台湾立法院が中華航空改名と台湾パスポートの認知度向上を求める議案を可決

 本誌でも取り上げてきたチャイナエアライン(中華航空)の改名問題で、去る7月22日、立法院が「チャイナエアライン(中華航空)の改名と台湾のパスポートの認知度向上を政府に求める議決」を全会一致で可決したという。

 中華航空(チャイナエアライン China Airlines)は台湾を代表する航空会社として「ナショナルフラッグ・キャリア」と言われる。ただ、その機体に「China」の文字が入っているため、台湾が各国にマスクなどを寄贈しても中国の空空会社と誤解されるケースが少なからずあるため、改名を求める声が上がっていた。

 4月半ばには交通部の林佳龍・部長が「社会が議論を重ね、共通の認識に達することへの期待」を表明し、行政院の蘇貞昌院長も「国を代表する航空会社に台湾と表記することは政府が努力すべき」という道筋を示した。

 一方、パスポートの表紙デザインも問題視されてきた。

 台湾のパスポートには中華民国の国旗と中国国民党の党旗にもあしらわれている青天白日の紋章とともに「中華民國 REPUBLIC OF CHINA TAIWAN 護照 PASSPORT」と記されている。ところが、中華民国の英語名「REPUBLIC OF CHINA」には、中華人民共和国の英語名「People’s Republic of China」と同じく「CHINA」が入っているため、中国人と間違えられるケースが少なくないそうだ。そこで、削除すべきという声も高まっていた。

 立法院の議決は政府に要請していることから、台湾の国益を守り、台湾人の尊厳を守るため「交通部や外交部(外務省)など関係部会(省庁)が台湾の認知度を高める新しいデザインのサンプルを作成する」ことになったという。

 台湾を占領して大陸へ戻れなかった蒋介石政権がもたらした負の遺産である「チャイナ」の残滓を、薄皮を1枚ずつめくるように取り除こうとしている。台湾は確実に「中華離れ」し、台湾本来の姿を取り戻しつつある。

—————————————————————————————–立法院、中華航空の改名と「台湾」旅券の認知度向上を求める決議【中央通信社:2020年7月22日】

 (台北中央社)立法院(国会)は22日、チャイナエアライン(中華航空)の改名と台湾のパスポートの認知度向上を政府に求める議決を全会一致で可決した。いずれも中国と混同されないのが狙いとみられる。

 提案した与党・民進党の議員団によると、政府系ファンドが筆頭株主のチャイナエアラインが、海外で中国の航空会社「エアチャイナ(中国国際航空)」と間違えられることが多いという。議員団は、同社の国際的な認知度を高め、台湾の国益を守るため、飛行機の塗装や英語社名などの変更を盛り込む実施計画の策定・提出を交通部(交通省)に要請した。

 一方、正式国名の「中華民国」や「REPUBLIC OF CHINA」などが印字されたパスポートに関しては、民進党・陳水扁政権下の2003年から「TAIWAN」も加えられるようになったが、新型コロナウイルスが世界的に流行して以来、多くの台湾人が外国の空港などでパスポートの「CHINA」の文字で中国人と誤認されたと指摘。こういった状況を回避し、国民の尊厳を保つため、台湾のパスポートの認知度向上に向けた具体策をまとめるよう行政機関に呼び掛けた。

 今回の決議を受け、行政院(内閣)の丁怡銘報道官が同日、交通部や外交部(外務省)など関係部会(省庁)が台湾の認知度を高める新しいデザインのサンプルを作成すると述べた。

(陳俊華、顧?/編集:羅友辰)

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