「TAIWAN, PROVINCE OF CHINA」のままになっている。

(呉昇鴻、楊明珠/編集:名切千絵)


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