*7月29日に予定していた第80回台湾セミナーは事情により延期します。
去る6月24日、本会主催の台湾セミナーに和田有一朗・衆議院議員を講師に招き、「台湾を失ったら日本はどうなるのか」と題してお話しいただいた。
和田議員は、当選してから4ヵ月も経たない昨年2月の予算委員会における初質疑で、台湾有事への認識や台湾の防衛駐在官増員、台湾出身者の戸籍表記などの問題に切り込み、その後も所属する外務委員会において、台湾との政府間安全保障対話や日台の要人往来、台湾との法務司法共助、外務省の内規問題、台北駐日経済文化代表処の名称や職員の一般人扱い問題、日中共同声明の第3項・第6項問題など、日台関係の深化を阻害している問題について質問を続けている。
その過程で、日本の台湾に対する立場は「日中共同声明」に縛られ、「非政府間の実務関係」という枠組みを出られない実態を知ったとして、日中共同声明を乗り越えなければ、日本と台湾の国益はほとんど一致しているにもかかわらず、日本は台湾と政府間対話はおろか独自の台湾政策を進展させられないと考えたことから、日中共同声明の解釈の変更が必要ではないかと提案した。意義深い提案だ。
「台湾新聞」が報じているので下記に紹介したい。
ちなみに、和田議員は、前原誠司・国民民主党代表代行を団長とする国民民主党、立憲民主党、日本維新の会の国会議員12名の一員として訪台中で、帰国後、どういうお土産話をしていただけるか楽しみだ。
—————————————————————————————–李登輝友の会がセミナー開催 和田有一朗・衆議院議員が講演日台関係法制定のため日中共同宣言の解釈変更を【台湾新聞:2023年6月26日】https://taiwannews.jp/2023/06/%e6%9d%8e%e7%99%bb%e8%bc%9d%e5%8f%8b%e3%81%ae%e4%bc%9a%e3%81%8c%e3%82%bb%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%bc%e9%96%8b%e5%82%ac%e3%80%80%e5%92%8c%e7%94%b0%e6%9c%89%e4%b8%80%e6%9c%97%e3%83%bb%e8%a1%86%e8%ad%b0/
日台友好団体の「日本李登輝友の会」は6月24日、東京都内で第79回台湾セミナーを開催し、衆議院外交委員会に所属する和田有一朗・衆議院議員(日本維新の会、兵庫3区)が講演し、「日本版台湾関係法」などについて自らの見解を語った。和田議員は衆院外務委員会で台湾関連の質疑を続けていることで知られる。参加者は現職の国会議員の現状報告に熱心に耳を傾けた。
日本版の台湾関係法については、親台湾派の市区町村長でつくる「日台共栄首長連盟」の宮元陸会長(石川県加賀市長)らが6月15日、日台交流を強化するうえで、米国の台湾関係法のような法的な裏付けが必要だとして「日台関係法」の制定を求める要請書を岸田首相に手渡すなど、各方面から制定を求める声が上がっている。日本李登輝友の会でも独自にまとめた「日台交流基本法」の案を発表している。
和田議員は講演の中で、「日台関係法の制定には日中共同声明の解釈の変更が必要であり、これを乗り越えなければ、同法の制定はないと思う」と自らの考えを主張した。
解釈変更が必要な理由として、衆議院外務委員会で、▽日本と台湾の政府間による安全保障対話、▽日台の要人の往来、▽台湾との法務司法共助、▽台北駐日経済文化代表処の名称や職員の扱いの問題─などについて質問するものの、外務省の答えは日中共同声明にいきついてしまい(前進しない)などと説明した。そして、個人的な意見と断ったうえで、日台交流のステージが上がってきており、(解釈変更の)機は熟しつつあると思うと語った。
和田議員は1964年神戸市生まれ。早稲田大学卒、神戸市外国語大学大学院修士課程修了。神戸市議、兵庫県議を経て2021年の衆議院選挙で初当選した。日本李登輝友の会の理事にも就いている。台湾へは何度も訪問しており、来月も訪問する予定。最初の台湾訪問は大学時代、帰省した同じゼミの台湾人留学生の友だちを訪ねるため、大阪から基隆行きのフェリー(当時は運航していた)で渡ったときだったという。
日中共同宣言は1972年日本と中華人民共和国との関係正常化の際のもので、「日本国政府は中華人民共和国が中国の唯一の合法政府であることを承認する」「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」と明記している。
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