台湾の中華航空(チャイナエアライン China Airlines)は、世界29の国と地域の160都市に就航している。英語の名称に「チャイナ」が入っていることから、中国の航空会社ではないかと間違われやすい。中国には中国国際航空(Air China)があり、とても紛らわしい。そこで、名称を変えたらどうかと提案されている。
最近も、台湾パスポートに「チャイナ」(REPUBLIC OF CHINA)の文字が入っているため中国人と間違われやすいことから、台湾では削除の動きが高まっているという。産経新聞は「台湾独立志向の野党、時代力量傘下のシンクタンクが3月下旬に行った世論調査によれば、約74%の台湾の人々が、パスポートから『CHINA』を削除することに賛成している」(4月9日付)という。
中華民国と国交をもたない日本が、台湾からの観光客などをノービザで受け入れているのは、パスポートに「TAIWAN」と表示しているからだ。台湾がパスポートに「TAIWAN」と表示したのは2003年9月のことで、日本は「TAIWAN」表示パスポートに基づいて2005年9月、台湾観光客に対するビザ免除を恒久化したのだった。
台湾は蒋介石時代ならいざ知らず、すでにチャイナと名乗る必要性も必然性もなくなっている。台湾は台湾でよいのではないか。中華航空は「台湾航空」、英語名も「Taiwan Airlines」に改称した方がスッキリするし、現状にも合っている。
林佳龍・交通部長も4月11日のフェイスブックで「全國人民看法,我們也期待社會可以繼續凝聚共識」とつづり、中央通信社は「同社の改名について『開放的な態度』を表明」と伝え、この改称に前向きな姿勢を示していると報じている。
—————————————————————————————–「チャイナエアライン」改名求める声 交通相は「開放的な態度」【中央通信社:2020年4月13日】
(台北中央社)台湾の航空会社「チャイナエアライン」の改名を求める声が高まっている。中国語名は「中華航空」だが、英語の名称に「チャイナ」が入っており、中国の航空会社との誤解を招くためだ。林佳龍交通部長(交通相)は11日夜、フェイスブックを更新し、同社の改名について「開放的な態度」を表明。株主や国民の声を尊重する姿勢を見せた。
新型コロナウイルスの感染拡大で、海外から台湾人を帰国させたり、台湾で生産されたマスクを提供先の国に輸送したりするなど、重要な役割を担っている同航空会社。それに伴い、改名すべきだとの声が広がっている。
林部長は、同社を「天空のナショナルチーム」だとし、貢献を称賛。改名を求める意見が多く上がっていることにも言及し、開放的な態度を示した。その一方で、改名は路線などさまざまな問題に関わるとし、社会が議論を重ね、共通の認識に達することへの期待を寄せた。
(汪淑芬、范正祥/編集:楊千慧)
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